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28 と考えるポジティブな意見が多い。副業に触れる機会さえ あれば協働も十分期待できるものではないか⒁ ②ホテル・旅館のメリット 日本では近年、「ニューツーリズム」が脚光を浴びてい る。ニューツーリズムでは、従来の観光名所を回る物見 遊山の観光ではなく、体験型のコンテンツや地域の人と の交流など深い体験を求められる。富良野市では、数名 の有志を中心として官民一体で廃業や転業で生まれた空 き地を利用し食の魅力を発信する複合施設づくりを中心と した利便性の高いコンパクトシティを建設した。結果、平 成 27 年度には来客数 118 万人となり、今では生まれた 利益を再投資することで更なる活性化を図っている。⒂ FCから生まれた新たな取り組みは地域の特色となり、観 光客の呼び込みにつながりその土地のホテル・旅館の賑 わいに貢献するはずだ。また、プロジェクトが立ち上がり 地方で副業として活動するようになった都市部からの参加 者はホテルにリピーターとなることが予想されホテルにとっ てもリピーター獲得というメリットがある。政府は2020 年 度に、東京圏に住みながら地方で兼業や副業をする人に 交通費を1 人当たり年間 50 万円を上限に 3 年間で最 大で150 万円を支給する支援制度を始める予定だ。⒃ 支援制度を利用した週末の人の往来が進むことが考えら れ、ホテル・旅館の副業者向けの週末限定プランなどの 策定などは副業者の負担を減らすことにもつながり、往来 を促進するものになるだろう。 また、ICT や IoT の普及に貢献しサービス向上や省人 化に寄与すると考えられている。掃除用ロボット導入によ るバックヤードの従業員の負担軽減などである。プラザホ テル豊田では、情報共有伝達補助ツールアプリの導入に より、従業員間での連絡系統を確立することで作業効率 を向上させた。⒄日本の全人口の 7 割から8 割はサービ ス産業に従事しているが、労働生産性の低さが国内の他 の産業や他の主要国の観光産業と比較して問題視されて いる。しかし、IoT に必要なセンサーの分野では日本は大 きなシェアを占めている。この、日本の強みであるセンサー とでは大きなシナジー効果を生むのではないか。また、コ ロナ下では、密を避ける必要があり人の移動を感知し混 雑発生を避ける仕組みがとられている。星野リゾートでは、 大浴場の入り口にセンサーを設置することで混雑状況を 顧客がスマートフォンを通して確認できる仕組みを導入し た。⒅ 人の動きを把握し、密にならないようにする仕組 みを構築するホテル・旅館こそが顧客から求められるので はないか。 まとめ 私はホテル・旅館の FCを中心とした地域の活性化を 図る新しいビジネス・地方創生モデルを提案した。旅館 業の従来の役割は安心・安全で快適な施設・サービス の提供であった。しかし、今後は観光客と周辺に住む方 とを結びつける共創の場を作り出すことが重要なのではな いか。観光客は日本全国・世界各国から訪れ、多様なバッ クグラウンドを持つ。その中でも、新しい経験を求め地方 での副業を求める人は多く存在する。一方で、地方在住 者は人手不足やノウハウ不足などの地方特有の問題を抱 える。両者をFCを通して結びつけることは、新たな産業 や事業の発足につながり、ひいてはその土地の魅力を生 み出すものである。副業に来た滞在者を取り込むことでホ テル・旅館はリピーターの獲得というメリットだけではなく、 その土地の魅力という長期的な武器は長期的な繁栄をも たらすと考える。 図 1は提案を大まかにまとめた図である。 結 付ける拠点に 短期的・長期的にも宿泊業にとっては GOOD 観光客 ホテル・旅館 フューチャーセンター 地方在住者 図 1 提案の概要 短期的 長期的 多様なバックグランドを持ち新 しい経験を積むことのできる 副業に関心を持つ 副業のために休日を利用した来訪を見 込め、リピーターの獲得につながる。 地域の魅力を創造ることにつなが理、 観光客の誘致につながる 人手不足やノウハウ不足で 事業展開に悩む人材流出や 少子高齢化などの課題を抱 える 創発の場へ 新たな付加価値を生み出す事業の発足 (ex 六次産業化) 地方の課題の解決に貢献する活動の発足

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