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18 第4波、感染率の高い変異株 N501Y 猛威奮う JARCゼミナールでお話した昨年 の 10月は “ご安心ください ”とお伝 えいたしましたが、今は敗北感満載と いうのが正直なところであり、今は“ 状 況を正しく把握し、正しく恐れた方が 良い ”と言えます。 今、大阪では一日千人を超える新 型コロナ感染者数となりました。はじ めに、第4波が発生し、戦うべきウイ ルスが異なることを認識することです。 新型コロナウイルスとベースは同じな のですが、系統が異なります。昨年 は「B.1.1.214 系統」と「B.1.1.284 系統」が感染症を引き起こしたので すが、実際はあまり強いウイルスでは なく、重症化率 50%を切り弱毒化さ れ、イギリスに始まった感染率の高 い変異株 N501Yが 214と284を 抑え、台頭してきたのです。 大 阪では感 染 者 の 70 %が N501Yで、東京でも10%の比率 となっています。これまでのウイルス の伝播力は1人に対して2.5 人でし たが、変異株は4.75 人に達します。 それだけ体内に入り込む感染率が高 いことになります。関東では284が 入れ替わりながら日本独特の 484 系 が確認されています。恐ろしいことに 484を持ちながら501と合体したら、 南アリカ株と似ている新たなウイスル が動きだすことになります。南アフリ カ株は417ですので、484と501、 そして417が入って来るとウイスルは 最強となり、とても恐ろしいことであり、 その危険性は刻々と迫っていると言っ ても過言ではありません。現状では 417は発見されていませんが、予断 を許さない状況です。 加えて沖縄で確認された L452R 変異株は細胞性免疫を回避し、ウイ ルスの感染性を高めます。特に日本 人が持つ白血球は日本人独自のもの であり、452を見つけると殺していく 特有な働きをします。つまり殺すため に白血球が一気に終結することで血 栓症を引き起こす可能性が高くなると いうことです。このように刻一刻と状 況は変化していますので、正しい状 況、情報をしっかり知ることが大切な ことなのです。 “ワクチンを待てば治る”は 甘い考え 今、ようやくワクチンの接種が開始 されましたが、“ ワクチンを待てば治 る”という考え方は甘いととらえた方 が良いでしょう。確かに遺伝子ワクチ ンのファイザーとモデルナのワクチン は90%を超える高い予防効果を上げ ています。海外の科学者の間では拍 手喝采でした。確かに科学者の勝 利です。しかしながら、社会や集団 というフィールドでは負けています。そ れは世界人類すべてに接種すること をゴールとするならば、接種が追いつ いていない今、全人類が敗北中だか らです。実際、アメリカではワクチン 接種をしてもまだ終息せず、3度目の ワクチン接種をするようです。となると、 また3億人分のワクチンが必要となり ます。当然のことながら、日本はなか なかたどりつかないということになりま す。 現在、世界では一日2%ずつワク チン接種率は上がっていますが、アス トラゼネカなど他社のワクチンも含め た接種率です。日本では1 憶 4400 万回分の契約をファイザーと契約しま したが、3回の接種を優先した場合、 世界に供給できるストックが果たして あるのか疑問です。つまり、いつ接 種できるか分からないワクチンを待つ のではなく、その前に正しい知識を学 び、正しい方法で安心安全対策を講 じることが今、すべきことなのです。 そのためにもまず、ガイドラインに 頼る姿勢を正すことです。ガイドライ ンには “ 消毒をしましょう、換気をしま しょう、人と人との間の距離を1.5 ~ 2m開けましょう”と記載されています が、消毒とはどのレベルなのか、な ぜ距離を開けるのかという意味を理解 することです。ガイドラインに記載され ていることには理由がありますが、ど う消毒したら良いのかなど詳細は記載 されていません。またウイルスの構造 を学ぶことも大切です。それを学ぶこ とでどのようなことが起こりうるかを予 測し、早急に効果的な対策を講じる ことができるからです。 米国発表より厚労省の報告を しっかりと 今、猛威を奮っているウイスルはス パイクたんぱく質です。このたんぱく 質が変異して人間の体に入り込んで いるのです。スパイクたんぱく質のア ミノ酸は318から510 番までありま す。約 200 に及ぶのです。またウ 講師:株式会社サクラクオリティマネジメント 代表取締役 / 当協会理事 北村剛史氏 * JARCゼミナール開催時より新型コロナウイルス感染にかかわる状況が変化しているため、2021 年 4 月時点の内容に変更しております。ご了承ください。 JARC SEMINAR これから長期的に必須要件となる感染症対策を どのように『おもてなし』へと変換していくのか ~ウィズコロナから SDGs へ part3 ~ 第 29 回 2020 年 9 月17 日(木)

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