JARCLIVE9

JARC LIVE 5 す。 鈴木 病院ほどの設備を整えるためには高額な費用がか かります。 林 原子力発電では熱交換を行ない、最後は空気中や 海など人間の存在していないところに廃棄しています。同 様にクラスターが起きないような風の流れをいかに作りだし ていくか、航空機のように3分に1回、新鮮な空気に入れ 替えるなど、徹底した換気を行なっていることが安全・安 心対策を徹底しているホテルであり、その取り組みをホテ ルの PR 材料として生かすこともできます。 高橋 山梨県県民生活部のグリーン・ゾーン推進課では 換気量まで調査しています。通常の3倍以上の換気をして いる施設では、それをアピールポイントに展開しています。 新幹線も換気への取り組みをアピールしています。コロナ 以前は本来出さなくても良いものを今はセールスポイントとし て表に出すようになりました。またダクトの中で殺菌して排 出する製品もありますので、さまざまな商材を生かして安 全対策に取り組んでほしいところです。 林 実際、JARCにもホテル様から感染症基準をどうした らよいのか、どんなメーカーにどんな商品があるのかなど の問い合わせが寄せられています。都度、メーカーの紹 介や商品のご案内をしています。これからはますます安全 対策を大いにアピールとして活用することができるようになる でしょう。 <ホテルの安全対策は万全なのか> 鈴木 また湿度コントロールも安全対策の一貫として考え なければならないと思います。WHOでは冬場の温度を 18度以上が望ましいとし、また一般に呼吸器系疾病予防 には湿度を40%~60%に制御することが望ましいと言われ ています。現在の機械空調設備でも加湿装置が付加され ているが、冬季に40%以上に調整することは難しい場合 もあります。あるメーカーでは家庭用に温湿度調整を同時 にコントロールする機械を販売しており、商業施設用の製 品も開発してほしいとの要望を出してみましたが台数が見 込めないために製造計画が立たないと言われました。 林 ホスピタリティサービス工学についてもしかりです。ホ テルマーケットは小さいという認識がメーカーに根強くある ため、マーケットが小さいために最新テクノロジーの導入 が他産業に比べあとまわしになってしまう。この経緯から今 後 JARCでは現状のホテルマーケットを今までより大きなも のにしたいという観点から国内だけではなく、世界のマー ケットに日本のホテルの仕組みを輸出していくべきであろうと 考えています。 鈴木 先程の音を消すという技術ですが、ある大手自動 車メーカーの高級車のボンネット裏には音エネルギーを熱エ ネルギーに変えて捨てる材料が貼ってあると聞いたことが ありますが、大きなコストがかかっており高級車を大量生産 するという条件だから成り立つものだと思います。 高橋 建材についてお聞きしたいのですが、抗ウイルスに 対する安全なレベルというものはあるのでしょうか。SIAA 認証の抗ウイルスが安全と言われていますが、関わる団体 が個々で基準を決めているきらいがあり、統一の基準がな く、今はあいまいなまま進んでいるのが実状です。 鈴木 消防の防炎に関しては基準が明確ですが、抗菌 や抗ウイルスに関する国の基準はありません。ハードウエア に商材を卸しており企業はハードウエアに提供する上で認 証をつけて販売しています。 林 今後は建築基準の中に行動解析など感染症に対す る基準を定めていくべきです。せめて“抗ウイルス率 40% 以上ではないとNG”というような基準を定めていただかな いと消費者は迷います。建築側に抗ウイルス対策されてい ると言われればそれを信じるしかないのが実状です。 高橋 最近良く聞かれるのが、抗ウイルスコーティングした 後の手入れはどうすれば良いのかということです。コーティ ング後は乾拭きだけで良いと言われるものの、本当にそれ で良いのか。ウイルスは付着していないのかという不安を 感じていらっしゃいます。実際、アルコールで拭けば折角 のコーティングが剥がれてしまいます。持続性においても 不明確で本当に何年も効果持続が可能なのかなど、さま ざまな疑問の声が聞かれるようになりました。今後はそのよ うな情報も建築の視点で教えていただきたいと思います。 林 アクリルパネルもさまざまなところで置かれていますが、 アクリル素材そのものは可燃性のものですから、消防法 一般社団法人 宿泊施設関連協会 林 悦男会長 s p e c i a l i n t e r v i e w

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