JARCLIVE9

JARC LIVE 21 TAP AWARDS この度は、栄えあるタップアワード最優秀賞にお選びいただき、 誠にありがとうございます。受賞については、身に余る光栄と存じ ます。 私は、医療業界の人間であり、ホテル業界については素人です。 しかし、コロナ禍においては両業界とも危機的な状況であることを 知りました。論文でも触れましたが、ホテルには私の人生の様々な 時点でお世話になっています。お祝いの席などのイ ントや、出張 での利用などその用途は多様です。また、出張時に快適なサービ スを提供されることは、仕事への活力の源となりました。 本論文は、少しでも両業界をつなぎ、日ごろお世話になっている ホテル業界の発展に貢献できたらと思い、応募させていただいたも のです。 この賞を契機に、更なる研鑽を重ね、精進して参りたいと存じま す。今後ともご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。 profile すずき・だいすけ 1975 年鹿児島県生まれ。 鹿児島経済大学(現・鹿 児島国際大学)卒業後、 精神科ソーシャルワーカー として埼玉県草加市 さか の医院(精神科クリニック) 入職。平成 20 年より公益 財団法人慈愛会入職。介 護老人保健施設の支援相 談員、経営企画室、理事 長室を経由し、平成 28 年 より今村総合病院 総務課 配属。現在、今村総合病 院 総務課長。医療経営 士 2 級。 (公財)慈愛会 今村総合病院 鈴木 大輔氏 タップアワード 最優秀賞 受賞コメント 業界に医療の安全性を上乗せできないかと考えたことが 発端である。 次に、資源の共有化として、③医療機関における介護 研修④セントラルキッチンによる共用化を提案する。お互 いの資源を共有することで運営費の削減につながると同 時に、新たな価値を創出できると考えた。 ホテルは人生の様々な時点で利用されている。筆者も 特別な日や出張時に利用する。利用時に快適なサービス を提供されることは、活力の源となる。そういう意味からも、 ホテルの存在はとても大きい。 変化は急に起こる。その変化に対して、いかに早く、 そして柔軟に対応できるかが求められる。著書「チーズ はどこに消えた」より引用するならば「変化に早く適応す ること。遅れれば、適応できなくなるかもしれない」とい うことになる。 ポストコロナに入り、現状がニューノーマルとなると いう。それでも、両業界にとって必 新しいチーズはど こかにあることを信じ、前に進んでいけることを期待し てやまない。 1)はじめに ホテル業界における2020 年 4月の月次稼働率は前 年比 83.5%の減少、平均客室単価は前年比 47.5%減、 全体の宿泊者数は77%減少している1)。ホテル業界に おける新型コロナウイルス感染拡大による収益悪化は著 しい。この要因としては、インバウンド需要の低下及び 国内の宿泊や宴会の利用客減少が考えられる。また、ポ ストコロナといわれることからも、この危機的状況はいつま で続くのかという不安も大きい。 筆者は、現在医療機関に勤めている。医療機関にお いてもホテル業界同様に、このコロナ禍で経営的に厳し い状況が続いている。2020 年 5月の医業利益率は、 新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた病院ではマ イナス13.6%、一時的に病棟を閉鎖せざるを得なかった 病院ではマイナス14.3%の赤字となり、受け入れていな い病院でもマイナス8.3%の赤字に陥っているのが現状で ある2)。 コロナ禍における両業界の経営状況の厳しさを推測す ることは難しくない。経営的に向かい風な今だからこそ、 両業界が協働することで、新たなサービスの提供もしくは 価値の創出ができないかと考えた。 そこで、本稿では、まずホテル業界と医療業界の現状 をまとめ、類似点及び違いについて分析する。その上で、 お互いに協力することで新たな価値を生む新サービスを検 討した。最終的には、両業界が協働し、共に発展できる 可能性について考察を深めていきたい。 2)業界の現状 (1)ホテル業界 a)コロナ禍におけるホテルの実績 冒頭でも述べたとおり、このコロナ禍における客室宿 泊施設の 2020 年 4月の月次稼働率は、前年と比較し て大幅な減少がみられる。これは、ホテルの部屋が埋まっ ている数が前年比の 2 割以下になり、さらに一部屋あた りの宿泊料も半額近くになっていることを示している。一 般的に宿泊施設は全体の稼働率が下がれば、需要喚起 のため一室当たりの料金も下げざるを得なくなるため、経 営者には二重苦がのしかかることになる。 b)経営悪化の要因① インバウンドの需要低下 経営悪化の要因としては、訪日外国人旅行者の減少 があげられる。その数は前年比 99.9%減ともいわれてい る。新型コロナウイルスの流行は世界規模でみれば収束 には程遠い。そのため、海外旅行者をターゲットにするに は、まだまだ厳しい現状にある。 この「インバウンド」とも呼ばれる訪日旅行者の需要は、 日本の総需要の約2割を占めている。この2割に関して、 元のような需要を当面期待できないとするならば、日本の ホテル業界はこの 2 割の需要減を、国内のみで補わなけ

RkJQdWJsaXNoZXIy NDU4ODgz