JARCLIVE10

JARC LIVE 19 イルスがくっつく入口は鼻孔上皮と唾 液、歯肉、目の周りです。マスクを することで鼻から入るウイスルを防御 でき、目の周りという点でメガネ着用 も効果的です。飛沫は通常の会話 で1~ 1.5m 飛びます、咳で2m、く しゃみで3mです。くしゃみをするとき は大半口を押えますので、人との距 離を2mとることで安全性を担保する ことができるのです。 アメリカで発表された “ 接触感染 率 0.001%以下なので消毒しなくて も大丈夫でしょう”という声を聞きます が、各国、地域により異なる中でな ぜアメリカの調査結果を信じてしまう のか不思議です。日本ではさまざまな 研究機関でまとめた報告を厚生労働 省が発表していますので、これを見ず してアメリカの報道を信じてしまうこと は恐ろしいことです。消毒をしない人 が増えたら、感染率の高い 501 によ り一気に広がってしまいます。 また換気においても “ 省エネ法に ひっかかるから”という理由でしっかり とした対策を講じていないところもあり ます。お客さまの快適性よりも安全 であることが不可欠であり、換気の 徹底を図ることです。中には窓を開け ると虫が入って来るからという声も聞 きますが、虫とウイルスとどちらが重 要であるかを考えれば一目瞭然でしょ う。省エネ法や虫など、そんなことを 言っていたら、お客さまとしてスタッフ、 地域を守ることができません。 もう1つ、消毒についても正しい知 識の習得が必要です。なぜエタノー ルが効果的なのか、また効果的なエ タノールの容積は何%が良いのかな ど、正確に知ることです。効果的な エタノールの容積は 70 ~ 80%で す。容器の表面に記されているのは ボリュームパーセンテージです。水は 変わりませんがほかの物質はボリュー ムと容積の%は異なります。仮に表 に70%と記載されていたとしたら、そ れに 0.9%を乗じていただくと容積が 分かります。この場合は63%となり ます。つまりあまり効果的ではないと いうことになります。 このほか、次亜塩素酸ナトリウムも ウイルス対策に使われていますが、イ オン電子の構造を理解すればおのず と使用方法が分かります。イオンは分 離をしますので、分離した状態では中 に入り込むことができないのです。プ ラスとマイナスの電子が結合するまで に時間がかかりますので、噴霧してす ぐに拭き取ってしまったらその効果は 得られません。空中に噴霧してもまっ たく効果がないのです。スプレーで シュッシュするだけで、電子が結合し て殺菌できますかということなのです。 正しい安心安全対策は観光地 のゲートウェイの任務 ホテルや旅館は観光地のゲート ウェイです。ゲートウェイの任務として 正しく守るために、ウイルスを正しく知 ることです。GoToトラベルが再開し た際、これまで海外旅行をしていた 旅行者が国内に目を向けていること が独自の調査で分かりました。60% に及びます。これまでは海外旅行 組は国内と異なると判断していました が、国内旅行に一斉に動き出すこと になります。地域の人に “ 観光に来 ないで ”と言わせないためにも、ウイ ルスから防御し、地域を護るための 防衛を行なうことです。そしてスタッフ も守り、お客さまも守るその玄関がそ のようなことを言っていたり、安心安 全対策をしていないのであれば、仮 にGoToトラベルが再開したとしても、 地域が観光客受け入れを認めるわけ がありません。正しいことを学び、正 しい対応法を行ない、さらにそれを地 域にきちんと伝えることが今、宿泊施 設がすべきことだと思います。結果的 にホテルの根幹となる品質を高めてい くことにつながるのだと思います。 北村 剛史氏 株式会社サクラクオリティマネジメント 代表取締役 / 当協会理事 JARC SEMINAR 東京都千代田区内幸町 1-1-1 帝国ホテル本館 5 階 515 号室 TEL:03-3580-2341 URL:https://www.sakuraquality.com/ 一般社団法人観光品質認証協会では、サクラクオリティ認証施設に対し、感染症拡 大防止対策としてサクラクオリティ安全行動基準を提供しています(現在第40版) 。 「ウイルス」は、ラテン語の「virus:毒汁」を語源としています。ただ動植物等生物との関わりは深く、 約 20 万年前にホモ・サピエンスが現れる遥か昔、凡そ30 億年前からその痕跡が発見されていま す。これまで長らく「生物多様性」に基づく「希釈効果」等による自然界のバランスが、ウイル スとの互恵的な「共生」や「棲み分け」に寄与し、それを実現してきたのです。今回の新型コロ ナウイルスは動物由来感染症で当初の発生報告において、中国雲南省のキクガシラコウモリから 検出されたコロナウイルス(RaTG13)に最も近縁であることが示されました(相同性 96%)。また、 日本のキクガシラコウモリからも新型コロナウイルスに比較的近縁なウイルス配列が報告されていま す。但し、スパイク遺伝子の受容体結合ドメイン(RBD)のみで比較しますと相同性は85%に留 まると報告されています。一方で、センザンコウからも新型コロナウイルスに関連するウイルスが発 見されており、RBD 領域のみの短い配列で比較すると新型コロナウイルスに最も近縁と言われて おり、中間宿主の存在が指摘されています。新型コロナウイルスの由来については不明な点が多く、 今後、新型コロナウイルスの起源に迫るコウモリ等とコロナウイルス間における共生変異メカニズム 等の分析・解明が待たれるところですが、今回の新型コロナウイルス感染症パンデミックは、俯瞰 しますと、人類による経済性を最優先した社会経済活動、グローバリゼーションやサプライチェーン の長距離化、人間による動植物の乱獲、その結果としての地球温暖化を含め、様々な人間活動 による自然環境を含めた「生物生態系」の浸食による上記自然界のバランス毀損から端を発した 事象と捉えることができます。エマージング・ウイルスとして突如現れてしまったウイルスに対し、人 類に与えられている最大の武器は「知識」と言えます。正しい知識を持つことは、感染症の「リスク」 を正しく「リスク」として捉えた、最善の感染症拡大防止対策に繋がります。また、今回の新型コ ロナウイルスをはじめウイルス感染症については、ウイルス自体が変異を繰り返すことで、下記のと おり環境に応じて自己組織化し常に変化しています。今後求められる感染症対策についても、環 境の感染リスク状況に応じ、また最新情報に基づいて常に感染症拡大防止対策自体もウイルスの 変化に負けないレベルで進化させていくべきと考えられます。特にサクラクオリティ参加施設の皆様 におかれましては、「地域の安全・安心拠点」として、感染症拡大防止対策に関する高度な知識 を有し、戦略的な感染症拡大防止対策の実践をお願い申し上げます。 以下、サクラクオリティ本部から皆様へのメッセージ(抜粋)。

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