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6 クノロジー技術やマーケティング、管理会計を、「ホスピタ リティサービス工学」という視点で考えられる人材が必要 になってきました。 今、JTB 田川先生より売る側であるマーケットのお話を いただきましたが、私どもは売る側ではなくホテル運営を 効率よく作り上げる創る側の会社として、ホテルシステム であるPMSをこれからも提供し続けてまいります。 これまでのPMSはホテルマンの方が操作するものでし たが、4 年前の当社創立 30 周年の式典の際、「これか らはマイホテル・マイオペレーション、マイホテル・マイリク エストの 2 つのホテルスタイルに分かれるだろう」と提唱 いたしました。自分のスマートフォンで予約からチェックイ ン、レストランのオーダーからチェックアウト。さらに領収書 の発行まで、自分自身で操作ができるホテルスタイルが「マ イホテル・マイオペレーション」。 一方、お客様のリクエストはできることなら、なんでも対 応するホスピタリティ精神でお応えしていくホテルスタイルが 「マイホテル・マイリクエスト」という考えです。 一定の距離をもってお客さまに寄り添う このような考えからシステム開発に努めてきたのですが、 予想外にコロナという事態が起こり、「マイホテル・マイオ ペレーション」という言葉が「非接触型サービス」に変わっ てきました。非接触型というのは共通のものに触わらない ことを意味しており、けっして非対面ではありません。一 定の距離をもってお客さまに寄り添いながら、お客さまの ご要望や困りごとには、いつでもお手伝いをするということ なのです。 では、この仕組みを実現するにはどんなことが必要な のかを考えたとき、サービスをエンジニアリングするという 「ホスピタリティサービス工学」が必要であることに気づ いたのです。そこで 4 年前に当社はシステム会社からホ テルエンジニアリング会社へのシフトを決断し、沖縄・琉 球大学にありました「タップ研究所」を「ホスピタリティサー ビス工学研究所」に名称変更しました。 実現にあたりホテルスタッフのサービスをホスピタリティと 作業に分けて考えることから始まりました。例えば、レスト ランでお客さまと接して感謝や感動を与えることがホスピタ リティであり、厨房から料理をテーブルまで運ぶことは運 搬という作業になるのです。 ところが、これまでは一連の流れをホテルサービスと言っ ていたのです。ホテルサービスと言われていた業務を支 全安心に対する対応は、ツーリズムでは最優先に取りくむ べき事項であり、より高度化が求められます。また休み方 や遊び方をより多様化することから、その多様性に対応 していかなくてはなりません。 最も大事なことはロードマップを示すことです。今やること、 今後すべきことを明確にすることです。これからスポーツイ ベントが続き、2025 年には大阪・関西万博が開催されます。 今、閉塞感の中にありますが、そこに向けて視点を変えて 準備を進めていかなくてはなりません。 「逆境に処しては断じて行え。決して惑うてはならない」 最後になりますが 1893(明治 26)年、渋沢栄一らの 発意により外国人観光客誘致機関「喜賓会」が設立さ れました。そして1912 年「喜賓会」の使命を引き継ぎ、 JTBの前身となるジャパン・ツーリスト・ビューローが創立 されました。まさに渋沢栄一が JTBを作ったと言っても 過言ではありません。関東大震災時、当時 83 歳の渋沢 栄一は「逆境に処しては断じて行え。決して惑うてはなら ない」と。この言葉のように逆境のときこそ、力を尽くし、 観光業界に新しい風を作りたいと思います。 人とテクノロジーが共生するこれからのホテル 作業的サービスをテクノロジーに置き換えられ るホテルエンジニアリング人材の育成を 「マイホテル・マイオペレーション」の発想 「変化が激しい」「先が見えない」と、いつの時代に も言われていますが、現在ではテクノロジーが進化するス ピードが昔に比べて断然早くなり、観光・宿泊業界の仕 組みやルールも目まぐるしく変わっています。 昨年の新型コロナウイルス感染症により、先が見えな い観光・宿泊業において、生産性を向上させ持続的な 発展を可能にしていくには、AI・IoT・ロボティクスなどテ 「ホスピタリティ サービス工学」 について ㈱タップ 代表取締役会長 林悦男氏 第Ⅰ部 講演の部

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