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JARC LIVE 31 ホスピタリティの語源は「お客さまの保護」という意味 を持つラテン語「hospes(ホスピス)」からきていて現代 では、「ホスピタリティ=心からのおもてなし・深い思いや り」という意味で使われています。ホテル(hotel)も病院 (hospis)も「hospes」が語源と言われています。皆 さんが学ばれていることはホテルに限らず、旅館や病院、 介護施設にも役に立つものなのです。 さらに、ホスピタリティとサービスの違いをしっかりと理解 することが大切です。サービスの語源は「奴隷」です。 つまり主人と奴隷の主従関係により成り立つものであり、 主人が求めていることや業務をきちんとこなすことを指しま す。例えば、レストランでお料理の注文を受け、注文を 厨房に伝え、厨房は料理を作り、作られた料理をお客さま に提供することが一連のサービスです。ある意味、作業 でありサービスです。 ところが、お料理を提供する時にサービススタッフが “ 私 も食べてみましたが、このお料理は素材の味がよく活かさ れていて、とてもおいしかったですよ”と一言お勧めしたり、 お皿を下げるときにもお客さまとコミュニケーションをとるな ど、お客さまと接して感謝・感動・特別感を感じてもらうの がホスピタリティなのです。例えばレストランの料理を待っ ている間、泣き止んでくれない子どもにさりげなく、おもちゃ や塗り絵を用意してあげるのもホスピタリティです。 つまり、求められたことをやるのがサービスであり、求め られていないけれど、こうしたらもっとお客さまが喜ぶのでは ないか、快適な時間を過ごすことができるのではないかと いうことを考えて行動するものがホスピタリティと言えるので す。 求められる「テクノロジーサービス」への革新 ここで宿泊施設のサービススタイルの潮流をみてみま しょう。 ホテル・旅館におけるサービススタイルは時代とともに 変化しています。スタッフの個人の力量で臨機応変にお 客さまへのサービスを提供する「パーソナルサービス」か ら、ファーストフードなどにみられるように、スタッフが統 一基準(サービスマニュアル)でお客さまへサービスを 提供している「ヒューマンサービス」、そして今後におい てはPMSがプラットフォームとなり各単体のテクノロジー をサービスに変換してお客さまに提供する「テクノロジー サービス」へと時代は変化してきています。 テクノロジーサービスと言ってもロボットやAIスピーカー 単体ではサービスが成立しませんので、お客さまの要望 をホテルシステム(PMS)がプラットフォームとなり、ロボッ トや AI スピーカーに指示をだして初めて、お客さまへの サービスへと変換できるのです。 しかし、テクノロジーの革新に合わせて、自分たちの 施設になんでもかんでもテクノロジーを導入すればいいと いう考えではなく、導入にあたってはそれぞれの施設の「ブ ランドコンセプト」や「サービスポリシー」を再認識する ことが大切です。 例えば、ビジネスホテルのように宿泊を目的としている 場合は、効率よく快適に部屋で寝ていただくことが大切 なことですので、余計なものは不要です。リゾートホテル はエリアに滞在して寝るだけではなく滞在中のサービスの 充実度や満足度も求められます。こう考えればビジネス ホテルはパーソナルやヒューマンの母数が低くなり、テク ノロジーを活かしたホテル作りが最適となります。 それぞれの宿泊施設の「サービスポリシー」を明確に し、ホテルの形態によって「パーソナルサービス」「ヒュー マンサービス」「テクノロジーサービス」をどのように組み 合わせていくのか、このバランスを考えることも工学です。 まさにこれからはサービスを工学する時代なのです。 ユーザー企業における IT 活用人材の育成

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