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JARC LIVE 7 空調 ・ 換気と感染リスクについて 新型コロナウィルス感染症対策専門家会議の見解によれば、これまで集団感 染が確認された場所で共通するのは、①換気の悪い密閉空間、②多くの人が 密集していた、③近距離での会話や発声が行われたという3つの条件が同時 に重なった場合であるとしている。リスク要因の一つである「換気の悪い密閉 空間」に該当することを防ぐための空調 ・ 換気の効果が期待されている。 空調 ・ 換気による感染リスクの低減は、感染性飛沫と飛沫核の空気中濃度を 換気(外気の導入)による希釈とフィルタによる空気中からのろ過によって低下 させることにより達成される。 換気について、厚生労働省では、「建築物衛生法(建築物における衛生的環 境の確保に関する法律)における空気環境の調整に関する基準に適合してい れば、一般的な建築物の空気環境の基準を満たすこととなるため「換気が悪 い空間」には当てはまらないと考えられる。」とし、換気の方法を、機械換気によ る方法と窓の開放による方法に分け、以下のように管理権限者に推奨している。 ①機械換気 ( 空気調和設備、機械換気設備 ) による方法 建築物衛生法における特定建築物※ 1に該当する建物については、建築物 衛生法に基づく 空気環境の調整に関する基準が満たされていることを確認し、満たされていな い場合、換気設備の清掃、整備等の維持管理を適切に行なうこと。 特定建築物に該当しない建物においても、建築物衛生法の考え方に基づく必 要換気量が確保できていることを確認すること。必要換気量が足りない場合は、 一部屋あたりの在室人数を減らすことで、一人あたりの必要換気量を確保する ことも可能であること。 ※ 1 建築物衛生法における特定建築物とは、興行場、百貨店、集会場、図書館、 博物館、美術館、遊技場、店舗、事務所、旅館等の用途に供される延べ床 面積が 3000㎡以上の建築物をいう。 ② 窓の開放による方法 □換気回数を毎時2回以上(30 分に一回以上、数分間程度、窓を全開する。) とすること。 □空気の流れを作るため、複数の窓がある場合、二方向の壁の窓を開放する こと。窓が一つしかない場合はドアを開けること。 一方、フィルタによるろ過については、日本のホテル・旅館などの空調機には、 一般的に中性能フィルタが備えられており、大きい飛沫核に対する捕集効果が 期待できるとされている。以上より、ホテル・旅館などのレストラン・喫茶、宴会 場などにおいて、建築物衛生法に基づく空気環境の調整に関する基準が満た され、中性能フィルタが備えられている空調・換気システムでは、1 ~ 2mを超 える範囲で飛沫や飛沫核として新型コロナウィルスが拡散したとしても、その濃 度は低く制御されるため、感染リスクは小さいと考えられる。 ただし、「換気の悪い密閉空間」はリスク要因の一つに過ぎないこと、換気性 能やフィルタの捕集性能の維持管理が重要であること、曝露濃度に加えて曝露 時間も感染を左右する要因となる可能性があることにも注意が必要である。 「ホテル・旅館の安全・安心読本 2020」発刊 2016 年より「週刊ホテルレストラン」にて掲載された内容の見直しを行ない編 纂した冊子「ホテル・旅館の安心・安全読本 2020(一部 1500 円税込み、 送料別)」を発刊。ここ数年 CSV 活動の一環で会員が保有する知見を観光 施設メディアラボとして取りまとめたもの。単にデザインだけでなく天災・事故・ 犯罪など社会を取り巻くリスクに対する対処策を広く啓蒙することに深い意義が あるととらえている。 「日常の災害対策」の章では協会会員、医師・倉田大輔氏による「宿泊施 設の感染症対応の重要性」が記載されている。同氏は「新型コロナに限ら ず、未知の感染症や未曾有の被害が私たちを襲う可能性は今後も起こり得る でしょう。宿泊施設は観光や娯楽として捉えがちですが、『日本という国家を守 る施設でもある』と私は考えています」と宿泊施設における使命、価値の高 さを末筆に綴っている。 (公社)国際観光施設協会の取り組み 観光施設(ホテル・旅館) における新型コロナ感染防止空調・換気にともなう室内空調の感 染リスクに関する見解(2020 年 9月8日発表より抜粋) 国際観光施設協会会員企業が取り組むコロナ感染対策事例 株式会社サンゲツ 床材事業部 事業推進課 岸本 洋和様 〒451-8575 名古屋市西区幅下一丁目4 番 1 号 www.sangetsu.co.jp 宿泊施設の新型コロナウィルスの感染対策の鍵となる FFE の抗ウィルス対応! 抗ウィルス商材の開発はいつ頃から取り組んでいましたか? 抗ウィルス商材は、新型コロナ以前から一部の商品で開発していました。し かし「コロナが流行る前の内装への抗ウィルスへの期待値が薄かった」のが真 実です。 抗ウィルス商材ごとの状況を教えてください。 まず壁紙・カーテンは、コロナ前とコロナ禍では売れ行きが全く違います。しかし、 新型コロナウィルスの感染拡大で非常に多くの数量が短期間に売れました。(販 売先は、住宅と非住宅) 抗ウィルスニーズは、住宅、宿泊施設、オフィス、 学校などどこが大きいですか? コロナ感染対策・抗ウィルス内装商品へのニーズはまだ本格化とは言えないと 思います。住宅でも一部のハウスメーカー様が抗ウィルス・抗菌対応に取り組ま れておられますが、まだニーズは限定的です。 宿泊施設は、既にある抗ウィルス 壁紙のデザイン数が少ないので中々お客 様のデザインのニーズにマッチしないのが課題で、特注も視野に入れて活動をし ております。 オフィスは、企業内クラスターなど発生していますが全てのお客様が内装の抗 ウイルス化へ動かれているとは言えない状況です。 学校などは、メンテナンスでワックスをかけるのでワックスをかけると抗ウィルス 効果を発揮しなくなりますので、ワックスフリー抗ウィルス商品床材を開発して発 売しました。 https://www.sangetsu.co.jp/pickup/antiviral/floor/ あとは、課題になったのは、タイルカーペットの厚生労働省の認める消毒剤へ の耐性対策ですね、次亜塩素酸ナトリウム使用による色落ち対策などです。 この辺に対応する商品も豊富に取り揃えております。 今後の展開は、現在は、床材、壁紙、カーテン、特注対応の粘着剤付化 粧フィルム「リアテック」、大版セラミックスラブ「GARZAS〈ガルザス〉」です が各分野で抗ウィルス製品はもっと増やしていきたいと考えています。 Withコロナの時代の FFE は、SIAA 抗ウィルス認証取得商品が当た り前になる時代になるかもしれませんね!

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