JARCLIVE10

JARC LIVE JARC(ジャルク)一般社団法人 宿泊施設関連協会 Japan Accommodat ion Related Consort ium vol.10 時代の変化にしなやかに対応していく 宿泊施設とともに「稼ぐ力」を引き出しあう

2 株式会社ジェントは、株式会社タップの100%子会社であり、ホテル・旅館などの宿泊業に特化した日本 語学校運営(栃木国際教育学院)事業、外国人人材紹介、外国人向けオンライン教育、外国人の就職支援 など、留学、教育、就職まで一貫した事業を行っています。 親会社である株式会社タップと連携を図りITやマネージメントも理解した人材を宿泊業界へ輩出すること、 そして観光立国を目指す日本において、その中心となる宿泊施設に対してグローバル化、就業人口不足の 一助となるよう努めてまいります。 株式会社ジェント 本社〒135-0016 東京都江東区東陽2-2-4マニュライフプレイス1F TEL:03-5683-5321 支店〒320-0861 栃木県宇都宮市西1-2-3SKビル TEL:028-678-4736 Website:https://www.tap-ic.co.jp/ Website:https://tiei.jp/ 日本語学校 面接で 選抜する 教育された外国人を宿泊業界へ就職斡旋 合格者 進学 学生 一般的な日本語学校 応募 地元高校 入国前・入学前に現地教員が教育+ 栃木国際教育学院 教員がオンライン 授業で教育+Eラーニング教育 ホテル・旅館に就職 入国・入学 地元大学 日本の大学や 専門学校、帰国 進路 学校職員と 面接 栃木国際教育学院 日本のホテル・旅館で働きたい 主に大卒者を募集 学生 ・女性7割 ・年齢22歳~ 28歳多数 ・ホテル、サービス 就業経験者 多数 進学 応募 入国・入学 栃木国際教育学院 ホテル・旅館に特化した授業 1.アルバイトがカリキュラム(接客経験) 2.就職セミナー 3.社会人基礎力 4.おもてなし検定授業 5.ホテルシステム習得 6.ホテル・旅館インターンシップ研修 7.特定技能研修 就職 筆記中心の授業 進学 ・相手や場面に応じた コミュニケーション力 ・主体性、働きかけ力、実行力 ・発信力、柔軟性、規律性 ・課題発見力、計画性、その他 ・おもてなし ・現場で使える実践的な力 ・基礎研修~応用研修 ・ホテルシステム取得 ・特定技能試験に必要な 知識 ・対策講座 ・過去問対策 ・観光スポット ・日本の主要都市、インフラ ・宿泊業界 基礎知識 ・ホテル、旅館用語 栃木国際教育学院は法務省告示適正校として認定を受け、日本のホテル・旅館への就職を目的とした日本語 教育ならびに、社会人基礎力を通じて日本社会への高度な貢献ができる人材の育成を目標にしております。 ジェントとして、今まで数多くのホテル・旅館への就職斡旋実績ございます。 会話 日本で唯一「ホテル・旅館への就職コース」があり、 ホテルシステムが学べる日本語学校!! 日本語 授業 日本語 授業 会話中心の授業 私たち栃木国際教育学院は優秀な学生を宿泊業界に輩出しています。 社会人基礎力 観光業知識 ホテル システム 特定技能

JARC LIVE 3 J a p a n A c c ommo d a t i o n R e l a t e d C o n s o r t i um J A R C L I V E VOL.10 協会の主旨と目標 JARC 役員 宿泊施設関連協会は、観光立国の中枢である宿泊施設とともに、刻々と変化する宿泊業界がさらに発展していけるよう、宿泊施設に携わる同じ想いをもっ た企業が集まる協会です。訪れたお客さまへ、よりストレスフリーな環境を提供することにより、それぞれの地域が活性化していくことを目的とします。 また、先々の時代の変化にしなやかに対応していくため、宿泊施設の皆様とともに生産性の向上考え、お互いに「稼ぐ力」を引き出し合っていきます。 ◆宿泊施設の海外進出 海外で働く 134 万人の日本人に心の安らぎを与える場所を提供するために、日本の宿泊施設が海外進出することにより、日本の文化の発 信はもとより海外に劣らない経営・運営手法や生産性向上のための方法を模索していきます。またその土地に住む外国人の人々に、その土 地にある日本の宿泊施設を通して日本を体験してもらい、日本を訪れてもらえることを宿泊施設とともにめざしていきます。 ◆ラストリゾート 国内外の日本の宿泊施設が、有事の際にその土地の人々の避難場所や緊急病院となり、人々の安全が確保される場所に宿泊施設がなれるよ うともに歩んでいきます。 ◆宿泊業の地位向上 宿泊業に携わる人々の意識を高めていくとともに、宿泊業に必要なスキルが向上できるよう、ともに学び、宿泊業がプライドの持てる職業 になれるよう、支援していきます。 会長 林 悦男(株式会社タップ 代表取締役会長) 最高顧問 藤野 公孝(元参議院議員) 特別顧問 本保 芳明(一般財団法人アジア太平洋観光交流センター理事長)、久保 成人(公益社団法人日本観光振興協 会 顧問)、石塚 勉(専門学校日本ホテルスクール 理事長) 監事 八木 豊(サーブホテルズ株式会社 代表取締役社長) 専務理事 須藤 文昭(元藤田観光株式会社 常務執行役員) 理事 北村 剛史(株式会社サクラクオリティマネジメント 代表取締役)、小澤 一弘(株式会社中部衛生検査センター 専 務取締役)、村山 慶輔(株式会社やまとごころ 代表取締役)、石原 健(株式会社ホスピタリティデザイン横浜 代 表取締役)、渡部 聡(サン・パシフィック・エンタープライズ株式会社 専務取締役)、高橋 敏也(一般社団法人 メイドインジャパン・ハラール支援協議会 理事長)、櫻井 慎也(株式会社近清 代表取締役)、畑山 和沙(株式会 社セラヴィ 法人営業部 部長) 2 JARC協会の趣旨と目標 4 JLMシンポジウム 無料オンライン・マネジメント講座 第1回 宿泊産業の展望~ウィズコロナの経営課題~ (一社)日本宿泊産業マネジメント技能協会 理事長 作古貞義氏/㈱ JTB 取締役相談役 田川博己氏/㈱タップ 代表取締役会長 林悦 男氏/㈱観光経済新聞社 代表取締役社長 積田朋子氏/㈱ホテル オークラ東京前会長 清原當博氏 10 次世代のホテリエ達 あの憧れのホテルに泊まってみたい!スタッフクローズアップ 「ハイアットリージェンシー横浜」総支配人 齋藤孝司氏 なぜホテル業界を選んだのか? 「東洋大学」国際観光学部国際観光学科4年生 岡俊輔さん/3年生風間葵さん 14 JARCウイズコロナ安全行動基準プロジェクト 犯罪を未然に防ぐという着眼と同様に、 ウイルスの感染を未然に防ぐことに着手 ㈱トラスト代表取締役 宮本光二氏 2020年 11月COVID-19 エビデンス取得 銅イオンを使った「接触感染防止システム」 日本大地㈱薫事長 松崎昌美氏 / ㈱スモールアイランド 代表取締役 山崎毅氏 18 JARCゼミナール 第29 回 ㈱サクラクオリティマネジメント代表取締役/ 当協会理事 北村剛史氏 第30 回 サン・パシフィック・エンタープライズ㈱ 専務取締役/当協会理事 渡部聡氏 22 生産性向上のためのテクノロジー導入事例 tapAppli 東急リゾーツ&ステイ㈱ステイ運営統括部運営企画部 運営企画グループ主任 山本宏哉氏/㈱タッププロジェクト 事業本部営業部課長 村山和歩氏 客室清掃管理システム ㈱タッププロジェクト事業本部営業部グループリーダー 谷口 敬生氏 27 【宿泊施設ができるSDGs】 世界のサステナブルフードの現状 (一社)メイドインジャパン・ハラール支援協議会理事長/当協会 理事兼事務局長 高橋敏也氏 SDGs 時代に選ばれるホテルとは レバジーズオフィスサポート㈱取締役 兼 アジア人材サポート協 同組合代表理事 竹内優明希氏 30 【日本工学院ホテルコース特別講義】 「ホスピタリティサービス工学という視点」 ㈱タップ代表取締役会長 林悦男氏 34 第 49 回国際ホテル・レストラン・ショー ㈱アッサアブロイ グルーバルソリューションズ ジャパン/㈱アル ファクス・フード・システム/OYO Japan(同)/㈱構造計画研究所/ システムギア㈱/㈱タップ/TrustYou㈱ /㈱ネットシスジャパン/ フクシマガリレイ㈱ 39 「JARCゼミナール」のご案内 40 会員ZOOMUP ㈱ダイオーズ ジャパン 環境衛生事業本部 衛生事業チーム マネー ジャー 伊藤博之氏/㈱コスモ グローバルビューティ事業部 部長 川添哲也氏 42 伝統の逸品 「新エクストラスーパーメロンショートケーキ」 ホテルニューオータニ取締役調理部長 中島眞介氏 44 「私が思うラグジュアリーとは」 ㈱サヴィーコレクティブ代表CEO/PerkUP㈱共同代表CEO 浅生亜也氏 46 JARC会員一覧 Contents

4 開催:2021 年 1月27日(水)15 時~ 16 時 30 分 主催:(一社)日本宿泊産業マネジメント技能協会 会場:(一社)宿泊施設関連協会 事務所 参加者数:113 名 過言ではない! 日本経済を支えている 観光業界の未来を切り開くための指南講座 JLMシンポジウム 無料オンライン・マネジメント講座 第1回 宿泊産業の展望 ~ウィズコロナの経営課題~ 旅行・IT・旅館・ホテルの4領域から わが国を代表する4人の講師招く (一社)日本宿泊産業マネジメント技能協会 理事長 作古貞義氏 社会貢献の一環として オンライン・マネジメント講座無料公開 本日はコロナ第 3 波、さらに第 4 波が予測される中で、 わが国を代表する4先生をお招きして第1回オンライン・ マネジメント講座を開催いたします。先生方、そして全 国からこの講座にご参加いいただきました皆様方にも厚 く御礼申し上げます。 JLMは宿泊事業の経営管理に求められるマネジメン ト能力の育成をミッションとする組織です。厚生労働省・ 職業能力開発促進法に基づく国家検定試験機関でご ざいますが、オンライン・マネジメント講座におきましては 社会貢献の一環として無料にて引き続き開催いたします ので引き続きご支援いただきますよう、今後ともよろしくお 願いいたします。 今回の講座は旅行業関連、情報、旅館、ホテルの 4 つの領域に分けて講話を進め、後半は参加の皆様か らの質問を寄せていただき、その場で回答いたします。 よろしくご協力のほどお願いいたします。 それでは 4 先生のご紹介をいたします。 始めにご登壇いただく田川先生は日本の旅行産業分野 では知らない人はいない方と言われる知る人ぞ知る方で ございます。幅広く日本の旅行業会の将来を含めた方 向性の整理をされています。WTTC(世界旅行ツーリ ズム協議会)など国際的な旅行関係の代表をいくつか 務められるなどこの分野で国際的な活動をされている唯 一の方であり、業界の発展に多大なご貢献をされてい ます。伺いますと田川先生は“旅行業界のドン”と言わ れているそうです。このように紹介するとは失礼かと存じ ますが、あまり硬いカタチではではなく進めていければと ひと言申し上げた次第です。 林先生は日本の宿泊産業に情報システムを取り入れ た先駆者として、歴史に残るであろうと私は思っていま す。皆さんもご存じの通り、情報システムは早いスピード で動いています。林先生から“宿泊産業界に欠けてい るものは何かと言うと、理系の発想で物事を考える人材” とご指摘いただき、私も賛同する意見です。そして今、 新たな時代に向け、ホスピタリティサービス工学という新 開催のあいさつ 一般社団法人日本宿泊産業マネジメント技能協会 理事長 作古貞義氏

JARC LIVE 5 しい領域を研究され「ホテルエンジニア」の育成に向 けた活動もされていらっしゃいます。 積田先生は「観光経済新聞」を発刊されています。 日本の旅館業界を代表するメディアの社長様です。先 生は就労者の過半が女性を占めているのにも関わらず 女性の管理者が少ないことを危惧され、積極的に女性 就業者の能力アップに尽力されていらっしゃいます。ま た当協会の理事でもいらっしゃいます。 清原先生はホテルオークラ創業期から務められいわ ば生え抜きの方であり、㈱ホテルオークラ東京の社長兼 総支配人を歴任されていらっしゃいます。ホテルオークラ をリーディングカンパニーとして引き上げたのも清原先生 のご尽力があってのことです。 もう少し皆様のお人柄をご紹介したいのですがお時 間が迫ってきましたので、これを持ちましてごあいさつと させていただき、田川先生の講話を進めてまいります。 日本の観光業界の未来に向けて「地域の魅力 を再確認」「観光が地方創生に寄与するという 事実」「地域の宝を磨く“ワカモノ”教育」を 2030 年 国際観光客 18 億人超え予測 皆さんもご存じのように観光(ツーリズム)産業は裾野 が広く、日本の経済を支えていると言っても過言ではあり ません。2019 年の旅行消費額は前年比 8.2%増の 31.6 兆円となり、2011 年以降で最高の数値となりました。国 内消費額は27.9 兆円、日本人海外旅行消費額は3.7 兆 円です。世界の潮流を見ると2018 年に国際観光客は 14 億人に到達し、2030 年には18 億人を超えると予測さ れます。今はコロナウイルスの影響で閉塞的ですが、ア フターコロナにおいては潮流が来ると信じています。 WTTC(世界旅行ツーリズム協会)1990 年創立され 世界の主要ツーリズム関連企業 144 名で構成される民間 の非営利団体です。ツーリズムに関わるすべての主要分 野を世界規模でカバーする唯一の団体であり、国連世 界観光機構(UNWTO)のカウンターパートナーとしてツー リズムに関わる調査研究、各国政府・国際機関に関す るロビー活動を行なっています。 毎年 1 回、WTTCグローバルサミットを各国で開催し ているのですが、東日本大震災の翌年の 2012 年に初め て日本で大会が行われました。そのとき震災の現場を見 ていただきたいと思い世界の皆様を仙台にお連れいたし ました。現場をご覧になり、参加者は感動され多くの情 報を発信していただきました。 昨年の 10 月にサウジアラビアで行なわれたG20 にも 民間団体として初めて参加いたしました。就労人口 3 憶 3000万人、世界GDPの10.3%を占める観光業界ですが、 世界的なコロナ感染症により2020 年の就業人口は 1 憶 9000 万人に落ち込ましたが、早急に1億人の回復を目指 していかなければならないことが議論されました。 「公衆衛生」に関して世界一位の日本 世界における日本の観光力は観光分野における国際 競争力ランキングによると4 位にランキングされています。 1 位はスペイン、2 位フランス、3 位ドイツの次となります。 特に「公衆衛生」「病院ベッド数」「HIV 非流行」「マ ラリア非発生」「陸上輸送力」「殺人事件非発生率」 の 6 項目の指標に関しては世界で1位を獲得しています。 おもてなしと清潔感が背景にある日本は素晴らしい国であ り、もっと自信を持ってほしいと思います。 2007 年の観光立国推進基本法の基本的な考え方で ある“住んでよし、訪れてよしの国づくり”は十分ご理解 いただいていると思います。改めて「地域の魅力を再 確認」「観光が地方創生に寄与するという事実」「地域 の宝を磨く“ワカモノ”教育」を進めていかなければなり ません。特にワカモノの育成は時間も必要とされますが、 小中学生に向けた学校教育活動がこれからの産業や地 域発展に欠かせないことだと思います。 改革に向けたロードマップの不明確さが課題 観光行動変化に伴い、三密回避の安全・安心のガイ ドラインの策定、新しい旅を“デジタル”社会の中で考 えること、新しい働き方・休み方(ワーケーション)、新し い国際交流(アウトバンドとインバウンド)の流れを作るこ とで新たな旅の形(ツーリズム)構築が不可欠です。安 世界のツーリズムの 潮流と日本の ツーリズムの未来 ㈱JTB 取締役相談役 田川博己氏 第Ⅰ部 講演の部

6 クノロジー技術やマーケティング、管理会計を、「ホスピタ リティサービス工学」という視点で考えられる人材が必要 になってきました。 今、JTB 田川先生より売る側であるマーケットのお話を いただきましたが、私どもは売る側ではなくホテル運営を 効率よく作り上げる創る側の会社として、ホテルシステム であるPMSをこれからも提供し続けてまいります。 これまでのPMSはホテルマンの方が操作するものでし たが、4 年前の当社創立 30 周年の式典の際、「これか らはマイホテル・マイオペレーション、マイホテル・マイリク エストの 2 つのホテルスタイルに分かれるだろう」と提唱 いたしました。自分のスマートフォンで予約からチェックイ ン、レストランのオーダーからチェックアウト。さらに領収書 の発行まで、自分自身で操作ができるホテルスタイルが「マ イホテル・マイオペレーション」。 一方、お客様のリクエストはできることなら、なんでも対 応するホスピタリティ精神でお応えしていくホテルスタイルが 「マイホテル・マイリクエスト」という考えです。 一定の距離をもってお客さまに寄り添う このような考えからシステム開発に努めてきたのですが、 予想外にコロナという事態が起こり、「マイホテル・マイオ ペレーション」という言葉が「非接触型サービス」に変わっ てきました。非接触型というのは共通のものに触わらない ことを意味しており、けっして非対面ではありません。一 定の距離をもってお客さまに寄り添いながら、お客さまの ご要望や困りごとには、いつでもお手伝いをするということ なのです。 では、この仕組みを実現するにはどんなことが必要な のかを考えたとき、サービスをエンジニアリングするという 「ホスピタリティサービス工学」が必要であることに気づ いたのです。そこで 4 年前に当社はシステム会社からホ テルエンジニアリング会社へのシフトを決断し、沖縄・琉 球大学にありました「タップ研究所」を「ホスピタリティサー ビス工学研究所」に名称変更しました。 実現にあたりホテルスタッフのサービスをホスピタリティと 作業に分けて考えることから始まりました。例えば、レスト ランでお客さまと接して感謝や感動を与えることがホスピタ リティであり、厨房から料理をテーブルまで運ぶことは運 搬という作業になるのです。 ところが、これまでは一連の流れをホテルサービスと言っ ていたのです。ホテルサービスと言われていた業務を支 全安心に対する対応は、ツーリズムでは最優先に取りくむ べき事項であり、より高度化が求められます。また休み方 や遊び方をより多様化することから、その多様性に対応 していかなくてはなりません。 最も大事なことはロードマップを示すことです。今やること、 今後すべきことを明確にすることです。これからスポーツイ ベントが続き、2025 年には大阪・関西万博が開催されます。 今、閉塞感の中にありますが、そこに向けて視点を変えて 準備を進めていかなくてはなりません。 「逆境に処しては断じて行え。決して惑うてはならない」 最後になりますが 1893(明治 26)年、渋沢栄一らの 発意により外国人観光客誘致機関「喜賓会」が設立さ れました。そして1912 年「喜賓会」の使命を引き継ぎ、 JTBの前身となるジャパン・ツーリスト・ビューローが創立 されました。まさに渋沢栄一が JTBを作ったと言っても 過言ではありません。関東大震災時、当時 83 歳の渋沢 栄一は「逆境に処しては断じて行え。決して惑うてはなら ない」と。この言葉のように逆境のときこそ、力を尽くし、 観光業界に新しい風を作りたいと思います。 人とテクノロジーが共生するこれからのホテル 作業的サービスをテクノロジーに置き換えられ るホテルエンジニアリング人材の育成を 「マイホテル・マイオペレーション」の発想 「変化が激しい」「先が見えない」と、いつの時代に も言われていますが、現在ではテクノロジーが進化するス ピードが昔に比べて断然早くなり、観光・宿泊業界の仕 組みやルールも目まぐるしく変わっています。 昨年の新型コロナウイルス感染症により、先が見えな い観光・宿泊業において、生産性を向上させ持続的な 発展を可能にしていくには、AI・IoT・ロボティクスなどテ 「ホスピタリティ サービス工学」 について ㈱タップ 代表取締役会長 林悦男氏 第Ⅰ部 講演の部

JARC LIVE 7 訳し、作業の部分をテクノロジーに置き換えれば、ホテル スタッフの本来の業務であるホスピタリティの提供に専念 ができます。また、このようなエンジニアリングを施すことで、 同じ職場でも人とテクノロジーが共生できることが分かった のです。 作業的部分はテクノロジーに置き換えられる そのためには、このようなことを考えられる「ホテルエ ンジニア」という新たな人材が宿泊業界にも必要であり、 ぜひ育てていただきたいと思います。また、このような人 材と一緒になって宿泊施設の生産性を高めていく手法を 構築していきたいと思います。 「生産性」とは、サービスやマーケティングで売り上げ を上げる「売る力」と、テクノロジーなどを導入して効 率性を上げコストを削減する「創る力」の両輪が必要 になります。また、コロナ禍でお客さまが減りホテルの運 営が厳しくなった経験を、どこのホテルもされていると思 いますが、この経験を活かし、これからは「損益分岐点」 を下げるという視点もホテル運営を続けていくには必要に なると考えています。 ホテルや旅館を自動車に例えるなら、私どもは自動車 を動かす部品メーカーです。日本が世界に誇れる自動 車を造るためにも、部品メーカーも皆さんと一緒に切磋 琢磨していかなければなりません。 また、「ホテルエンジニア」という職種が、宿泊業界に 一日も早く定着することを切に望んでおります。しかし、勘 違いをしないでいただきたいのは、先ほどもお話させてい ただきましたように、テクノロジーは宿泊業本来の商品で あるホスピタリティまで補うことはできません。お客さまに接 するのは、これから先も人にしかできない仕事なのです。 20 年前から「観光立国」の実現に向け人と 人をつなぐメディアの役割担う 制約下であるがこそ新たなビジネスチャンスが生ま れてくる 昨年 1 月の観光業界はオリンピック・パラリンピック開 催、訪日外国人旅行客は政府が定める目標 4000 万人 に向けて観光産業は明るい展望が開けていました。し かし新型コロナウイルスに翻弄された年になってしまいま した。 GoToトラベル事業に回復の道筋が立ったかと思った 矢先、第3波により先行き不透明になってしまい旅行業 者、運輸業、宿泊業は人の動きが制限され事業継続と ポストコロナを見据えたビジネスの変革が求められていま す。 宿泊業は同業同士で値下げ競争を繰り返し、また政 府、地方自治体、旅行会社が割引クーポンを乱発した ため、バーゲン価格が当たり前になってしまいました。安 さで選ばれる宿ではなく、価格競争に巻き込まれない価 値ある「選ばれる宿」を目指さなければ生き残れない 時代になってきています。 それには、他の施設と単純に比較できない、値付け しにくい特長が必要で他館にはないサービス、珍しい料 理、郷土文化などを今、この時期に考え取り込むことが 必要だと思います。コロナ禍の今こそ旅館・ホテルの伝 統文化を見直し、経営理念を明確にし、利益を上げら れる体質づくりに挑戦すべきだと思います。 新型コロナ感染症はリーマンショック・東日本大震災を 上回る深刻な打撃を日本経済に与えました。観光産業 は今、人の動きが制限され、先行き不透明になりました が「災い転じて行けるか」。制約下であるがこそ新たな ビジネスチャンスが生まれてくると思います。 観光経済新聞は観光業界と共に歩いて創立 70 周年 を迎えました。専門紙の発行目的は観光業界の発展へ、 確かな情報を提供することにあります。20 数年前から 「観光立国」の実現へ、提唱を続けてきました。コロ ナ禍の中、新聞への信頼、期待はますます高まってい ます。メディアには「人と人をつなぐ」大きな役割があり、 存在価値が問われています。日本が世界で生き残る上 で、観光産業は成長戦略の柱です。今年も大きな役割 を担ってまいります。 今年の抱負 ㈱観光経済新聞社 代表取締役社長 積田朋子氏 第Ⅰ部 講演の部

8 「お客様は神様です!」これからも存在し続ける のか?コロナ禍の今だからこそゼロベースで日 本のおもてなしを考える時が来ている。再ス タートを切った時の為に 新販売戦略の策定を わすれてはならない。 多難を乗り越えてきた日本のホテル 始めに直近 50 年の日本におけるホテルビジネスが遭遇 した危機につきましてお話をいたします。1964 年に開催さ れました第一回東京オリンピックを機にホテル建設が始まり ジャンボ機が飛ぶ時代になりました。旅行をするということを より身近に感じる時代になっていきました。多くのシティホテ ルがこの 20 年の間に全国各地に開業しました。そのよう なホテル環境の中で、バブル時はホテルのオキュパンシー (占有率)は 70%~ 80%、90%に達していました 1988 年ごろからバブル崩壊の影響を受け、オキュパンシーは 60%台に下がりました。バブル崩壊の直後には外資系ホテ ルの進出が始まりました。外資系ホテルの日本進出と戦い 続けた日本のホテルは、日本ならではのホスピタリティマイン ドで日本のホテルの素晴らしさを改めて再認識できる良い 機会を得ることができました。 ところが 2008 年にリーマンショックによりオキュパンシーは 40~50%レベルとなりホテルビジネスは低迷の域に入ってし まいました。その後、アベノミクス効果や国策として取り組 んだ「観光立国ニッポン」に向けた活動により、外国人客 も徐々に増えてきた矢先、2011 年 3 月11日の東日本大 震災により再度低迷の時期を迎えてしまいました。その後 の観光立国政策により2013 年の1000 万人の達成を機に 2020 年年間 4000 万人を目標達成直前まで行きましたが 2020 年初めからかつて経験した事のない新型コロナ問題 が勃発して今日を迎えております。 なぜ、このようなお話をするかと言うと、この講座に多く のホテリエの方が参加されていらっしゃいますが、今だから こそ日本のホテルの発展の歴史と危機を 再確認していた だきたいと思ったからです。 部門間で互いに補えた相関関係崩壊 次にホテルビジネスの現状についてですが、コロナに より2019 年 10月、11月のオキュパンシーは 35%、20% となりました。秋口には前年対比で外国人客が 95%、 97%ダウンしました。シティ、ビジネス、旅館の各業態に おいても打撃を受けました。そしてついに1ケタ台のオキュ パンシーとなり、まさに未知との遭遇でした。閑散としたロ ビーなど、このままではホテルは潰れてしまうのではない かと思わせるほどの状況であり、今もなお厳しい状況が 続いています。これまでは宿泊が不調でもFB 部門や宴 会、婚礼でカバーすることができました。逆にFB が不 調のときは宿泊部門が補うなど、助け合いの相関関係で 乗り切ってきました。ところが宴会や婚礼の開催中止や 延期が相次ぎ、これまでのように相関関係が利かない、 厳しい現状に直面しています。 この現状を打破するためのアフターコロナの課題につき まして6 項目ほど掲げました。「黒字化と経費削減」「雇 用の確保」「従業員のモチベーションの維持」「働き方 の改革」「IT、AIとの共存」「政府支援の活用」です。 中でも林先生がお話されました「IT、AIとの共存」は 重要な課題です。 今ではレストランでインカムを使った誘導をする姿は当た り前となりましたが、ホテルによっては目と目を見てホスピタ リティを高揚させていくことを重視していましたので、イン カムを使うことに否定的でした。 ところがインカムを使った 方が効率的でお客さまに不快感を与えるものではないと いうことに気づいたのです。このように明日にでもできる小 さなことを見直し、変えていく気持ちを持つことが大切で す。また心ビジネス、人に心と接することを求めてホテル 業界に就職された新卒者は、入社早々、自宅待機となり なりました。モチベーションをどのように維持していくことが できるのか心配しています。 「日本のおもてなし」は不滅なのか? 課題解決に向けた重要事項の最後としてとして日本の おもてなしは不滅であるのかを、考える絶好の機会だと 思います。そのために原点に立ち返り、どうやっておもて なしの心を提供するのか、また“おもてなし”というもの ホテル業界 課題解決に向けて の重要事項 ㈱ホテルオークラ東京 前会長 清原當博氏 第Ⅰ部 講演の部

JARC LIVE 9 は存在するものなのか、なくすべきなのか、“お客さまは 神様”は果たして残っているのかなど、最悪なときだから こそ、ゼロベースにして日本のおもてなしを考え、販売戦 略の策定をするときでしょう。 Q田川先生のスライドの中で新しい旅のカタチと して「新しい国際交流」と記されているので すが、具体的にどのようなことなのかお聞かせくだ さい(大阪市・大学関係者) A1964 年に海外の自由化となり日本人が海外へ旅 をするアウトバンドを主力に展開する中で、安全・ 安心のためのJTB標語作りをご案内してきました。現状、 インバウンドの回復には時間を要すると予測されますが、 まずはアウトバウンドにおいて「三密回避の旅行」とい うものの再構築を目指して準備しています。何が三密 回避なのか、何が安全安心なのかを考え直しています。 日本文化を伝えるための準備を進めていくことです。47 都道府県における今年 5 月、6 月頃から活動していくた めのロードマップを施策中です。管理型でありながらも新 しいものをみていただけるよう地産地消と原点に返り、イ ンバウンドを迎えたときに新しい国際交流というものを新 たに作り出していくことが必要であると考えます。 Q林先生が重要性を掲げていらっしゃった新たな 人材としてホテル業界に不可欠な「ホテルエ ンジニア」が備える能力はどのようなものでしょう か(福岡市・ホテル関係者) A飛行機を例にみると飛行機の機体はボーイングや エアバスが作って、その機体を使用して運営して いるのが JAL やANAなどの航空会社です。つまり装 置が下支えとなりお客さまへサービスを提供しています。 ホテルにおいて現在進歩しているテクノロジーを材料 にしながらサービスを提供していく、いわゆるITを利活 用できる人材を「ホテルエンジニア」と言います。大切 なことは、まず「気づくセンス」があることです。そして、 お客さまが喜ぶサービスとは何か、どのくらいの金額で 販売するべきかという「売る力」と、効率をあげるため には、どの作業にテクノロジーを組み合わせたらいいの かという「創る力」が必要です。まずは感受性、観察 力を持って課題問題に対して「気づくセンス」を持つこ とが大切なことなのです。 Q積田先生にお聞きします。新型コロナ第3波に より終息が見えない中で、経営を持続するた めには何をすべきでしょうか。(仙台・旅館経営) A最近、そのような質問やご相談を受ける機会が 増えています。そこで新聞社で温泉地 50 件に 電話取材を行ないました。予約状況につきましては今年 の1、2月は昨年と比較して非常に減少し、厳しい現状 であるということです。休業や土日のみの運営をしてい る旅館もありました。その中で今、取り組まれていること をお聞きすると新しい生活様式に対応した食事処の改 善や少人数で運営するための館内業務のオペレーショ ンの改革や新しい社員教育マニュアル作成を行なわれ ているという回答がありました。皆さん、GoToトラベル の再開ができる事を願いながら厳しい中で頑張ってい らっしゃいます。ピンチをチャンスに、今だからこそできる ことに取り組むことが大切だと思います。 Q清原先生、ホテル業界において多岐にわたる 課題が浮き彫りにされましたが、今、第一優先 で取り組むべきことは何かを教えてください (札幌・ホテル関係者) A難しい世の中になって新聞やテレビ、雑誌などを ご覧になって現状を打破するための新たなキー ワードを勉強したり、深堀りされていることと思います。と ころがホテル産業の特殊性から過去に積み上げてきた 財産を忘れては、すべてを解決することはできないと思 います。日本のホテル産業は安心安全を第一にここまで 拡大してきたことはすごいことであり、積み上げてきたこ の財産を置きざりにしたら大変なことになります。復活し たときに置き忘れた財産を取り戻す様なことになったら、 相当な時間を要します。そうならない為にもどの財産を 残していくのかを真剣に考えることです。「変革の力」と 「変える決断」「古きものを残して行く勇気」があるか? 観光産業が基幹産業になるときまで我々の構築してきた 「おもてなし業」の本質の再見直しの時に来ていると考 えます。 第Ⅱ部 質疑応答

10 山下町40年ぶりの新規ホテル開業 ―始めにホテルで大切にしていることはどのようなことか お聞かせください。 昨年 5月に、横浜・山下町に開業したハイアットリージェ ンシー横浜は、山下町エリアとしては40 年ぶりの新規開 業ホテルです。みなとみらい地区を含め横浜市では、20 年ぶりとなる外資系ホテルの誕生となり、ハイアットブランドと しても、横浜エリア初進出となります。 デザインコンセプトは横浜の空気感を味わう“East meets West”です。異国情緒あふれる横浜の空気感を 味わっていただけますよう、西洋の美と東洋の美の粋が織 りなす“異文化の融合”をテーマに空間デザインしていま す。全315室の客室と3つのレストラン、チャペルと最大 420 名収容(立食)の宴会場を備えています。ロビーラウ ンジには格子や襖を思わせる和の意匠を取り入れ、コンテ ンポラリーでありながら温もりのある雰囲気を演出していま す。館内の随所に施したアートワークは、港や公園など街 の風景からインスピレーションを得たもの。隅々まで配慮の 行き届いたハイアットならではの空間が、寛ぎの滞在をお 約束いたします。 また私どもは“コネクト・つながり”をホテル自体のコンセ プトに掲げホテルを通じて、「人が集う」ことや「地域とホ テル」とのつながり、また「世界と横浜」とのつながりを 大切にするホテルを目指しています。 ―つながるという点で横浜市や山下町など、地域との協 調が不可欠です。 はい。開業にあたり、神奈川県、横浜市、地域の皆さ まより多大なるサポートをいただいております。日本が世界 に港を開いた横浜に、ホテルを開業できることは大変光栄 です。地域の皆様に還元できるホテルとして努めてまいり ます。 週末120名を超える人で賑わうランチブッフェ ―横浜はホテル激戦区でもあります。その中で、他社とは 2020年5月23日、ハイアット初の横浜進出として開業したのが「ハイアット リージェンシー 横浜」だ。 “コネクト・つながり”をホテル自体のコンセプトに掲げ、ホテルを通じて『人が集うこと』や『地域とホテル』とのつながり、 また『世界と横浜』とのつながりを大切にしたホテルを目指す。 2月から開始した横浜の市花である薔薇をモチーフにしたアフタヌーンティーは3月末まで販売後すぐに完売したという。 コロナ禍の局面においても果敢にチャレンジする齋藤孝司総支配人にホテルの魅力や思いをお聞きした。 2020年5月 ハイアットブランドとして横浜初進出 〜横浜らしい“East meets West”を デザインコンセプトに、 人・地域・世界とつながるホテル目指す~ 齋藤孝司氏 ハイアットリージェンシー 横浜総支配人 次世代のホテリエ達 あの憧れのホテルに泊まってみたい!スタッフクローズアップ

JARC LIVE 11 ちがう時間できる滞在やサービスを教えていただけますか。 ハイアットリージェンシー横浜では、ゲストの五感に響くよ う宿泊・レストラン・ブライダル・宴会などあらゆるシーンでお 客さまの“晴れの舞台”を演出します。ロビーエリアから最 上階の宴会場フロアに至っても、時間帯やシーンに合わせ たBGMや香りの演出、バーラウンジでのジャズの生演奏で お客さまをお迎え致します。厳選された食材の魅力を活か したレストラン【MILANO|GRILL】では和牛や新鮮な三浦 野菜、ヨーロッパ産のトリュフやフォアグラなど国内外から 仕入れた旬素材を使用しています。河合隆良総料理長 が考案・腕を振るう既存の価値観にとらわれないフレンチ や和食の技術をクロスオーバーさせた、創作イタリアンをお 届けします。 『Harbor Kichen』では、朝食とランチをブッフェスタイ ルにてご提供しております。豪華客船での船旅を思い起 させる煌びやかな空間で、出来立ての逸品を心ゆくまで ご堪能いただけます。世界を旅するようなワールドワイドな お料理を約 60 種類以上用意しており、ブッフェではなか なか味わえないような贅沢な食材もふんだんに使用。三浦 半島で採れた新鮮な野菜や、豊洲直送の鮮魚など国産 の素材を活かしたブッフェをお愉しみいただけます。その ほか、ロビーフロアには『バー&ラウンジ』とショップ『マー ケット』がございます。開業当初よりご好評頂いているホ テルメイドの食パン“nikin”は、今でも週末は昼頃に完売 してしまうほど、地元の皆さまにご愛顧頂いております。ま た、2月に販売を開始した薔薇をモチーフにしたアフタヌー ンティーはマーケティングスタッフが作り上げたインスタグラ ムの効果もあり、3月末まで完売させていただきました。 ―コロナ禍で各ホテルともなかなか企画商品を打ち出せ ない中、飲食を軸に積極的に展開されているのですね。 レストランに限らず、ウェディングにも力を入れて取り組ん でおります。ホテル最上階に、「クリスタルチャペル」を設 けており、横浜港やベイブリッジを望む景色で幸せなおふ たりを祝福します。昨今の状況で結婚式の実施に不安な 思いを抱えている方も多くいらっしゃいますが、背中を押せ るようなホテルでありたいと取り組んでおります。 近い将来、スマートチェックインも視野に ―ところで、宿泊施設においてテクノロジーの進歩につ いてどうお考えですか。 ホスピタリティ産業に限らず、あらゆる産業においてテ クノロジーの進歩が加速しています。宿泊施設において もテクノロジーの進歩が著しく、顧客満足度を高める上 でこれまで以上にテクノロジーの普及が不可欠であると 考えます。当ホテルにおいても、最新テクノロジーを採 用し、お客さまに快適なホテルステイを提供したいと考え ております。 客室のテレビには、クロムキャストを標準装備しておりク ロムキャストを介して、ご自身のスマホコンテンツを大型テレ ビに映し出すことができます。滞在中の思い出の写真を見 返したり、お気に入りの動画を見たり、ビジネスにもお役立 てていただけます。新型コロナウイルスの影響もあり、お 客さまのホテルでの滞在を豊かにするコンテンツの一つで はないかと考えております。 今後の取り組みとしては、『スマートチェックイン』の導 入を検討しております。待ち時間軽減によるストレス解消 や業務の効率化、そして何より新型コロナウイルスへの 対応策にもなり得ると考えています。コロナ禍でのオープ ンだったこともあり建設時よりスマートチェックインを導入で きる設備を整えております。今後予測されるウィズコロナ の状況下において、旅行に対する考え方やニーズの変 化が変わりつつあります。 ホテルとしてもそれに応えるサービスの提供が必要であ ると考えます。 ―最後に今後、挑戦したいことをお聞かせください。 2021年は、延期された東京オリンピックの開催が予定 されています。もし実現されれば、横浜、サッカー・野 球の主会場であり、多くの大会関係者、観戦客の皆さま の来訪が見込まれますので、。横浜を訪れる多くのお客 様に快適で寛いだ滞在をご提供したいと思います。 また当ホテルの所有会社であるケン・コーポレーション は、今後横浜エリアに 2 万人を収容する音楽アリーナ や 2 つ目の外資系ブランドホテルのオープンを2023 年に 予定しております。ハイアットリージェンシー 横浜を含め た3つの施設にてエンターテイメントシティとして発展しゆ く横浜に貢献できるよう、今後も一層の努力をしてまいり ます。横浜へお越しの際はぜひ、当ホテルにご滞在い ただければと思います。スタッフ一同、皆さまのお越しを 心よりお待ちしております。 S T A F F C L O S E U P 神奈川県横浜市中区山下町 280-2 TEL:045-222-0100 URL:hyattregencyyokohama.jp

12 ―はじめにホテル業界を志望された経緯をお聞かせくだ さい。 小学校 4 年生のときに家族とスキー旅行へいったときに、 宿泊先のホテルのベルスタッフの方が、チェックインから チェックアウト後のお見送りまで優しく対応していただいたこ とがきっかけです。そのときに“いつかは誰かの楽しい時 間のお手伝いをしてみたい”と感じたことがきっかけです。 そしてインターンとして働きながら学べる東洋大学へ進学し ました。本来は2 年生からコースが分かれてインターン活 動ができるのですが、志願してⅠ年生の6月からインターン として同じホテルで2 年間働きました。実際に現場を体験 することで、本当に自分がホテルに向いているのかを仕事 を通して知りたかったのです。 ―インターンではどのような経験をされましたか。 東京・箱崎にありますロイヤルパークホテルにて2 年間 で4 つの部署を体験させていただきました。始めの半年 間は料飲部門、次に宿泊部門、そして運営受託している 会員制の国際文化会館へ出向し、最後は念願のベルボー イでした。最初に配属された料飲の現場は寝不足と疲労 で仕事も学業もうまくいかない日々が続きました。千葉の実 家から通っていたため、始発 5 時台の電車に乗り、ホテ ルに6 時 30 分~ 7 時ごろ到着。料飲の体験は初めての ことでしたのでトレイもうまく持てないほどでした。1つ上の 大学の先輩がインターンでおりましたので、 いろいろと教 えていただき、とても感謝しています。学校は午後2時過 ぎから受講、自宅に戻るのは午後10時過ぎでした。週に3、 4日、このような生活をしていましたので、最初の6カ月間 は本当にきつかった記憶があります。宿泊部でランナー業 務に関わってからようやく余裕を持って仕事をするやり方を 学び、会員制ホテルでは顔見知りのお客さまが中心となり ますので一歩踏み込んだコミュニケーションの取り方がある ことを知るとともに、会員制の魅力も感じました。最後によ うやくあこがれのベルボーイとなりました。これまで学んだ 経験や知識を活かすこともできましたので、とてもやりがい を感じ、お客さまが身近にいる接客こそ、自分が一番やり たい仕事であることを確信した次第です。 ―いろいろな経験をされましたね。ところでインターンとし て、そして次世代をになう若者としてホテル業界はどうあ るべきだと思いますか。 先般、ホテル総支配人の講義で「これからは宿泊特 化型とラグジュアリーの二極化が進む」というお話を聞き ました。コロナ禍に求められているのはより安全で安心な ホテルであり、そのための非接触機能を持つ利便化は必 要であると思いますが、ホテルはやはり人の手のサービス だと思います。先日、客室におけるワンタップでできるスマー ト化について、学生目線でホテル業界に携わる方々に発 表いたしましたが、ニーズや流行に柔軟に対応しながらも、 ホテルは、ホテル本来の本質を見失わず、カタチは変わ るかもしれませんがサービスをを行なう場所であり続けて ほしいと思います。 ―最後に10 年後の自分はどうありたいと思いますか。 できれば、10 年後も常に身近な場所でサービスをし続 けていきたいです。業務という観点ではなく、満足いくた めの仕事であればと思います。お客さまの身近にいるベ ルボーイはまさにそのような場所だと感じています。現在、 「観光立国」日本実現に向けて観光業界を支え、 日本文化を世界に向けて発信する人材育成に取り組んでいるのが東洋大学 国際観光学部だ。 観光産業のあり方と未来について深く考え、観光業界への夢を実現する力を育むとともに、 「観光とは何か」「観光産業はどうあるべきか」「観光政策の課題解決に向けた取組とは」などを探り、 これからの新しい「観光」をつくる力を推進している。ホテル業界を目指す4年生 岡 俊輔さん、 3年生 風間 葵さんにホテル業界を選択した経緯や今後の展望などについてお聞きした。 4年生 岡 俊輔さん 小学4年生の家族のスキー旅行で決めたホテル業界への道 ~あこがれていたベルボーイ お客さまに 身近な場所でサービスし続けていきたい~ 次世代のホテリエ達 なぜ、ホテル業界を選んだのか?

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