JARCLIVE9

JARC LIVE 23 TAP AWARDS 提案内容 効果 オーダーメイドサービスの提供 ・安全安心の提供 ・顧客のニーズにそったサービス提供 医療関係者同行の送迎サービス ・安全な送迎サービス ・移動手段の確保 医療機関における看護研修 ・ホテル職員が介護を身に付けることによる対応力強化 ・医療機関による看護補助体制加算の取得 セントラルキッチンによる共用化 ・コスト ウン ・食事の新メニュー開発 図2 新サービス及び資源の共有化の内容と効果について a)収入形態 ホテル業界の収入としては、宿泊収入がすぐに思いつ くであろう。しかし、宴会部門、レストラン部門も大きな 収入となり、この 3 つが主な収入源といえる。そして、利 用料金については、全てホテル側で値決めが可能である。 なお、料金は顧客から直接入る仕組みとなっている。利 用料金の設置と、料金の入る仕組みは多くの業界も同様 である。 医療機関の主な収入は、入院収入、外来収入などの 保険診療収入である。この中の入院収入や外来収入の 詳細は、診療報酬として国が定めるため、値決めができ ないという特徴がある。それぞれの処置の内容や医療機 関の人員体制等により、料金が決まるのである。この診 療報酬は、2 年に一度改訂が行われ、医療業界はその 度に一喜一憂しているのが現状である。 実際にかかった費用については、医療保険制度の加 入者である被保険者(患者本人)と保険者から支払わ れることになる。医療機関は、被保険者からは医療費の 一部を患者負担額として直接支払いを受けるが、保険者 から診療報酬の請求を審査支払機関に対して行うことに よって診療報酬の支払いを受ける。この間支払いまでに、 2ヶ月要することが最大の特徴といえる。 b)顧客ニーズ 顧客のニーズは、同じサービス業としても真っ先に求め られることが異なる。ホテル業界は他サービス業と同様に、 顧客へ「快」を提供することが主な目的であろう。心地 よい空間、接客などである。 それに対し、医療機関に真っ先に求められるのは「治 療」である。症状が良くなるために診察するのであり、そ の為には顧客の生活に我慢を強いることもある。まずは、 治療ありきなのである。 また、設備や空間において求めることも異なると推測す る。ホテル業界では、「プライバシーの確保」が第1に求 められるであろう。しかし、医療業界では生命に直接関わ ることが多いだけに、まず「安全確保」なのである。 しかし、ホテルでのサービスも「安全確保」は重要で ある。同様に、医療サービスにおいても「快」の提供は 求められる。真っ先に求められやすいニーズが、ホテルは 「快」の提供であり、医療では「治療」なのである。そ れは、「プライバシーの確保」と「安全確保」も同様である。 5)提案 ホテル業界、医療業界とも共通部分や多少の違いが あるものの、新型コロナウイルス感染拡大により、両業 界共に苦しい経営状況となっているのは否めない。この厳 しい状況の中、両業界が協働することで、新しいサービ スの提供ができる可能性があると思料する。 特に、昨今の感染症拡大により、今まで以上に「安 全」が求められている。そこで、ホテル業界に医療の安 全性を上乗せできないかと考えた。その提案内容を図2に まとめた。詳細を以下に示す。 ①オーダーメイドサービスの提供 医療機関では往診という診療がある。患者の自宅を医 師が訪ね、治療や状態確認を行うのである。このサービ スにホテル職員が同行し、患者のニーズを吸い上げる。 場合によっては、ホテル業界の得意分野である衣食住の オー ーメイドサービスを提供するのである。例えば、レス トランでたまには食事をしたいが、コロナ禍では外食でき ないという患者へは、ホテルの食事を宅配サービスする。 往診により患者の状態を把握しているので、その患者の 身体状態に配慮した上での食事提供が可能となる。 往診時に訪問した医療関係者がホテル側へ情報提供 すれば、あえてホテル職員が同行する必要はないのでは ないかという考え方もあるかもしれない。しかし、医療関 係者は何がどれくらいどのようなサービスを行えるかが分か らないため、具体的なサービス情報を提案できない。本 サービスはあくまでも、医療とホテル業界がコラボレーショ ンし、その顧客にあったサービスを提供していくのである。 先ほどの食事サービスにしても、外食と誕生日を祝うので は、望む環境が異なる。プロデュースを患者も含み 3 者 で行うのである。 患者を自宅で看るご家族は、できるだけ患者に良い思 い出を作って欲しいと考えるものである。現状において、 顧客のニーズにそった衣食住のオー ーメイドサービスを 医療とコラボレーションすることで、「安全安心」と「快」

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