JARCLIVE10

JARC LIVE 7 訳し、作業の部分をテクノロジーに置き換えれば、ホテル スタッフの本来の業務であるホスピタリティの提供に専念 ができます。また、このようなエンジニアリングを施すことで、 同じ職場でも人とテクノロジーが共生できることが分かった のです。 作業的部分はテクノロジーに置き換えられる そのためには、このようなことを考えられる「ホテルエ ンジニア」という新たな人材が宿泊業界にも必要であり、 ぜひ育てていただきたいと思います。また、このような人 材と一緒になって宿泊施設の生産性を高めていく手法を 構築していきたいと思います。 「生産性」とは、サービスやマーケティングで売り上げ を上げる「売る力」と、テクノロジーなどを導入して効 率性を上げコストを削減する「創る力」の両輪が必要 になります。また、コロナ禍でお客さまが減りホテルの運 営が厳しくなった経験を、どこのホテルもされていると思 いますが、この経験を活かし、これからは「損益分岐点」 を下げるという視点もホテル運営を続けていくには必要に なると考えています。 ホテルや旅館を自動車に例えるなら、私どもは自動車 を動かす部品メーカーです。日本が世界に誇れる自動 車を造るためにも、部品メーカーも皆さんと一緒に切磋 琢磨していかなければなりません。 また、「ホテルエンジニア」という職種が、宿泊業界に 一日も早く定着することを切に望んでおります。しかし、勘 違いをしないでいただきたいのは、先ほどもお話させてい ただきましたように、テクノロジーは宿泊業本来の商品で あるホスピタリティまで補うことはできません。お客さまに接 するのは、これから先も人にしかできない仕事なのです。 20 年前から「観光立国」の実現に向け人と 人をつなぐメディアの役割担う 制約下であるがこそ新たなビジネスチャンスが生ま れてくる 昨年 1 月の観光業界はオリンピック・パラリンピック開 催、訪日外国人旅行客は政府が定める目標 4000 万人 に向けて観光産業は明るい展望が開けていました。し かし新型コロナウイルスに翻弄された年になってしまいま した。 GoToトラベル事業に回復の道筋が立ったかと思った 矢先、第3波により先行き不透明になってしまい旅行業 者、運輸業、宿泊業は人の動きが制限され事業継続と ポストコロナを見据えたビジネスの変革が求められていま す。 宿泊業は同業同士で値下げ競争を繰り返し、また政 府、地方自治体、旅行会社が割引クーポンを乱発した ため、バーゲン価格が当たり前になってしまいました。安 さで選ばれる宿ではなく、価格競争に巻き込まれない価 値ある「選ばれる宿」を目指さなければ生き残れない 時代になってきています。 それには、他の施設と単純に比較できない、値付け しにくい特長が必要で他館にはないサービス、珍しい料 理、郷土文化などを今、この時期に考え取り込むことが 必要だと思います。コロナ禍の今こそ旅館・ホテルの伝 統文化を見直し、経営理念を明確にし、利益を上げら れる体質づくりに挑戦すべきだと思います。 新型コロナ感染症はリーマンショック・東日本大震災を 上回る深刻な打撃を日本経済に与えました。観光産業 は今、人の動きが制限され、先行き不透明になりました が「災い転じて行けるか」。制約下であるがこそ新たな ビジネスチャンスが生まれてくると思います。 観光経済新聞は観光業界と共に歩いて創立 70 周年 を迎えました。専門紙の発行目的は観光業界の発展へ、 確かな情報を提供することにあります。20 数年前から 「観光立国」の実現へ、提唱を続けてきました。コロ ナ禍の中、新聞への信頼、期待はますます高まってい ます。メディアには「人と人をつなぐ」大きな役割があり、 存在価値が問われています。日本が世界で生き残る上 で、観光産業は成長戦略の柱です。今年も大きな役割 を担ってまいります。 今年の抱負 ㈱観光経済新聞社 代表取締役社長 積田朋子氏 第Ⅰ部 講演の部

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