JARCLIVE9

JARC LIVE 17 しゃる数が増える傾向にあります。おそらく冷えにより体の 不調を感じやすくなっているのだと思います。また昨今の 海外渡航制限の影響により新規のお客さまも増えていま す。中には例年はタラソテラピーの本場であるヨーロッパ へ行かれていた方が、初めてご来館いただくケースもあり ます。とてもウェルネスに対して意識の高い方々ですので、 私たちもより知識を高めていかなければなりません。 ―実際、何泊するのが理想的だと思われますか。 現在、ステイプラン2泊3日をご用意していますが、理想 的には4泊5日まで延ばしてほしいと思います。それは味覚 の変化は3日からと言われており、3日を超えないと食の変 化も自覚することが難しいという理由です。 ―最後に今後取り組んでいきたいことをお聞かせください。 部署間の連携をさらに強化したプログラム作りをしたい です。例えば、朝食・夕食時のゲストとレストランスタッフと の何気ない会話の内容や、ゲストがホテル敷地内を移動 する際、徒歩なのかカートを使ったのかをフロントスタッフか ら聞くことで、アドバイスやプログラム提案に個々人の好み や運動習慣などを反映することができます。タラソスタッフ だけでは把握できない情報を部署間の連携で強化するこ とで、お客さまの悩みを解決できるより深いプログラム作りを していきたいです。 ―はじめにシェフとして大事にされていることはどのよう なことですか。 ウェルネスは別にして、料理に対する基本的な考え方 は“おいしくないと楽しくない”ということです。食事は 楽しんでいただくものであり、楽しく食べることで心身とも にリフレッシュされて元気になります。開業した 10 年前 はウェルネス= 薄味という思考に偏ってしまい、単純に 塩分や糖分、脂分を控えめにした結果、“味がない”と いうお声をいただきました。 ―お客さまの声を聞き、どのように改善されていかれた のですか。 塩や砂糖など調味料は控えめに、食材そのものの素 ホテル ループ アシスタント ループリーダー (ファインダイニン シェフ) 比嘉徹氏 材を活かした調理法を施すことでお客さまに納得してい ただけることが分かりました。これでいけるな、と感じた のは開業 5 年目でした。素材を厳選することで、バター やクリームなど極端な味付けをしなくても塩だけで十分な 味わいがあります。実際、リピーターも増え、お客さまか らも“料理がおいしかった”というコメントの数も増え、2 泊 3日されるお客さまが 2日とも連日、ご来店いただける ようにもなりました。 隣接するザ・ブセナテラスの 8 つのレストランとファイン ダイニングとを使い分けて、味の変化を楽しんでいただ き、どのような違いがあるのか、楽しんでいただければ と思います。濃い、薄いだけでも分かれば十分かと思 います。 ―確かに濃い、薄いの違いを体感できることにより、健 康に対する意識改革にもつながります。そして味を司 る料理人にとって味覚は重要かと思いますが、スタッフ にはどのような指導をされていらっしゃるのですか。 スタッフには、食べていて喉が渇かない食事をご提 供することを伝えています。ラーメンを食べるときにお水 を飲むように、お水を飲むということは塩分を取りすぎて いることからおこる行動だからです。そして味見のとき、 一口目においしいと感じたときはNGです。おいしいと感 じるのは味が濃いからです。一口目は薄く感じ、二口目 はなじんでおいしいと感じられるような料理を目指すこと を伝えています。あとはスタッフの味覚を信じて!です。 ―ところでタラソスタッフとの連携はどのようにされてい るのですか。 例えばタラソチームから“運動されている方のため、 たん白質多めのお料理を提供してほしい”という要望が あったときには、高たん白な鶏の胸肉をメニューにアレン ジしています。これまで難しかった要望はありませんでし たが、アレルギーについてはより慎重に対応するように 意識しています。 ―最近はうつ病など精神疾患に悩まれている方も増え ています。 そのような方には見た目の華やかさが大切です。気 分が落ち込んでいるときにきれいなものを見ると元気がで ます。お客さまからも“見た目の盛り付けがいい”という 声をいただいております。エディブルフラワーでアレンジ したり、ソースの掛け方でアピールしています。例えば お二人でお食事されるとき、同じ料理でも盛り付けを変 えてご提供することもあります。見た目の美しさはお食事 中の華やぎにもつながり、会話もはずみます。 ―最後に今後のチャレンジをお聞かせください。 恥ずかしがり屋なので苦手だったのですが、お客さま の前に出て会話をすることを楽しみたいと思います。声 を聞きながら“じゃあ、また明日も”とリピートにつながる よう取り組んでいきたいと思います。また 2021 年は開業 10 周年となりますので、支配人はじめスタッフ全員でさま ざまなイベント企画に取り組んでいきたいと思います。 試行錯誤、5 年かけて 作り上げたおいしい料理 S T A F F C L O S E U P

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