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JARC LIVE 5 しい領域を研究され「ホテルエンジニア」の育成に向 けた活動もされていらっしゃいます。 積田先生は「観光経済新聞」を発刊されています。 日本の旅館業界を代表するメディアの社長様です。先 生は就労者の過半が女性を占めているのにも関わらず 女性の管理者が少ないことを危惧され、積極的に女性 就業者の能力アップに尽力されていらっしゃいます。ま た当協会の理事でもいらっしゃいます。 清原先生はホテルオークラ創業期から務められいわ ば生え抜きの方であり、㈱ホテルオークラ東京の社長兼 総支配人を歴任されていらっしゃいます。ホテルオークラ をリーディングカンパニーとして引き上げたのも清原先生 のご尽力があってのことです。 もう少し皆様のお人柄をご紹介したいのですがお時 間が迫ってきましたので、これを持ちましてごあいさつと させていただき、田川先生の講話を進めてまいります。 日本の観光業界の未来に向けて「地域の魅力 を再確認」「観光が地方創生に寄与するという 事実」「地域の宝を磨く“ワカモノ”教育」を 2030 年 国際観光客 18 億人超え予測 皆さんもご存じのように観光(ツーリズム)産業は裾野 が広く、日本の経済を支えていると言っても過言ではあり ません。2019 年の旅行消費額は前年比 8.2%増の 31.6 兆円となり、2011 年以降で最高の数値となりました。国 内消費額は27.9 兆円、日本人海外旅行消費額は3.7 兆 円です。世界の潮流を見ると2018 年に国際観光客は 14 億人に到達し、2030 年には18 億人を超えると予測さ れます。今はコロナウイルスの影響で閉塞的ですが、ア フターコロナにおいては潮流が来ると信じています。 WTTC(世界旅行ツーリズム協会)1990 年創立され 世界の主要ツーリズム関連企業 144 名で構成される民間 の非営利団体です。ツーリズムに関わるすべての主要分 野を世界規模でカバーする唯一の団体であり、国連世 界観光機構(UNWTO)のカウンターパートナーとしてツー リズムに関わる調査研究、各国政府・国際機関に関す るロビー活動を行なっています。 毎年 1 回、WTTCグローバルサミットを各国で開催し ているのですが、東日本大震災の翌年の 2012 年に初め て日本で大会が行われました。そのとき震災の現場を見 ていただきたいと思い世界の皆様を仙台にお連れいたし ました。現場をご覧になり、参加者は感動され多くの情 報を発信していただきました。 昨年の 10 月にサウジアラビアで行なわれたG20 にも 民間団体として初めて参加いたしました。就労人口 3 憶 3000万人、世界GDPの10.3%を占める観光業界ですが、 世界的なコロナ感染症により2020 年の就業人口は 1 憶 9000 万人に落ち込ましたが、早急に1億人の回復を目指 していかなければならないことが議論されました。 「公衆衛生」に関して世界一位の日本 世界における日本の観光力は観光分野における国際 競争力ランキングによると4 位にランキングされています。 1 位はスペイン、2 位フランス、3 位ドイツの次となります。 特に「公衆衛生」「病院ベッド数」「HIV 非流行」「マ ラリア非発生」「陸上輸送力」「殺人事件非発生率」 の 6 項目の指標に関しては世界で1位を獲得しています。 おもてなしと清潔感が背景にある日本は素晴らしい国であ り、もっと自信を持ってほしいと思います。 2007 年の観光立国推進基本法の基本的な考え方で ある“住んでよし、訪れてよしの国づくり”は十分ご理解 いただいていると思います。改めて「地域の魅力を再 確認」「観光が地方創生に寄与するという事実」「地域 の宝を磨く“ワカモノ”教育」を進めていかなければなり ません。特にワカモノの育成は時間も必要とされますが、 小中学生に向けた学校教育活動がこれからの産業や地 域発展に欠かせないことだと思います。 改革に向けたロードマップの不明確さが課題 観光行動変化に伴い、三密回避の安全・安心のガイ ドラインの策定、新しい旅を“デジタル”社会の中で考 えること、新しい働き方・休み方(ワーケーション)、新し い国際交流(アウトバンドとインバウンド)の流れを作るこ とで新たな旅の形(ツーリズム)構築が不可欠です。安 世界のツーリズムの 潮流と日本の ツーリズムの未来 ㈱JTB 取締役相談役 田川博己氏 第Ⅰ部 講演の部

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