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JARC LIVE JARC(ジャルク)一般社団法人 宿泊施設関連協会 Japan Accommodat ion Related Consort ium vol.9 時代の変化にしなやかに対応していく 宿泊施設とともに「稼ぐ力」を引き出しあう

2 J a p a n A c c ommo d a t i o n R e l a t e d C o n s o r t i um J A R C L I V E VOL.9 協会の主旨と目標 JARC 役員 宿泊施設関連協会は、観光立国の中枢である宿泊施設とともに、刻々と変化する宿泊業界がさらに発展していけるよう、宿泊施設に携わる同じ想いをもっ た企業が集まる協会です。訪れたお客さまへ、よりストレスフリーな環境を提供することにより、それぞれの地域が活性化していくことを目的とします。 また、先々の時代の変化にしなやかに対応していくため、宿泊施設の皆様とともに生産性の向上考え、お互いに「稼ぐ力」を引き出し合っていきます。 ◆宿泊施設の海外進出 海外で働く 134 万人の日本人に心の安らぎを与える場所を提供するために、日本の宿泊施設が海外進出することにより、日本の文化の発 信はもとより海外に劣らない経営・運営手法や生産性向上のための方法を模索していきます。またその土地に住む外国人の人々に、その土 地にある日本の宿泊施設を通して日本を体験してもらい、日本を訪れてもらえることを宿泊施設とともにめざしていきます。 ◆ラストリゾート 国内外の日本の宿泊施設が、有事の際にその土地の人々の避難場所や救急病院となり、人々の安全が確保される場所に宿泊施設がなれるよ うともに歩んでいきます。 ◆宿泊業の地位向上 宿泊業に携わる人々の意識を高めていくとともに、宿泊業に必要なスキルが向上できるよう、ともに学び、宿泊業がプライドの持てる職業 になれるよう、支援していきます。 会長 林 悦男(株式会社タップ 代表取締役会長) 最高顧問 藤野 公孝(元参議院議員) 特別顧問 本保 芳明(一般財団法人アジア太平洋観光交流センター理事長)、久保 成人(公益社団法人日本観光振興協 会 顧問)、石塚 勉(専門学校日本ホテルスクール 理事長) 監事 八木 豊(サーブホテルズ株式会社 代表取締役社長) 専務理事 須藤 文昭(元藤田観光株式会社 常務執行役員) 理事 北村 剛史(株式会社サクラクオリティマネジメント 代表取締役)、小澤 一弘(株式会社中部衛生検査センター 専 務取締役)、村山 慶輔(株式会社やまとごころ 代表取締役)、石原 健(株式会社ホスピタリティデザイン横浜 代 表取締役)、丸山 和彦(株式会社オータパブリケイションズ 常務取締役事業本部長)、渡部 聡(サン・パシフィック・ エンタープライズ株式会社 専務取締役)、高橋 敏也(一般社団法人メイドインジャパン・ハラール支援協議会 理 事長)、櫻井 慎也(株式会社近清 代表取締役)、畑山 和沙(株式会社セラヴィ 法人営業部 部長) 2 JARC協会の趣旨と目標 3 ウィズコロナ時代の宿泊施設業界の取り組み スペシャル対談 (公社)国際観光施設協会会長 鈴木裕氏×(一社)宿泊施設関連 協会会長 林悦男×理事 高橋敏也 8 JARCウィズコロナ安全行動基準プロジェクト カードキーを自動で除菌できる「カードクリーナ」開発 ㈱マースウインテック代表取締役社長 井出平三郎氏 東武鉄道と協業“お客様の毎日を守ります”フレーズのポスター171駅に設置 ㈱染めQテクノロジィSOLUTIONDEVELOPMENT BB1 課長代理 渡邊洋平氏/河本順紀氏 メラミン化粧板に抗ウイルス剤を練り込んだ「アイカウイルテクト」開発 アイカ工業㈱営業統括本部営業企画部営業推進室 マーケティンググループグループ長 池田昌公氏 ウイルス感染の確率低減には清浄空気の供給が不可欠 ㈱HALTON代表取締役 町井義生氏 16 次世代のホテリエ達 あの憧れのホテルに泊まってみたい!スタッフクローズアップ 「ザ・テラスクラブアットブセナ」 ホテルグループタラソチームチームリーダー 水野麻衣氏/ ホテルグループアシスタントグループリーダー 比嘉徹氏 なぜホテル業界を選んだのか? 「専門学校日本ホテルスクール」 昼間部ホテル科 藤島千紘さん/昼間部英語専攻科 小川風夏さん 20 第 13 回タップアワード 入選作品決定 最優秀賞「ホテルと医療におけるサービス融合の可能性」 (公財)慈愛会今村総合病院 鈴木大輔氏 学生賞「旅館業の『共生』という新しい役割」 国立大学東京工業大学 生命理工学院 学部三年 角田貴史氏 30 【日本工学院ホテルコース特別講義】 「これからの観光を考える」 ㈱やまとごころ代表取締役 村山慶輔氏 「宿泊施設のテクノロジー導入の現状と未来」 ㈱タップ ホスピタリティサービス工学研究所執行役 藤原猛氏 「投資家からみた宿泊施設の価値」 (一社)Intellectual Innovations 代表理事 池尾健氏 「多様化する食とアレルギー対応フードピクト」 ネクストダイバシティ㈱代表取締役社長 奥健尚氏 38 「ResorTech Okinawa」おきなわ国際 IT見本市2020 ㈱シンテックホズミ/オムロンソーシアルソリューションズ㈱/パ ナソニックシステムソリューションズジャパン㈱/㈱日立製作所/ ㈱タップ 48 「私が思うラグジュアリーとは」 ㈱オータパブリケイションズ 代表取締役社長 太田進氏 50 会員 ZOOM UP ㈱リプロ/㈱GIANT/イトマン㈱マーケティング本部東京オフィ ス課長 吉岡知氏/TradFit ㈱代表取締役社長 戸田良樹氏/ ㈱日本防災技術センター専務取締役 前田利幸氏 55 JARCゼミナール 第32 回 ㈱アッサアブロイグローバルソリューションズジャパン 代表取締役 深尾大地氏 第33 回 バリーズ㈱ CEO 野々村菜美氏 57 「JARCゼミナール」のご案内 58 伝統の逸品 「イブニングハイティー」ホテル椿山荘東京洋食レストラン調理課長 生田博士氏 「伊勢海老クリームスープ」志摩観光ホテル総料理長 樋口宏江氏 62 JARC会員一覧 Contents

JARC LIVE 3 (一社)宿泊施設関連協会 (公社)国際観光施設協会 2020 年 12月、全国対象としたGoToトラベルの休止にともない、再び宿泊稼働率が急激に落ち込んだ。2021 年1 月には東京・大阪など全飲食店を対象とした時短営業勧告など宿泊・飲食施設ともに厳しい局面にある。ワクチン接種 によりゆくゆくは感染症も治まるのであろうと予測されているものの、まだ先は見えない。そこで今回は建築の視点からホ テル全体が自然体で感染対策ができる構造ができるのではという考えのもと(公社)国際観光施設協会 鈴木 裕会長 をお招きし、(一社)宿泊施設関連協会 林 悦男会長、ウィズコロナ安全行動基準プロジェクトチーム高橋敏也チーフ・ コーディネーターとの座談会を行なった。 林悦男会長 高橋敏也理事 マスクや消毒など人が対策をとらずとも 自然体で過ごせる未来のホテル造り考えるとき スペシャル対談 「ウィズコロナ時代の宿泊施設業界の取り組み」 ~クラスターを発生させない 徹底した換気動線づくりを~ (一社)宿泊施設関連協会 ウィズコロナ安全行動 基準プロジェクトチーム チーフ・コーディネーター 鈴木裕会長

4 <設計・建築分野のウィズ・アフターコロナの動き> 林 ウィズコロナ、アフターコロナへと回復していく中で、 現在のようにマスクをしたり、感染対策の消毒や抗ウイル スなど、人が感染対策を立てていますが、これから先は マスクや消毒をしなくても安全安心な空間で過ごせるホテ ルが求められるのではないかとい考えています。そこで設 計・建築の視点から国際観光施設協会の鈴木会長をお 招きし、座談会を企画いたしました。感染者が入ってくるこ とは仕方のないこととして、クラスターを起こさせないことが 大事なことだと思います。JARC の IT 分野では非接触の ための仕組みを構築するために、ウィズコロナ安全行動基 準プロジェクトを立ち上げ、高橋理事はじめ抗ウイルス対 策などの方法を研究しています。これからは IT や消毒の 分野だけではなく、建築・設計部門も加わりクラスターを発 生させないための宿泊施設構想を立てていかなければなり ません。そこではじめに設計・建築の分野におけるアフター コロナ対策への取り組みをお聞きできればと思います。 鈴木 新型コロナウィルス感染症対策専門家会議の見解 によれば、クラスターが確認された場所での共通事項は換 気の悪い密閉空間や密集、近距離での会話や発声の3 つの条件が同時に重なった場合であると捉えています。こ の見解から考えられる対策は、まず建物内における換気 に着目していくことです。基本的には1時間に2回、1回当 たり5分間、できるだけ風が通り抜けるよう2つの窓を開け れば大丈夫だろうと判断しています。しかし、昨今は機械 に頼りすぎておりスイッチひとつで室内環境をコントロール することに慣れきってしまったように思います。一昔前に建 築設備のことを付帯設備と呼んでいた頃とは打って変わり、 昨今では建築設備の全体工事費における割合が大きく増 大しています。すっかり機械頼りになり、高層ビルの普及と ともに窓の開かないビルを当然のように作り続けるようになっ てしまいました。コロナ下経営が悪化したホテルをシニアレ ジデンスに用途変更しようと思っても窓が開かないことが障 害となって改造費が大きくなって二の足を踏むことになって います。お金を使えない時には知恵を使えばよいのです。 京都の町家は通りと中庭のお温度差を打ち水で作り風を起 こす、土壁を塗って湿度コントロールを行うという知恵を使 い厳しい気候に対応してきました。現代でも冬寒く夏暑い 恵那峡でエネルギーゼロの家を9軒の試作を重ねて、120 平米を6畳用エアコン一台で年中快適に暮らせる住宅を 作った林業家の知恵と努力には頭が上がりません。もう一 度基本に立ち返り、土地固有の外気環境と室温の関係を データで理解し適切な温度と湿度及び換気を行う建築的 解決をした上で、それを補強する最小限の機械設備を投 入する総合的研究が必要だと反省しています。 林 まさに回帰の構想ですね。 鈴木 自然換気のために高層ビルで開閉式の窓を作るこ とは水密性の確保等難しい問題がありますが、コストをか ければできないこともありません。しかし空気とともに入って くる音に対して消音する技術は確立されていません。反 対の周波数をぶつけて相殺するノイズキャンセリングの技 術は、多音域に渡る都市騒音に対しては大変難しく、技 術で解決できないことはないようですがやはり大変なコスト がかかるようです。 林 ところで、設計上、換気に対する基準はあるのですか。 鈴木 厚生労働省より、コロナ対策として必要換気量の エビデンスは十分ではないが、商業施設等でビル管理法 における基準(一人あたり毎事30㎥)に適合していれば 「換気の悪い空間」には当てはまらないという見解が出て います。 高橋 ところが建築年数が経過しているホテルの空調機 は古く、内気・外気 50%で回転させているところもあります。 年代ごとにトレンド基準があるようですが、外気 100%で入 れ替われば良いのですが、内気を回している空調機もあり ます。同じ空気をグルグル回していすことにより、浮遊して いるウイルスが空中に舞うという危険性を秘めています。 林 問題は空気の最後の出口がどこにあるかということで す。コロナ感染が起こりはじめたとき、空気の最終出口に あたる病室でクラスターが起きたというニュースを聞きまし た。ホテルにおいてもどのような流れで空気を外に入排出 していくことができるかが課題です。 高橋 病院の診療室ほどの換気をすることが求められま

JARC LIVE 5 す。 鈴木 病院ほどの設備を整えるためには高額な費用がか かります。 林 原子力発電では熱交換を行ない、最後は空気中や 海など人間の存在していないところに廃棄しています。同 様にクラスターが起きないような風の流れをいかに作りだし ていくか、航空機のように3分に1回、新鮮な空気に入れ 替えるなど、徹底した換気を行なっていることが安全・安 心対策を徹底しているホテルであり、その取り組みをホテ ルの PR 材料として生かすこともできます。 高橋 山梨県県民生活部のグリーン・ゾーン推進課では 換気量まで調査しています。通常の3倍以上の換気をして いる施設では、それをアピールポイントに展開しています。 新幹線も換気への取り組みをアピールしています。コロナ 以前は本来出さなくても良いものを今はセールスポイントとし て表に出すようになりました。またダクトの中で殺菌して排 出する製品もありますので、さまざまな商材を生かして安 全対策に取り組んでほしいところです。 林 実際、JARCにもホテル様から感染症基準をどうした らよいのか、どんなメーカーにどんな商品があるのかなど の問い合わせが寄せられています。都度、メーカーの紹 介や商品のご案内をしています。これからはますます安全 対策を大いにアピールとして活用することができるようになる でしょう。 <ホテルの安全対策は万全なのか> 鈴木 また湿度コントロールも安全対策の一貫として考え なければならないと思います。WHOでは冬場の温度を 18度以上が望ましいとし、また一般に呼吸器系疾病予防 には湿度を40%~60%に制御することが望ましいと言われ ています。現在の機械空調設備でも加湿装置が付加され ているが、冬季に40%以上に調整することは難しい場合 もあります。あるメーカーでは家庭用に温湿度調整を同時 にコントロールする機械を販売しており、商業施設用の製 品も開発してほしいとの要望を出してみましたが台数が見 込めないために製造計画が立たないと言われました。 林 ホスピタリティサービス工学についてもしかりです。ホ テルマーケットは小さいという認識がメーカーに根強くある ため、マーケットが小さいために最新テクノロジーの導入 が他産業に比べあとまわしになってしまう。この経緯から今 後 JARCでは現状のホテルマーケットを今までより大きなも のにしたいという観点から国内だけではなく、世界のマー ケットに日本のホテルの仕組みを輸出していくべきであろうと 考えています。 鈴木 先程の音を消すという技術ですが、ある大手自動 車メーカーの高級車のボンネット裏には音エネルギーを熱エ ネルギーに変えて捨てる材料が貼ってあると聞いたことが ありますが、大きなコストがかかっており高級車を大量生産 するという条件だから成り立つものだと思います。 高橋 建材についてお聞きしたいのですが、抗ウイルスに 対する安全なレベルというものはあるのでしょうか。SIAA 認証の抗ウイルスが安全と言われていますが、関わる団体 が個々で基準を決めているきらいがあり、統一の基準がな く、今はあいまいなまま進んでいるのが実状です。 鈴木 消防の防炎に関しては基準が明確ですが、抗菌 や抗ウイルスに関する国の基準はありません。ハードウエア に商材を卸しており企業はハードウエアに提供する上で認 証をつけて販売しています。 林 今後は建築基準の中に行動解析など感染症に対す る基準を定めていくべきです。せめて“抗ウイルス率 40% 以上ではないとNG”というような基準を定めていただかな いと消費者は迷います。建築側に抗ウイルス対策されてい ると言われればそれを信じるしかないのが実状です。 高橋 最近良く聞かれるのが、抗ウイルスコーティングした 後の手入れはどうすれば良いのかということです。コーティ ング後は乾拭きだけで良いと言われるものの、本当にそれ で良いのか。ウイルスは付着していないのかという不安を 感じていらっしゃいます。実際、アルコールで拭けば折角 のコーティングが剥がれてしまいます。持続性においても 不明確で本当に何年も効果持続が可能なのかなど、さま ざまな疑問の声が聞かれるようになりました。今後はそのよ うな情報も建築の視点で教えていただきたいと思います。 林 アクリルパネルもさまざまなところで置かれていますが、 アクリル素材そのものは可燃性のものですから、消防法 一般社団法人 宿泊施設関連協会 林 悦男会長 s p e c i a l i n t e r v i e w

6 ホテルもありました。 鈴木 昭和初期に来日し日本文化に触れた、ドイツ人建 築家で桂離宮を世界に広めたブルーノ・タウトは、靴でベッ ドルームに入る自分たちの文化を大いに恥じたと言われて います。西洋の意識ある人に対して文化で説得すること は良いアイデアですね。日本の素晴らしい清潔な文化をホ テルや旅館を通して伝えていきたいところです。 <さいごに> 高橋 開いたときしか換気がされないエレベーターも危険 です。最近、唯一、エレベーター内の換気システムが開 発されましたが、まだまだ普及していません。ぜひ、今後 は国際観光施設協会の主軸となる設計・建築、設備系 の専門分野の見識により、今、宿泊施設が疑問に思って いることをぜひお聞きし、解決策をアドバイスいただきたい と思います。 鈴木 まさにウィズコロナであり、人類誕生以前から生き 続けているコロナと一緒に共生すること、そして共生できる 環境を整えていくことが課題かと思います。当協会としても 今後の建築のあり方を模索しながら、安全なホテル作りに つながるよう努めていきます。 林 客室の入口の自動ドア化など IT 分野では非接触を 追求しています。マイホテル・マイオペレーション、マイホ テル・マイリクエストを掲げ、テクノロジーを下支えに安全・ 安心なホテル運営のためにも、国際観光施設協会との関 係も深め、建築・ITそして抗菌などの環境整備の3部門 が一体となり、未来を見据えたホテル開発、提案を積極 的に取り組んでまいります。 の見解でどうすべきかも考えなくてはならないのだと思いま す。 鈴木 地域により消防に関する規制に違いがあり、大型 の観葉植物は可燃性があるという判断をするところもありま す。 <喫緊、見直すべき課題点> 高橋 ビニールシートも問題です。2020 年 7 月に基準が 変わったのですが、業界団体のコロナ感染対策のガイドラ インには反映されていません。防炎マーク付きのビニール シートを使用していない店舗もまだよく見られます。ホテル フロントでビニールシートに着火し火災が発生したケースも ありますので、この点も徹底していかなければなりません。 鈴木 内装制限のかかっている建築では10%以内であ れば可燃材料でも使用できるという基準はありますが、確 かに今後においては、パテーション問題は考えていかなけ ればなりません。 林 ホテルの通路や客室の絨毯も見直す必要があります。 ウイルスは降下しますので、十分な清掃をするためには絨 毯でなくても良いのではと思います。 鈴木 音の問題があります。絨毯を敷かないとカツカツと 歩くヒールの音などを消すことができないのです。リゾート では木や石などを床に使っていますが、クッション材を挟み 込んで設計しています。つなりその分、費用が嵩むという ことです。 林 清掃と言う点や今後、ロボットが運搬するという時代 がくると予測される中で、本来は靴の底が皮でも水ですべ ることなく、音が消せれば絨毯ではなくても硬い素材がい いのではないのでしょうか。 また靴を脱ぐという点で、室内でも靴を履くことが日常の外 国人に対して、日本の文化では靴を脱ぐことを伝えている s p e c i a l i n t e r v i e w 公益社団法人 国際観光施設協会 鈴木裕会長 高橋敏也理事 一般社団法人 宿泊施設関連協会 ウィズコロナ安全行動基準 プロジェクトチーム チーフ・コーディネーター

JARC LIVE 7 空調 ・ 換気と感染リスクについて 新型コロナウィルス感染症対策専門家会議の見解によれば、これまで集団感 染が確認された場所で共通するのは、①換気の悪い密閉空間、②多くの人が 密集していた、③近距離での会話や発声が行われたという3つの条件が同時 に重なった場合であるとしている。リスク要因の一つである「換気の悪い密閉 空間」に該当することを防ぐための空調 ・ 換気の効果が期待されている。 空調 ・ 換気による感染リスクの低減は、感染性飛沫と飛沫核の空気中濃度を 換気(外気の導入)による希釈とフィルタによる空気中からのろ過によって低下 させることにより達成される。 換気について、厚生労働省では、「建築物衛生法(建築物における衛生的環 境の確保に関する法律)における空気環境の調整に関する基準に適合してい れば、一般的な建築物の空気環境の基準を満たすこととなるため「換気が悪 い空間」には当てはまらないと考えられる。」とし、換気の方法を、機械換気によ る方法と窓の開放による方法に分け、以下のように管理権限者に推奨している。 ①機械換気 ( 空気調和設備、機械換気設備 ) による方法 建築物衛生法における特定建築物※ 1に該当する建物については、建築物 衛生法に基づく 空気環境の調整に関する基準が満たされていることを確認し、満たされていな い場合、換気設備の清掃、整備等の維持管理を適切に行なうこと。 特定建築物に該当しない建物においても、建築物衛生法の考え方に基づく必 要換気量が確保できていることを確認すること。必要換気量が足りない場合は、 一部屋あたりの在室人数を減らすことで、一人あたりの必要換気量を確保する ことも可能であること。 ※ 1 建築物衛生法における特定建築物とは、興行場、百貨店、集会場、図書館、 博物館、美術館、遊技場、店舗、事務所、旅館等の用途に供される延べ床 面積が 3000㎡以上の建築物をいう。 ② 窓の開放による方法 □換気回数を毎時2回以上(30 分に一回以上、数分間程度、窓を全開する。) とすること。 □空気の流れを作るため、複数の窓がある場合、二方向の壁の窓を開放する こと。窓が一つしかない場合はドアを開けること。 一方、フィルタによるろ過については、日本のホテル・旅館などの空調機には、 一般的に中性能フィルタが備えられており、大きい飛沫核に対する捕集効果が 期待できるとされている。以上より、ホテル・旅館などのレストラン・喫茶、宴会 場などにおいて、建築物衛生法に基づく空気環境の調整に関する基準が満た され、中性能フィルタが備えられている空調・換気システムでは、1 ~ 2mを超 える範囲で飛沫や飛沫核として新型コロナウィルスが拡散したとしても、その濃 度は低く制御されるため、感染リスクは小さいと考えられる。 ただし、「換気の悪い密閉空間」はリスク要因の一つに過ぎないこと、換気性 能やフィルタの捕集性能の維持管理が重要であること、曝露濃度に加えて曝露 時間も感染を左右する要因となる可能性があることにも注意が必要である。 「ホテル・旅館の安全・安心読本 2020」発刊 2016 年より「週刊ホテルレストラン」にて掲載された内容の見直しを行ない編 纂した冊子「ホテル・旅館の安心・安全読本 2020(一部 1500 円税込み、 送料別)」を発刊。ここ数年 CSV 活動の一環で会員が保有する知見を観光 施設メディアラボとして取りまとめたもの。単にデザインだけでなく天災・事故・ 犯罪など社会を取り巻くリスクに対する対処策を広く啓蒙することに深い意義が あるととらえている。 「日常の災害対策」の章では協会会員、医師・倉田大輔氏による「宿泊施 設の感染症対応の重要性」が記載されている。同氏は「新型コロナに限ら ず、未知の感染症や未曾有の被害が私たちを襲う可能性は今後も起こり得る でしょう。宿泊施設は観光や娯楽として捉えがちですが、『日本という国家を守 る施設でもある』と私は考えています」と宿泊施設における使命、価値の高 さを末筆に綴っている。 (公社)国際観光施設協会の取り組み 観光施設(ホテル・旅館) における新型コロナ感染防止空調・換気にともなう室内空調の感 染リスクに関する見解(2020 年 9月8日発表より抜粋) 国際観光施設協会会員企業が取り組むコロナ感染対策事例 株式会社サンゲツ 床材事業部 事業推進課 岸本 洋和様 〒451-8575 名古屋市西区幅下一丁目4 番 1 号 www.sangetsu.co.jp 宿泊施設の新型コロナウィルスの感染対策の鍵となる FFE の抗ウィルス対応! 抗ウィルス商材の開発はいつ頃から取り組んでいましたか? 抗ウィルス商材は、新型コロナ以前から一部の商品で開発していました。し かし「コロナが流行る前の内装への抗ウィルスへの期待値が薄かった」のが真 実です。 抗ウィルス商材ごとの状況を教えてください。 まず壁紙・カーテンは、コロナ前とコロナ禍では売れ行きが全く違います。しかし、 新型コロナウィルスの感染拡大で非常に多くの数量が短期間に売れました。(販 売先は、住宅と非住宅) 抗ウィルスニーズは、住宅、宿泊施設、オフィス、 学校などどこが大きいですか? コロナ感染対策・抗ウィルス内装商品へのニーズはまだ本格化とは言えないと 思います。住宅でも一部のハウスメーカー様が抗ウィルス・抗菌対応に取り組ま れておられますが、まだニーズは限定的です。 宿泊施設は、既にある抗ウィルス 壁紙のデザイン数が少ないので中々お客 様のデザインのニーズにマッチしないのが課題で、特注も視野に入れて活動をし ております。 オフィスは、企業内クラスターなど発生していますが全てのお客様が内装の抗 ウイルス化へ動かれているとは言えない状況です。 学校などは、メンテナンスでワックスをかけるのでワックスをかけると抗ウィルス 効果を発揮しなくなりますので、ワックスフリー抗ウィルス商品床材を開発して発 売しました。 https://www.sangetsu.co.jp/pickup/antiviral/floor/ あとは、課題になったのは、タイルカーペットの厚生労働省の認める消毒剤へ の耐性対策ですね、次亜塩素酸ナトリウム使用による色落ち対策などです。 この辺に対応する商品も豊富に取り揃えております。 今後の展開は、現在は、床材、壁紙、カーテン、特注対応の粘着剤付化 粧フィルム「リアテック」、大版セラミックスラブ「GARZAS〈ガルザス〉」です が各分野で抗ウィルス製品はもっと増やしていきたいと考えています。 Withコロナの時代の FFE は、SIAA 抗ウィルス認証取得商品が当た り前になる時代になるかもしれませんね!

8 カードキーを自動で除菌できる「カードクリーナ」開発 新型コロナウイルス感染の第二波、第三波が首都圏を中心に起こり、11 月 20 日現在、東京都は連日、一日の感染者数が 500 人を超えている。ある旅行会社では数日前まで賑わっていた GoTo トラベル客がピタリと姿を消したという。宿泊業界 においてはますます安心・安全が求められている中、カードキーを簡単に除菌できる画期的な「カードクリーナ」を開発した のが井出平三郎社長指揮する㈱マースウインテックだ。開発に至った経緯や今後の展開などお聞きした。 〜人的に1枚20秒ほど要する カードキー除菌作業を2〜3秒で自動除菌 ご利用シーンに合わせ3タイプをリリース〜 ―GoToトラベルでリゾートや温泉地など賑わいを取り 戻してきましたが、その一方でコロナウイルスの第二 波、三波が始まり、宿泊業界はますます厳しい局面を 迎えています。安心安全対策に向けた除菌作業に取り 組むスタッフも精神疲労が重なっています。その中で画 期的な除菌付きカードクリーナを開発されたとお聞きし ました。始めに御社が目指されていることや概要、今 日に至る経緯をお聞かせください。 当社は創業以来、「新たな価値の創出と地域経済・雇用 への貢献」を信念に掲げ、強い競争力を持った商品企画と 開発設計力を以て、世界初の技術として国内外で特許を多 数取得したAir 紙幣搬送システム、全国のホテル業界で市場 トップシェアを誇るルームキー発行回収ユニットなど、多岐に 井出 平三郎氏 ㈱マースウインテック 代表取締役社長 長野県埴科郡坂城町中之条 1375-1 URL:www.winteckk.co.jp 亘る分野の商品を生み出して参りました。近年では、これま で培ってきた開発製品を融合し、無人管理が可能な駐車場・ 駐輪場システムや、インバウンド向けの IoT自販機など、商 品開発から付随するシステムの供給まで可能なソリューション メーカとして現在に至ります。次なるステージは、当社のコア コンピタンスであるメカトロニクス技術を主軸に、これまでの経 験やノウハウさらに5G技術を積み足して、あらゆるシーンで省 人化・省力化を実現することにあります。現在は、当社のコー ポレーションアイデンティティである“「便利を」で社会を豊か に” に磨きをかけ、より一層の社会貢献に寄与すべく邁進し ております。 宿泊業界に視点を移しますと、生産性を高めることを目的 に自動チェックイン・チェックアウト機が順次導入され、ルーム キーの ICカード化が進んでいるという印象です。コロナ禍と いう現状の中、生産性向上に加え、お客さま、そしてスタッ フの方々の安心安全性を一層高めていくという新たな目的達 成を備えた機器が求められることでしょう。そこで宿泊業界を 取り巻く課題に向き合い、迅速に解決するための新たな価値 創造の一つとして、除菌機能付きカードクリーナの開発に至り ました。 ―ホテル業界における現状はいかがでしたか。 全国的な緊急事態宣言が発令された後、あるホテル様よ り「今年度入社した新入社員がカードキーの除菌担当として 勤務時間中ずっと、一枚一枚カードキーをアルコールで消毒 している」というお話しを聞きました。1枚アルコール消毒する ためにかかる時間は約 20 秒です。ずっと除菌担当させられる ことは精神的にとても辛いことでもあります。その作業をするこ とで、もしかしたらウイルスに感染するかもしれないという不安 やアルコールによる手荒れなど、さまざまな症状が出る可能性 もあります。生産性・効率性という点においても鈍化しますの で、この現状をお聞きし、また目の当たりにする中で、いち早く、 自動で除菌できる装置を提供する必要があると実感しました。 そして現在、カードの除菌を可能とする機器を約 1ヵ月間で 開発・商品化させ、全国を対象にご提案しているところです。 JARCウィズコロナ安全行動基準プロジェクト

JARC LIVE 9 ―目前の課題解決に向けたまさに迅速な対応です。画 期的な製品の概要をお聞かせください。 「ストックカードクリーナ CL-76S」と「卓上カードクリー ナ CL-76D」「セルフ式カードクリーナ CL-76R」の 3タイ プがあります。 「ストックカードクリーナ CL-76S」はコンパクト&高速で 最大 200 枚を一括除菌できます。使用方法もカードをセッ トし、スタートボタンを押すだけで瞬時にカードの除菌が完 了いたします。専用ボトルから一定量の除菌液をパッド部へ 自動供給し、そのパッド部分をカードが通過することで除菌 を行います。カード貯留枚数は200 枚。1 枚を約 1.5 秒 のスピードで除菌しますので、例えば 200 枚除菌してもわ ずか6分ほどで除菌を完了させることができます。マンパワー でカード除菌するためには1枚 20 秒ほどかかります。客室 数が多くなるほど作業時間を要しますので、例えば 300 室 100 分となると約 1.7 時間を要することになります。それを わずか 9 分ほどで除菌完了となりますので、生産性を大き く高めていただけます。 「卓上カードクリーナ CL-76D」はフロントのカウンター上 に設置が可能なタイプです。カードクリーナの後部よりカー ドキーを挿入すると自動でカードを取り込み、CL-76Sと同 じく除菌液が浸透したパッド部を通過することで除菌され、 除菌済みとなったカードを前方より排出します。フロントスタッ フ側からカードを挿入すると、フロントでお待ちになるお客様 側にカードが排出されるため、除菌されたカードを安全に受 け取って頂く事が可能です。 「セルフ式カードクリーナ CL-76R」は外見上、卓上カー ドクリーナと同じですが、カードを前方より挿入して頂くと、 除菌されたカードが前方より排出されるため、お客様が所有 しているカードをご自身で除菌することができます。 いずれの機器も安心安全の見える化とともに、スタッフも お客さまに直接触れることなく従来のフロント業務が遂行で きますので、双方にとってメリットがあります。 ―安心安全の見える化は宿泊業界にとって喫緊の課題 です。ところで製品の管理上、必要なことはどのよう なことですか。 除菌液が無くなった場合、ボトルの交換が必要となります。 200 室規模のホテルであれば交換なしで約1カ月ご利用頂け ます。また、除菌したカードをふき取るパッドは摩耗・劣化しま すので、約1ヵ月毎に交換作業が必要となります。除菌液は 医療的にも証明されている希釈したアルコールを使用しており ますので、除菌による安全性や除菌効果のご心配もありませ ん。また除菌液の残量が外から見えるようになっていますので、 取り替えるタイミングも分かりやすいと思います。手間をかけず に誰でも扱える製品に仕上げております。コロナ禍において 宿泊産業は厳しい局面に立たされておりますので、少しでもコ ストを抑えてご提供できるよう努め、貢献できればとご案内して います。 宿泊業に限らず、コンビニやATM、切符売り場、ICカー ドチャージ機、会員カード利用施設などICカードやポイントカー ドをお使いのお客さますべてにご利用いただくことができます。 コンビニなどではお客さまご自身が除菌できるタイプも宜しいか と思います。 ―今後の展開として計画されていることはどのようなこ とでしょうか。 いかにPMSと連動させていくかということです。この点 につきましてはタップ様と共同で機器を開発中で、本年早々 のリリースを目指しております。これまで当社はバックヤード からフロントに至るまでの業務に入り込むことができませんで したが、ようやくホテルの根幹となるPMSと連動させること で新たな道が開けていくのではないかと考えます。 当社は “「便利を」で社会を豊かに ”を実現すべく、宿 泊施設業界においても省人化・省力化を目指しております。 対面接客を主力としてきたホテルやサービス業とは相反する ことに取り組んでいるわけですが、今後、アフターコロナの 時代へと移り変わっていく中で、宿泊産業のニューノーマル とは何か、そしてニューノーマルの中でのおもてなしとは何か を追求していくことが必要であると考えています。お客さまは どこで安心するのかというエモーショナル的なところに訴えて いくことが、これからのおもてなしではないかと思うのです。 実際、グループ企業が運営するホテルでカードクリーナをフ ロントに設置したところ、お客さまから“これが最高峰のサー ビスだ ”というお声をいただきました。 ―確実にサービスやおもてなしという概念が変化してい ますね。ますます非対面・無人化は求められていくこと でしょう。最後にホテル業界に向けてひと言お願いい たします。 非対面・無人化への意識や取り組みはますます強くなっ てくると思います。5G の時代となり多様なことが簡単にで きるようになります。例えば非対面で24 時間、様々な商 品を販売できる自販機や無人のコンビニエスストア、テイク アウトされた商品をロッカーで管理したりなど、極力人を介せ ずにそれぞれの目的を達成することができる時代になるでしょ う。実際、24 時間販売可能なお土産の購入ボックスによ り売り上げアップにつながったという実例もあります。これま で対人が当たり前で無人化という発想はありませんでしたの で、接客によりお客様におもてなしを提供してきたホテルや サービス業にとっては、このような劇的な変化に対応するこ とは簡単なことではないと思います。しかしながら、アフター コロナを見据えたとき、これからの時代のおもてなしを提供 するためにはクリアしていかなければならない課題だと思いま す。ホテルやサービス業界はテクノロジーや IT 化という点 においては他産業と比較して遅れているかと思います。だか らこそ、消費者心理の変化、エモーショナル的なものをき ちんととらえて求められるサービス(製品)を追求し、宿泊 業界が新しい時代に変化するための足掛かりとしてこれから も協力し続けていきたいと思います。

10 東武鉄道と協業“お客様の毎日を守ります” フレーズのポスター171駅に設置 “再生・延命で未来をつくる”をスローガンに菱木貞夫社長のもと果敢なチャレンジをし続けているのが㈱染めQテクロジーだ。 行幸湖を一望するオフィスはまさに技術研究所。スタッフが自由な発想で考え行動している実験の布石が壁や床などあちこち に刻まれている。社会の明日を科学するという使命に立ち、ついに 10 年前に開発したウイルス増殖環境スプレーを発信。東 武鉄道と協業し、新型コロナウイルス対策に一石を投じた。 〜ナノ密着技術で1カ月間効果が持続する 「ウイルス増殖環境消滅」開発〜 10 年前に開発済みの製品がコロナで注目される! ―“お客さまの毎日を守ります。”をキャッチフレーズと した TOBU×SOMAY-Q のポスターが東武鉄道沿 線の駅構内に貼られていました。「ウイルス増殖環境消 滅」を感染症対策として駅構内の除菌消毒に活用され ている御社と東武鉄道の取り組みがとても分かりやすく 視覚に訴えています。はじめに御社の製品開発の基軸 となっているナノ密着技術についてお聞かせください。 ナノ密着技術は独自の技術で物質をナノ分子化し、あら ゆる素材を密着させる技術です。この技術により、ナノサ イズの粒子が素材の凹凸にしっかり密着できるため、長時 間剥がれません。結果、幅広い材質や用途に活用でき、 効果を持続させることができるのです。老朽化したコンクリー 渡邊 洋平氏 / 河本 順紀氏 ㈱染め Q テクノロジィ SOLUTION DEVELOPMENT BB1 課長代理 茨城県猿島郡五霞町元栗橋 5971 URL:https://somayq.com トの補強再生やお風呂にはびこるカビの抑制、老朽化し たバスタブを新品同様に再生することもできます。 ―密着するという技術を使ってウイルス対策の製品を 開発されたのですね。そもそもウイルス対策に目を向 けられた経緯はどのようなことだったのですか。 代表の菱木が 10 年前にサーズ(SARS・重症急性呼 吸器症候群)、インフルエンザが流行ったときに動物のウイ ルスはそのうち人間への影響も大きく与えるだろうと考えた のが始まりです。特にサーズ(SARS)は人間に感染する 危険を秘めており、我が社が持つ密着し、持続する技術 に抗菌を加えれば感染を防ぐとことができるの商品が出来る のではないかと考えました。しかし、感染を防ぐために開発 したものの、日本ではサーズ(SARS)も爆発的な感染を 引き起こさず、インフルエンザは日常的なウイルスですので 注目されなかったのですが、2019 年の年末のから中国で 何か得体のしれないウイルスが流行っている情報が入るとと もに、2020 年1月末に商社を通して中国政府から本製品 の発注をいただいたのです。その商社はB to C の卸をし ているのですが、10 年前の開発を覚えてくれていたのです。 ―なぜ、御社の商材が注目されたのですか。 感染対策として中国市場ではアルコールは少なくなるだろ うという予測と、今では改善されてきましたが当時の中国の 方は日本人のように日常手を洗わず、日常の環境衛生は疎 いということからセルフで手軽にウイルス増殖環境消滅がで きる製品として見つけ出してくれたのです。ちょうどその頃、 まだ一般的には知られていませんでしたが、武漢から感染 が広がり中国パンデミックがおこるという情報が入り、その 後、クルーズ船における感染症が起きたことから、一気に 入って市場が開かれました。 地元の学校や市役所に寄贈、口コミ広がる ―そして地元の学校に向けて寄贈をされたのですね。 製品を売るということではなく学校の先生や子どもたち、 そして保護者保護者の安心・安全を守るために 6月7月 ごろ、隣町の幸手市役所に寄贈いたしました。学校の先 JARCウィズコロナ安全行動基準プロジェクト

JARC LIVE 11 生はコロナ以前に心身的に倒れてしまうと言われていまし た。先生たちは1時間に1回や児童が下校した後にアルコー ルによる除菌消毒作業を行なっていましたので、心労が重 なり授業どころではないと困っていたのです。「ウイルス増 殖環境消滅」を使うことで、一度「ウイルス増殖環境消滅」 を塗ったところは、水拭きで済むので先生達の除菌消毒作 業が劇的に低減されました。その後、口コミで広がり地元 の東武鉄道様より通勤される方が安心して駅を利用いただ けるようにしたいというお話があり、協業することになったの です。 ―いつごろから導入されたのですか。 昨年 10月ごろから導入いたしました。“ 東武鉄道はこれ を使っています ”というポスターを制作し、沿線 171 駅の 改札や目立つところに貼っていただきました。安心・安全 対策は各駅で実施されているのですが、「見える化」がさ れていないため “ 何をやっているの?”という不安を感じてい る駅利用者もいらっしゃいます。ポスターを貼ることで “ 駅 員達がお客様の為に自ら除菌消毒していますのでつり革や 階段の手すりなど触っても大丈夫。そこの空間は安全です よ”というメッセージを発信することができました。今回の取 り組みを通して安心感を印象付けることの大切さを学びまし た。ポスターはこちらで提案したものですが東武鉄道様に ご賛同いただけたことは、とても効果的だったと思います。 ―今回のように双方にメリットのあるポスターは見かけ ません。 実際、ポスターをご覧になった沿線の企業や学校、ホテ ルやスーパーも安心・安全を可視化できるものを設置するよ うになりました。実際、学校や公共施設への納品が多い ですがホテル様からの問い合わせもあります。最近は私学 や老人ホーム、病院などからも引き合いが増えています。 セルフ施工できメンテナンスが簡単! ―製品のポイントをお聞かせください。 基本的にB to C の製品のためセルフでメンテナンスが 簡単にできることです。ホテルの場合、どんなに抗菌しても 怖いからやり続けていらっしゃるため、まさに消毒疲れの状 況かと思います。 ー政府支援の Go To トラベルキャンペーンで多忙な 宿泊施設も増えましたので、清掃も追いつかない状況 でした。清掃員の安全性も担保されていない状況です。 通常の清掃に加えて温浴施設の脱衣所やロビーカーペッ トなど特に不特定多数のお客さまが集まる場所はプラスで 利用していただければと思います。業務用としても対応でき る自動噴霧器もありますので、簡単に作業することができま す。 ―ユーティリティも高く、効果持続1カ月という点も信 ぴょう性が高いです。 今後はプロ向けに 3 ~ 6カ月効果が持続できる製品を 開発中です。また東京空港交通リムジンバスにて抗菌施 行結果を行なった結果、施工後2カ月経過してもATP 値、 一般細菌数は規格値(<300)以内でした。この結果 からウイルス増殖環境消滅の塗膜が剥がれず抗菌効果が 持続していることが分かりました。ATP 検査の結果は、ひ じ掛けは施工前 619RLUでしたが、作業後 135RLU、 61日後 20RLU、手すりは施行前 582RLUが 61日後 5RLU、トイレドアノブは施工前 196RLU、作業後直前は 「-」(未検出)、61日後8RLUという数値を得ています。 また、一般細菌数の結果は7171CFU/mLが施工後か ら61日後まで「-」(未検出)でした。本製品は、プラ スチック、布地の両方に対して同様に効果を確認すること ができました。多くの方が触れるトイレやイス、手すりなどぜ ひ、活用いただければと思います。 また施工についても全国 170カ所のパートナーとも提携 していますのでご安心ください。浴槽や厨房の床のリフォー ムも施工できますので、浴槽や厨房床リフォームと一緒にウ イルス増殖環境消滅を行なうこともできます。今後はより一 層、ネットワークを広げ、ホテル様に費用面、作業面でご 負担掛けることなく安全な空間を提供できるよう進めていき たいと思います。 既存と新たなネットワーク構築しB to B 強化 ―まさに B to B への強化です。B to C の割合はい かがですか。今後はホテル業界において余剰人員が増 えると予測される中、新たな人生として施工の技術を 習得する道もあります。 現状2割です。今後は拠点の活性化を図っていくために も、技術を学んで新たな人生を、そして技術が人生を創れ るような、お互いにウインウインになれるように努めていきた いと思います。 商品開発という点では現在、抗菌効果&ひんやり感 24 時間持続スプレーがあります。抗菌と涼しくなる成分により 夏場でも快適で、清潔な環境を作れる商品でテレビでも取 り上げられ、現在、コンビニで販売しております。 ―最後にホテル業界に対してメッセージをひと言お願い いたします。 国有林を余っているなかで伐採されたものをどこに使うの かということが課題となっています。JR 駅舎も木造化された り、隈研吾さんが建築デザインされた新国立競技場など木 材を使用しています。木材は生きていますので沿岸部、山 間部、や紫外線が高い地域では建物の風合いが悪くなる 可能性があります。ナノ密着技術を活用し木材を生かす防 水と防 UVで清潔で安心安全でサステナブルなホテルへの 動きが起きるかもしれません。機能、強度の補強をナノ密 着技術により行ない、自然体なホテル、まさに今まで建てら れないようなホテルが求められるかもしれません。最先端技 術を通してエネルギー問題や温暖化、夏場の炎天下の駐 車場の冷却化など利用者、そしてスタッフにおいても快適 なホテルなど、ぜひともに新たな時代を創り上げていきたい と思います。

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