JARCLIVE9

58 ―いつ来ても素晴らしい庭園です。東京のど真ん中にこ れほど奥深い自然があふれているのはここしかないと言っ ても過言ではありません。本日は伝統の逸品ということで、 女性に人気の「イブニングハイティー」につきまして、お聞 きできればと思います。始めに「イブニングハイティー」誕 生までの経緯をお聞かせ下さい。 誕生は 1992 年に「フォーシーズンズホテル椿山荘東京」 が開業したときにさかのぼります。ホテルラウンジの「ル・ジャ ルダン」にてイギリス・ロンドンにみられるアフタヌーンティー を提供しました。3 段のおしゃれなスタイルは女性に注目さ れ、まさに東京のホテルで初めてのアフタヌーンティーとなり、 パイオニア的存在として現在も好評いただいております。ア フタヌーンということで当初は 14 時~ 17 時の時間帯で提供 していましたが、お客さまからのご要望に応え、1時間延長 して 18 時までに変更しました。ところが働いているOL から 18 時までの提供では仕事帰りに間に合わないという声をい ただき、2010 年前後に夜も非日常を楽しんでいただける「イ ブニングハイティー」を販売するにいたりました。コロナ以前 は 18 時~ 20 時ラストオーダーで運営してい ました。 ―OLにとって仕事帰りに贅沢な時間を楽しめ ることは、ある意味、自分へのご褒美感覚で 優越感を満喫することができます。 ところが意外と思っていたほど販売力を高 めることができませんでした。そこで「イブニ ングキュートティー」を開発したのです。ア フタヌーンティーのようにスイーツ多めの構成 で一日20 食限定販売を試みたのです。20 食という限定商品であることと、細かな細工 にこだわった手の込んだスイーツが注目され 火がつきました。数量限定だからこそできる 一品を作り上げた結果だと思います。しかし ながら、ここにも課題点が見出されました。 それはスイーツが主軸となるため、サンドイッ チやバスタなどを追加注文されるケースが多 かったのです。つまり量的な満足度を得られ なかったということです。そこで満足度を満 たすためにはどうすべきかと試行錯誤したのです。 ―そこであの話題のローストビーフが誕生したのですね。 はい。当初は基本的にシャンパンやワインなどお酒に合う おつまみ系のお料理を提供していました。お酒と一緒に食 べるので若干味を濃い目とし、ローストビーフはついていませ んでした。もっとインパクトのあるものを作らなくてはならない と思い、ローストビーフを一品に加えてみてはと考えたので す。しかも通常みられる薄いお肉数枚ではなく、逆転の発 想でローストビーフの常識を覆すインパクトのあるボリューム 感に仕上げることに挑戦したのです。 ―どのような試行錯誤をされたのですか。 当時、ちょうど低温調理器が出始めたころでした。その 機器を使って長時間かけて低温調理することでステーキ並 みの肉厚の牛肉をやわらかく仕上げることができないかと考 えたのです。何種類かの牛肉で試した結果、ミドルグレイン ロースト ーフの常識を覆す インパクトのあるボリューム感に 仕上げた料理をイブニングハイティーに 約 50,000㎡の庭園面積を誇るホテル椿山荘東京。夜には 1000 灯の光で照らしだすライトアップと日中も見ることがで きる東京雲海。1日 2 回、流れ星が夜空に光る幻想的な演出で注目されている。まさに都会の リーンオアシスだ。その庭 園を望みながら優雅な気分にさせてくれるのがアフタヌーンティーのパイオニアが織りなす「イブニン ハイティー」だ。 現在に至った経緯やアフタヌーンティーも含めて現状と今後の展開を生田博士調理課長にお聞きした。 イブニン ハイティー 伝統の逸品

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