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JARC LIVE 31 IATA インバウンド回復 2024 年と予測 次にインバウンドの現状をみると経済的危機となった 2008 年〜 2009 年のリーマンショック、そして自然災 害がもたらした2011 年の東日本大震災により、過去 12 年間で2 回、インバウンドは減少しました。とは言っ てもビジネスを目的としたインバウンドは動いていました。 ところがこの度のコロナ禍においては各国により対応は 異なりますが、ビジネス客が動きにくい状況となったので す。ここが過去 2 回のときとは異なるところです。 今後インバウンドはいつ戻るのかというと、さまざまな 予測がされていますが、年間約 3200 万人に戻すた めには2023 年~ 2024 年までかかると言われていま す。世界の航空会社で構成される業界団体 IATAで は2024 年という見解を示しています。私個人としては 2023 年ごろと予測していますが、ワクチンの普及が見 えない中、なかなか見通しがつかない状況です。 しかし、日本のコロナ感染状況を見る限り、欧米の数 値と比較して日本はコロナを抑えています。もともと、生 活習慣から手洗い、うがい、マスクが日常化していました ので、衛生面では他国と比較してしっかりしています。お そらく、日本は安心安全な国としての認識が世界的に認 知され、日本に戻るインバウンドは多いのではと推測します。 インバウンドの回復はビジネス客に始まり、次いで個人 の観光客、そして団体客の順に回復していくことでしょう。 菅政権においても2030 年に年間 6000 万人という 目標は据え置きし、ビジネス客の規制緩和から始めるよ うです。2021 年夏に東京五輪が開催されるとすれば、 東京五輪前に個人旅行そして団体旅行の入国における 規制緩和を目標達成に向けてきっとやるでしょう。政府 においても国力を高めていくためにインバウンドは重要な 市場であるという認識が高いからです。 バーチャル・オンラインツーリズム誕生 新たな動きとしてバーチャルツーリズムも動き出しまし た。民泊予約サイトに端を発したエアービーアンドビーは 地域のアクティビティ情報やオンラインで体験できる旅情 報を展開しています。“プロのシェフと一緒に屋台のタコ スを作ろう” やワインにフルーツを入れて作るサングリアレ シピなど、各国ならではの食を題材にオンラインで発信し ています。 また大英博物館の無料バーチャルツアーや国連調査 で幸福度 3 年連続 1 位を獲得したフィンランドにフォー カスし、フィンランド人と会話をして食事を楽しむなど、ラ イフスタイルを体験できるものもあります。 HISでは600を超えるオンラインツアーを展開してい ます(注:2020 年 11月12日時点)。世界一周バー チャルライブツアーや現地とのライブ生中継、オンライン 墓参り代行サービスなどもあります。あうたびツアーは人 に会うことをテーマにした旅を提供しています。地元の人 との交流、地産地消、農林水産体験など、田舎暮らし をキーワードにワクワクする旅を企画しています。このほ か、和歌山県にあるゲストハウス「whykumano」にオ ンラインで宿泊体験ができます。まいまい京都では、世 界遺産である二条城はライブ配信(2500 円)を行ない、 1回目500 人、2 回目900 人を集客するなど、普段 では見られない禁断エリアを発信したことが数字に表れ たのです。 今後においては5G の発達、浸透によりオンラインを 活用しながらリアルとのバランスをとり、ハイブリッドで持 続的な新しい観光価値を創造していくことが求められま す。またYouTubeを活用して20 代、30 代をとらえた 宿泊施設の販売もポイントです。さらにコロナにより働く 環境が急変する中、ワークとバケーションを組み合わせ たワーケーションも、温泉地や国立公園など国の支援を 背景により進められていくことでしょう。 インバウンドの回復にはまだ少し時間がかかるとおもい ますが、ゆくゆくは戻って来るインバウンド需要を獲得す るためにも観光業におけCRM(顧客関係管理)が重 要です。顧客リストをしっかり管理し、継続したコミュニケー ションをとっていくことで顧客生涯価値を最大化していく。 少子高齢化、そして、旅行スタイルも団体から個人へ 大きくシフトしていく中、この取り組みこそが今後の地域、 そして日本の観光業発展に不可欠なことなのです。 ㈱やまとごころ 代表取締役 村山 慶輔氏 〒 160-0022 東京都新宿区新宿 2-9-22 多摩川新宿ビル 3 階 TEL:03-5312-8314 FAX:03-4333-7398 HP:https://corp.yamatogokoro.jp

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