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JARC LIVE JARC(ジャルク)一般社団法人 宿泊施設関連協会 Japan Accommodat ion Related Consort ium vol.7 時代の変化にしなやかに対応していく 宿泊施設とともに「稼ぐ力」を引き出しあう

2 JARC 協会の主旨 当協会の目指すこと 宿泊施設関連協会は、観光立国の中枢である宿泊施設とと もに、刻々と変化する宿泊業界がさらに発展していけるよ う、宿泊施設に携わる同じ想いをもった企業が集まる協会 です。訪れたお客さまへ、よりストレスフリーな環境を提 供することにより、それぞれの地域が活性化していくこと を目的とします。また、先々の時代の変化にしなやかに対 応していくため、品質向上や経営の効率化を宿泊施設とと もに考え、お互い“稼ぐ力”を引き出しあっていきます。 2022 年までの目標 ~宿泊施設を支える施策として~ [ 海外進出 ] 海外で働く 134 万人の日本人に心の安らぎを与える場所を 提供するために、日本の宿泊施設が海外進出することによ り、日本の文化の発信はもとより海外に劣らない経営・運 営手法や品質向上のための方法を模索していきます。また その土地に住む外国人の人々に、その土地にある日本の宿 泊施設を通して日本を体験してもらい、日本を訪ねてもら えることを宿泊施設とともに目指していきます。 [ ラストリゾート ] 国内外の日本の宿泊施設が、有事の際にその土地の人々の避難場所や緊急病院となり、人々の安全が確保される場所に 宿泊施設がなれるようともに歩んでいきます。 [ 宿泊業の地位向上 ] 宿泊業に携わる人々の意識を高めていくとともに、宿泊業に必要なスキルが向上できるよう、ともに学んでいきます。 J a p a n A c c ommo d a t i o n R e l a t e d C o n s o r t i um J A R C L I V E VOL.7 宿泊施設 厨房・ 調理・ 衛生 協会・ 団体 設備・ 施設 人材 IT 交通・ 航空・運輸 建築・設計・ デザイン 教育関連・ 教育機関 投資家・ 銀行・ 広告・ 保険 マスコミ テナント・ ショップ スパ・ エステ 旅行業 宴会・婚礼 客室・フロント レストラン・バー イベント・ プロモーション コンサル タント 2 JARC協会の趣旨 4 ウィズコロナ安全行動基準プロジェクトスペシャル対談 (公社)国際観光施設協会 会長 鈴木裕氏×JARC会長 林悦男 8 「新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」 12 ウィズコロナ安全行動基準プロジェクト (一社)観光品質認証協会(サクラクオリティ)統括理事 北村剛史氏 (一社)メイドインジャパン・ハラール支援協議会 理事長 高橋敏也氏 サン・パシフィック・エンタープライズ(株) 専務取締役 渡部聡氏 ゴージョージャパン(株) プロジェクトマネージャー 野澤陽子氏 (株)中部衛生検査センター専務取締役 小澤一弘氏 (株)やまとごころ代表取締役 村山慶輔氏 24 伝統の逸品 (株)近清 代表取締役 櫻井慎也氏 26 「私の想うラグジュアリーとは」 K plus代表/明海大学ホスピタリティ・ツーリズム学部教授兼 総合研究所所長 阿部佳氏 ザ・カハラ・ホテル&リゾートディレクターオブコンシェルジュ 阿部泰年氏 30 会員ZOOMUP (株)プリンストン 営業統括本部 コーポレート東日本営業統括部統括部長 木本泰生氏(/ 株)アイ・エフ・ビー 南井佑紀氏 32 JARCゼミナール 第22 回(株)Journey代表取締役 木澤あおい氏 第24 回(株)インカレックス 代表取締役 古海裕介氏/取締役 佐藤綾子氏 第25 回(株)グローバルゲイツ代表取締役会長兼CEO 梅村真行氏 35 「JARCゼミナール」のご案内 36 会員一覧 37 JARCからのお知らせ アンケートのお礼と 新任 JARC専務理事 須藤 文昭ごあいさつ 38 これからの人材を考える (一社)宿泊業技能試験センター 事務局長 神田裕幸氏 レバレジーズオフィスサポート(株) 取締役 竹内優明希氏 (学)日本ホテル学院専門学校 日本ホテルスクール 理事長・校長 石塚 勉氏 (学)片柳学園 日本工学院専門学校 副校長 遠山一明氏 (株)プレンティー 代表取締役会長 比屋根利通氏 Contents

JARC LIVE 3 サクラクオリティは、宿泊施設を対象とした日本発の観光品質認証制度及び品質改善プロジェクト の名称です。世界中の旅行者に、質の高い日本の観光サービスに関する情報提供を行い、安心で快適 な旅行を楽しんでいただくために、申請のあった宿泊施設などの観光サービスの品質を第三者が評価 し、特に安全性・安心感に関する品質の高さを認証する仕組みです。旅行者が必要とする質の高い観 光サービスに関する情報を発信することにより、旅行者にとってサービス選択の幅が広がるだけでな く、サービスを提供する事業者にとっても、サービスレベルの維持・向上のツールとして活用できま す。 ➊フェーズⅠ調査 (実地調査型品質認証) 施設側と調査員が共同して安全 性や衛生管理体制、感染症対 策、その他継続的に丁寧なサー ビス提供が可能な仕組みを有し ているか等について、約 項 目の公開項目で調査します。 年度より原則 サクラま での認証とし、第三者委員会に おいて特段の評価がある場合 は、 サクラまでの認証を可能 とします。 サクラクオリティの体系・調査内容 認証取得の流れ 【サクラクオリティに関するお問合せ 先】 〒 東京都千代田区内幸町 帝国ホテル本館 一般社団法人観光品質認証協会 統括理事 北村 剛史 ℡ 先駆的'02を支えるサクラクオリティ概要 (一社)観光品質認証協会 第三者委員会 '02・'0& 事務局 調査員 国内の宿泊事業者(ホテル・旅館) ●●エリア 管轄エリアの 品質認証を行う主たる組織 調 査 品 質 認 証 '02が無いエリア (または事業者が直接認証を望む 場合)は、 観光品質認証協会と宿泊事業者と の直接契約 調 査 ・ 品 質 認 証 認 証 手 数 料 ( 都 度 ) フェーズⅡ調査は、原則 本部に委託(外注) ・団体認定 ・調査員研修 ・マーケティングデータの提供 ・研修 勉強会の実施 本部 事務局 会費 認証手数料 ➋フェーズⅡ調査 (覆面調査型品質認証) 高い快適性、サービスの迅速性、正確 さ、共感性、サービスの積極性等につい て顧客視点から、約 項目に渡り覆 面調査を実施、 +サクラ以上の認証を提 供します。

4 (一社)宿泊施設関連協会会長 / ㈱タップ 代表取締役会長 / 日本工学院専門学校 ITカレッジテクニカルディレクター “マイホテル・マイオペレーション”の発想で スマホで操作できる非接触型の宿泊施設を 1953(昭和 28)年 11月、運輸省観光部の指導により設立した任意団体より端を発した公益社団法人国際観光 施設協会。ホテルや旅館などの観光施設について建築・設備・インテリアの整備・改善など設計事務所や施行 会社などメーカーで構成されている。新型コロナ感染症により従来の考えや手法では通用しない時代がすでに始まっ ている中、テクノロジーを軸に工学の発想で新サービスを追求している一般社団法人宿泊施設関連協会の林悦男 会長が鈴木裕会長をお招きして、これからの時代の観光産業の在り方について対談を行なった。 スペシャル対談 ウィズコロナ安全行動基準プロジェクト (公社)国際観光施設協会会長 / ㈱観光企画設計社 代表取締役社長 一級建築士 鈴木裕氏 林 悦男 ~窮屈な生活から解放され、 テクノロジーと精神を融合させた 新しい文化が生まれる~

JARC LIVE 5 一般社団法人宿泊施設関連協会 ―観光施設に関わる皆様には十分認識されています が、始めに公益社団法人 国際観光施設協会(以下、 JTFA)についてお聞かせください。 鈴木 JTFA(ジャトファ)は1953(昭和 28)年 11月、 運輸省観光部のご指導により開催した「観光施設展」 の出展企業により設立した任意団体「国際観光設備協 会」に始まります。1957(昭和 32)年 12月には、運輸 大臣の許可を受け「社団法人国際観光設備協会」に 移行し、その後、1970(昭和 45)年に「社団法人国 際観光施設協会」に改組いたしました。2012(平成 24) 年 4月に、公益法人制度改革関連三法の施行にともない、 公益認定を取得して「公益社団法人国際観光施設協会」 となり、現在に至っています。会員は建築・設備・インテ リアなどの整備・改善、観光地の活性化・まちづくりに調 査・研究する技術者集団です。会員は設計事務所、施 工会社、建材・設備調度備品などのメーカーで構成され ています。 ―具体的にはどのような取り組みを行なっているので すか。 鈴木 目指すのは日本の自然や文化を生かし、国際競争 力ある持続可能な観光施設および観光地域の開発です。 そのために「エコ・小」の普及活動や街づくりへの協力、 観光に役立つ見学会やセミナーの開催や情報誌の発刊、 観光事業の代表的なイベントである「国際ホテル・レスト ラン・ショー」「国際食品・料飲展」の共同主催団体とし て国内外に新しい情報を提供する事業を行なっています。 「エコ・小」の普及運動はエコロジーの視点で自然環境 を保全し、土地の力や美しい風習や生活文化を生かし、 小さなエネルギーで動く持続可能なシステム「エコ・小」 を個々の施設や地域に普及する活動を行なっております。 ―世界的なパンデミックとなった新型コロナウイルス 感染により、観光業は大きな打撃を受けました。まだ 先が見えない、そしてコロナとともに歩く「ウィズ・ コロナ」かさまざまな産業で提唱され、関わる商材や 機材が販売されています。 鈴木 JTFAでは一般及び訪日外客のために施設の利 便性や安心安全のための調査研究の成果や地域観光交 流空間の作り方や環境技術、課題となる情報などを社会 全般に提供する事業」を具体的な目的として掲げて活動 して参りました。観光関係団体の中で唯一、ハードの調 査・研究を進めている当協会は、技術委員会・分科会 において「日本旅館のエコ20指標」、2008 年には「泊っ て安心?ホテル・旅館の安全性」の研究成果を世の中へ の啓蒙活動として行ってきました。またこの度、ここ数年 取り組んできたCSV 活動の一環を『ホテル・旅館の安全・ 安心読本 2020』の冊子にまとめ、会員向けに推奨してい ます。しかし、この度のコロナ感染症により今後はデザイ ンだけでなく天災・事故・犯罪など社会を取り巻くリスクに 対する対処策を広く、強く啓蒙するためには、エンジニア リングの思考で ITやAIを交えながらも観光施設に求め られるホスピタリティ、顧客満足とともに生産性を高めてい く仕組み作りを追求し、さまざまなジャンルの専門家と手を 組み新しい何かを生み出されている林会長の見識やお考 えをぜひ、JTFAの会員にもアドバイスをいただきたいとお 伺いした次第です。始めに宿泊業における非接触型につ いてご意見をお聞かせいただきたい。 林 コロナに限らずウイルスを媒介とした感染症に対する 消費者の意識は変わりました。日本はもともと感染予防と して手洗いの習慣がありますが、それ以上に、接触する ということに対してより敏感になります。ホテルはチェックイ ンに始まり、エレベーター昇降時のボタン、客室の入退出 林 悦男会長

6 や客室内でのリモコン操作など、利用するために何らか のものと接触します。またホテルスタッフ側もお客さまとの 対面サービスを重視していましたので、さまざまな場面 でお客さまの手やお客さまがお持ちのカバン、客室案内、 チェックアウト時のカードや現金精算など、ウイルスが付 着しているものに触れています。お客さまの安心安全は もちろん大切なことですが、ホテルスタッフの安心安全も お客さまに感染させない、また未発症者から感染を受け ないなど守らなくてはなりません。そうなると非接触型で 運営できるホテルをいかに作り上げていけるかは、直近 の課題と言えます。 ―具体的にはどのようなことが考えられますか。 林 ㈱タップとしての取り組みとなりますが、これから は“マイホテル・マイオペレーション”という発想で「ス マートPMS」を開発いたしました。この発想は 3 年前 の 2017 年に開催した㈱タップ 30 周年記念式典の展望 で語ったものです。これまでの PMS は利用者がホテル スタッフと限られていましたが、操作性をシンプルにする ことでホテル宿泊客が自らのスマートフォンやタブレットに 必要なアプリをインストールすることで直接オペレーション が可能となることです。例えばチェックインのときにフロン ト混雑時も待つことなくスマートフォンでチェックインできま す。ルームキーは顔認証や二次元バーコードを使い、レ ストランの予約やルームサービスの注文も利用客が自分 のタイミングで行うことができます。リクエストされたタオル やルームサービスを運ぶのはロボットに任せれば、ホテル マンとお客さまが直接触れることなく快適なホテルライフ を楽しむことができるというものです。自動チェックイン機 の操作も不要となりますので、より安全性を担保できるの です。 今後においては 2019 年の第 12 回タップアワードで学 生賞を受賞した京都の医大生が“多くの訪日外国人が 行きかうわが国において人の行き来が増えるほどに確率 が高まる感染症の脅威を最大限に予防することは観光・ 宿泊産業にも求められる”と提言したように、感染症対 策の初動として非接触の仕組みやシステムは宿泊業に 携わる施設において欠かせないものとなるのです。 鈴木 感染症対策としてサーモグラフィーや自動に検温 するシステムを設置したり、ピストル型の体温計で検温

JARC LIVE 7 鈴木 今後ますますホテルや旅館がライフスタイルの一 部として活用されるようになるでしょう。客室を活用したリ モートワークやテレワーク化における職場環境の改善な どにも、安心安全対策はもちろんのこと、快適に過ごせ る設備や環境が必要となります。また健康を意識した取 り組みも不可欠です。アメリカのサンディエゴには自然の 中で育った野菜を採取したり、座禅を組んだりして1週 間で 100 万円の宿泊施設を運営しているところがありま す。血糖値を下げる効果が抜群と話題を呼び、血糖値 を下げてはまた日常生活で上がり、また訪れて血糖値を 下げるなど、こんな感じでリピーターが多くいます。非接 触とはテーマが異なりますが、リピーターを誘導する仕掛 けも考えていかなければなりません。また将来的には車 が客室フロアまで入ることができ、車のキーがドアキーカー ドになる時代も近いと思います。まさに林会長のおっしゃ る通り、テクノロジーと精神の融合を建築や設計、デザ インにいかに投下することができるかが課題ですね。 林 日本人のあいまいとした感覚、わびさびなど、日本 人ならではの感覚や連綿と受け継がれている精神を感じ させるようなテクノロジーを開発し、それを文化とするよう な、新たな観光資源が生まれるかもしれません。非接触、 つまり“マイホテル・マイオペレーション”の構想、創造 をテクノロジーとエンジニアリングの発想で作り上げてい きたいと思います。 するなど、水際で未然に防ぐ対策が行なわれています。 しかし、大切なことは規定の体温を超えた来館者に対し て、ほかのお客さまとすれ違うことなく、またスタッフの安 全も担保しながら、最短の距離でいったん隔離できる設 備も必要となります。加えて医療機関との連携も含めた システムも求められます。特に病院施設の少ない地域は より一層、医療機関との連携システムを構築することが ホテルや旅館の信用性、ブランド力を高めることになりま す。またホテルや旅館に求めるリラックスした時間を提供 するためにも、景観の良い場所にバスやスパを設置する ことも、これからの宿泊施設や観光施設として求められ ます。そのためにもほかの宿泊客と出会うことがないバ スルームやスパ専用のエレベーターの設置や予約制の システム化、もし何かがおきたときに感知し、ホテルスタッ フに知らせるシステムの配置も不可欠です。ホテルは使 用目的に応じて管轄する省庁が異なりますので、簡単に できることではありませんが、今後の観光振興のために は表には見えないさまざまなシステムをミックスさせていく ための研究もしなければなりませんね。 林 テクノロジーだけでは宿泊産業に求められているこ との 100%カバーできません。それは安らぎが必要だか らです。コロナ感染症による自粛体制の中、会いたい 人に会えない、行きたいところへ行けないなど窮屈な生 活を強いられてきました。まだまだ思いっきり解放された 感覚にはなりきれませんが、窮屈の解放から生まれる新 たな文化が生まれるはずだと思います。例えば会えない 祖父母や親、そして子どもの 3 世代がテクノロジーを使っ て違う場所に居ながらも同時に顔を合わせることができま す。画像を通して旅行を同時に楽しむこともできるでしょ う。またそのときの気分でホテルの客室をバーチャル空 間に変えリラックスするために過ごすなど、テクノロジー と精神を融合させた時代になるのかもしれません。堅苦 しい部屋ではなく自由な発想で新たなアイデアをわかす、 そんな妄想ができる部屋、また妄想するための目には見 えないテクノロジーが自然体の中にある、そんな空間が 求められるかもしれません。私自身にとっては心地よい 部屋は緑と風、そして水の音を体感できるところですね。 ―最後にひと言、これからのホテルや旅館、観光産 業の姿についてお聞かせください。 s p e c i a l i n t e r v i e w 公益社団法人国際観光施設協会 鈴木裕会長

8 換気の徹底 館内(客室・レストラン・宴会場・ロビー)などの喚起につ いては、空気調和設備などの基準に適合するよう維持管理 に努め、外気に触れる窓やドアがある場合は定期的に空気 の入れ替えを行ない、こまめな換気に努めましょう。 接触感染の予防 複数の者が手指などで接触する機会の多い表面の消毒や 器具に接触する手指の消毒を行なうことが有効です。 お客さまには、館内に入る際、あるいは、各店舗や会場に 入る際に、」手洗いやアルコール消毒をしていただくよう使用 を促しましょう。パブリックスペースの洗面所に、手・指を消 毒するアルコール消毒液とメッセージなどを設置して利用を促 しましょう。 従業員は、サービスを開始する前の手洗いのみならず、感 染予防の観点から、常に手指の消毒を心がけましょう。館 内の清掃・消毒を行なう際は、マスクおよび手袋を着用し、 終了後は手洗い・うがいをしましょう。 ゴミは、ビニール袋に入れ、袋の口を閉じ密閉して処理しましょう。 ブッフェ形式で飲食を提供する場合、お客さまが共同で使 用するトング・菜ばしやピッチャーなど、衛生管理を徹底し、 頻繁にトングなどを交換し感染リスクを低減させることが求め られます。接触感染を積極的に防止する観点から、ホテル 『新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン』 【ガイドラインのポイント】 お客さまがホテルに到着し、お帰りになるまでの間のお客さまの動線や従業員などの動線を考慮し、接触感染と飛 沫感染のリスクの洗い出しを行ない、その上で、お客さまと従業員の感染リスクを低減させるための、具体的な感 染予防対策について示しているものです。 【感染予防に向けた具体的な取り組み】 ホテル内には不特定多数のお客さまが一定の時間滞在されることから、集団感染リスクの高いと考えられている三 つの密(密閉・密集・密接)を回避することが重要であるとともに、新型コロナウイルス感染症の主な感染経路 である接触感染と飛沫感染のそれぞれについて、お客さまと従業員の導線や接触場所などを洗い出し、そのリスク に対応した取り組みが必要となります。 「新しい生活様式の実践例」などを踏まえ、 ホテル業界がこれまで取り組んできた新型コロナウイルス感染症の予防対策を分かりやすく整理の上、取りまとめたものです。 ガイドラインは今後の新型コロナウイルス感染症の拡大状況や 最新の同ウイルスの予防に係る専門家の知見などを踏まえて必要な見直しを行なっていきます。 随時、更新されるガイドラインをチェックするとともに、 お客さまそしてスタッフのために安心・安全な環境を提供していただけますようお願いいたします。

JARC LIVE 9 側のサービススタッフが料理などを取り分けする方法や、お 客さまがお料理をいただく際に「手袋」を一人ずつ用意し、 着用いただくなどの工夫も考えられます。 飛沫感染の予防 ホテルにおける各種サービスは、お客さまと対面して行な うことが基本ですが、新型コロナウイルスの飛沫感染を予防 するための一定の距離(人と人との間隔はできるだけ 2 m、 最低1m)をとることと、マスクを着用することが重要です。 またお客さまについても、社会的な距離の確保やマスクを励 行いただくことが必要です。 チェックイン・チェックアウト時などで、行列ができる 場合には一定の距離をとってお並びいただくよう誘導するか、 受付時にカードなどをお渡しし、ロビーでお待ちいただくなど の工夫が必要です。チェックイン・チェックアウト時の受付で 対面する場合には、飛沫感染のリスクを下げるために、お 客さまとの間に透明な仕切りなどを設置などの対応も必要で す。エレベーターの利用に当たってはエレベーター内が密集 しないよう、お客さまに喚起するメッセージをエレベーター付 近に掲示するなどの対応が必要です。エスカレーターにつ いては、行列ができる場合には、距離をとってお並びいただ くとともに、お乗りいただく際も間隔をあけていただくよう、お 客さまに協力いただくことが必要です。喫煙所がある場合は、 一定の時間に多くの方が利用されることが想定されますの で、一度に入室できる定員を表示し、お客さまに順守いただ くよう注意喚起しましょう。 レストランや宴会・会議場において、着席スタイルで飲食 を提供する場合は、テーブルとテーブルの間の距離、1つの テーブルに着席できる人数、着席の仕方などについて、飛 沫感染を予防できる一定の距離を保つよう工夫することが必 要です。 発熱・咳・風邪などの症状で体調がすぐれない方の入場 はお断りすることを、全広に告知し、徹底することが重要です。 感染拡大予防に向けた宿泊客対応 「レジストレーションカード」など正確な記載と日本国内に 住所を所有しない外国人の場合は、その方の国籍と旅券番 号を記載し、旅券の写しを保管しましょう(旅館業法および 通達事項)。「健康に関するセルフチェックシート」などをチェッ クイン時に記入していただくなど、宿泊者の健康状態をでき るだけ把握するよう努めましょう。チェックイン時あるいは客室 にてご案内の際に、新型コロナウイルス感染症に関する情 報提供を行なうとともに、滞在中、発熱など体調に異変が 生じた場合は、直ちにホテルの係まで申し出ていただくよう、 お伝えしましょう。また客室内にも同様のメッセージを置くなど の対応を行ないましょう。客室内に「手洗い」および「うがい」 を励行いただくよう、感染予防のためのメッセージを提出しま しょう。宿泊者から体温計の貸し出しを求められた際は、衛 生管理に留意の上で貸与するなど、宿泊者の健康管理に 積極的に協力しましょう。 従業員の感染予防対策 個人でできる健康管理を徹底すること 通勤時には咳エチケットやマスクの着用、距離の保持など について、個人できる感染防止策をとること。 従業員の通用口にアルコール消毒液を設置し、手指の消 毒を徹底すること。始業時における健康状態の確認をおこ なうこと(体温チェック・諸症状の報告、就業時間中の再チェッ クがあればなお良い)。体調のすぐれない従業員は、直ち に部門長など責任者に連絡をとり、その指示に従うこと。家 族に感染者や感染の疑がわれる者がいる場合は、出勤を 見合わせ、最寄りの医療機関に連絡を入れ、その指示に従 うこととし、会社には定期的に電話などにより連絡をとること。 *(一社)日本ホテル協会はガイドラインのほかに、「新型コロナウイル ス感染症対応マニュアル」(暫定版)を作成、政府から発出された各 種通知を受けて改正を行なっています。マニュアルの中には検疫強化に ともなう待機要請者に対する宿泊対応や、新型コロナウイルス感染症 の疑いがある者が館内で発生した場合の対応などをとりまとめています。 *(一社)日本ホテル協会 ガイドラインより制作

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12 国内における宿泊施設の品質認証および品質向上プログラムを目的とした「サクラクオリティ」を展開しているのが 北村剛史統括理事指揮する一般社団法人観光品質認証協会だ。現在全国約 230 施設が認証を得ている。新型コロナ ウィルス感染症によるパンデミックを受け、急場では済まされない、次世代につないでいくために With コロナに対 峙すべきという使命に立ち、2020 年 6 月、有識者および JARC 会員を軸としたコロナ対策チームを結成。チーム リーダーとして奮闘する北村剛史統括理事に寄せる思いと取り組みをお聞きした。 対する真実が伝えられていませんが、医師の見地では世 界人口の 60%が感染しなければ終息しない可能性があ ると指摘する方も多くいます。私自身、専門家からそれ らのお話しを聞かされたとき、サクラクオリティ認証を実施 している弊会の責務として、宿泊およびサービス業界に 対して恐怖心をあおるという意味ではなく、地域活性化 の軸として重要な存在である宿泊施設のグリーンゾーン 化を図り、100 年後、200 年後と地域振興とともに未 来につないでいくための『NEW NORMAL SERVICE QUALITY 』が必要であると判断しました。安全行動基 ―首都圏に限らず地方都市におよび月単位で、締め 付けが厳しくなっています。6 月 19日より他府県を またぐ行動が緩和され、希望的観測を抱く関係者も 増えていますが、Withコロナと言われている今、宿 泊施設の品質保証「サクラクオリティ」認証を実施さ れている貴協会としての見解はいかがでしょうか。 新型コロナウィルス感染症によるパンデミックは宿泊業 界に限らず、経済死に近い状況となっています。恐怖心 による委縮を引き起こすことを避けるためにコロナ終息に ウィズコロナ安全行動基準プロジェクト_一般社団法人観光品質認証協会 ~地域そして次世代をつなぐために宿泊施設の 安全安心に対する意識改革を~ 北村 剛史氏 一般社団法人観光品質認証 協会(サクラクオリティ) 統括理事 東京都千代田区内幸町 1-1-1 帝国ホテル本館 5 階 515 号室 TEL:03-3580-2341 URL:https://www.sakuraquality. com/ 医療・テクノロジーなど最先端の知見と技術による JARCコロナ対策チーム結集

JARC LIVE 13 準の策定とともに、基準にそった改善を早急に進めてい くために、宿泊施設関連に関わるさまざまな専門知識や 技術を持った企業が結集しているJARCを舞台に、現 時点で実行可能な感染症対策を行いつつ経済をつなぐ ためのコロナ対策チームの結成にいたりました。 ―確かに地域振興のために宿泊施設は重要な存在であ り、安心・安全の意識を高めていくことは欠かせません。 人々が集う宿泊施設からクラスタ-を引き起こしますと、ス タッフや宿泊者だけではなく高齢化が進む地方都市にお いては地域住民にも多大な影響を与えます。そうならない ためにも、スタッフそして地域住民、そしてお客さまの命 を守るための安全行動基準を確立し、一人でも罹患者を 出さない安心・安全な宿泊施設へと新たなステップを踏 んでいかなければなりません。終息までではなく持続的に 求められるものとし、2020 年 5月14日、全国旅館ホ テル生活衛生同業組合連合会、日本旅館協会・全日 本シティホテル連盟の作成した「宿泊施設における新型 コロナウィルス対応ガイドライン(第1版)」を重視しつつ、 その上で宿泊施設における円滑な感染症予防体制の構 築およびその持続的な実践を目的とし、「サクラクオリティ 安全行動基準(以下「実践マニュアル」と言う。)」を 作成いたしました。この実践マニュアルは永久的なもの ではなく、新型コロナに関する情報が変わるたびに専門 家の見解を確認し、随時最新版として更新していきます。 まずは何としてでも国内旅行需要喚起策「Go Toキャン ペーン」が開始される前に全国のホテル・旅館に浸透さ せ、宿泊施設のグリーンゾーン化を図っていきたいと思い ます。 ―結成チームとして具体的にどのような活動をされて いかれるのですか。 ウィルスや感染症の知見者として様々な専門家たちの 「ドリームチーム」を結成致しました。依頼した当初はコ ロナ終息以降の実践マニュアルという話に耳を傾けてく れませんでした。そんな簡単なことではなく、真剣に向き 合わない限りは協力しないと言われたのです。予測される 世界的な数値を聞いたとき、これは真剣に向き合わなけ ればならないと意を決したのです。その思い、決意をご理 解いただき、今は連日連夜、深夜に至るまで様々な専門 家から最新情報やこうあるべきではという見解をまとめた 文書が届きます。そのたびごとに実践マニュアルを書き 換えていますので、このままではおそらく実践マニュアルも 250 回ほど刷新するのではないかという勢いです。 ―それはすごいことです。しかしその積み重ねは、 おそらく世界にはない試みであり、日本においても今 後における貴重な資料であり、財産となります。そ のほか、どのようなチームがあるのですか。 林会長を軸としたテクノロジーチームがあります。例えば 宿泊施設においてコロナ感染を防ぐために館内にウィル スを持ち込ませないためには玄関口が重要となります。そ れは靴の底にウィルスが付着しているからです。コロナは 空中に 3 時間浮遊していると言われています。浮遊して 下に落ちたものが靴底に付着します。付着して消滅する わけではなく生き続けていますので、まずは靴底からウィル スを除去することが求められます。しかし、玄関口でウィ ルスを除去するために粘着シートを設置するわけにはいき ません。理想的には入館されたら靴を脱いでいただきビ ニールに入れてスリッパに履き替えていただくことですが、 お客さまに靴を脱いで履き替えていただくことには抵抗を 感じるホテルもあるでしょう。そこでウィルスを玄関先で除 去するためにさまざまな企業が結集し、最先端技術を生 み出していきます。 ―どうしてもフロント周りや客室に目が行きがちです が、玄関先とは盲点ですね。 ソーシャルディスタンスの観点で言えば多くのホテルの客 室の通路幅も課題です。1.6m 幅の通路ではお客さまが すれ違うことで2m 以上というソーシャルディスタンスを保 つことができません。すれ違わないためには客室通路を 一方通行にすることも必要となります。またウィルスを除 去するための消毒や機材なども客室内外に必要となりま す。この部分はホテル客室アメニティを扱っている渡部 理事がハブとなり設備や設計、ルールなどを作り上げて いきます。また診断につきましては公衆衛生の専門家で ある小澤理事に協力いただきます。HACCP に準じた食 品衛生管理は(一社)メイドインジャパン・ハラール支 援協議会 高橋会長がまとめていきます。国内外に向 けた広報的な役目として(株)やまとごころの村山社長 が進めていきます。今はとにかく全国のホテルや旅館に 向けて認定した施設に限らず、サクラクオリティ安全行動 基準の浸透に向け、郵送してお知らせしています。ただ、 おそらく何ページにもわたり文字が連なっておりますので、 今後は誰でも簡単に見聞きできる方法で発進していきた いと思います。 ―まさに JARC だからできることですね。最後にひ と言お願いいたします。 安心・安全のための課題は山積しています。本当の 意味で終息するのは何 10 年先か分かりません。しなし ながら、地域を守り、次世代を守るためにも今、真剣に 取り組まなければならないのです。しかもスピード力を持っ て。地域を守ること、地域の命をつなぐことが宿泊施設 の使命であり、社会貢献だと思います。そのためにも安心・ 安全に対する意識を高め、真剣に取り組んでほしいと願 います。

14 “メイドインジャパンおもてなし、メイドインジャパンを世界へ”をスローガンに掲げ、国内外のハラール認証機関 と協力し、国内の飲食コンサルティング企業や飲食店組合、ホテルなどとのネットワークを作り、次なる観光ステー ジ作りに取り組んでいるのが、髙橋敏也理事長指揮する一般社団法人メイドインジャパン・ハラール支援協議会だ。 今回はこれから求められるニューノーマルな観光業の在り方などをお聞きした。 それは、新型コロナ・ウイルスの登場で、我々の生活は、 「新型コロナ・ウイルス前」「新型コロナ・ウイルス後」 で大きく変わったのです。 多分、新型コロナ・ウイルスのワクチンが完成しても、 もう元の生活には、戻れないと考えられます。なぜなら、 例え新型コロナ・ウイルスのワクチンが完成して制圧でき たとしても、さらに進化したウイルスによるパンデミックが 起こる可能性が、大きいからです。特に現在のように、 世界中を飛行機や船などでさまざまな人々が大量に行き 交っている社会では、パンデミックが拡大するスピードは、 ―世界的なコロナパンデミックに観光業界は大打撃を 受けました。 2020 年まさに日本は、東京オリンピック・パラリンピッ ク競技大会開催に向けて希望に満ちあふれていました が、中国・武漢から巻き起こった新型コロナ・ウイルス の全世界への蔓延によるパンデミックに見舞われ、日本 だけでなく全世界の主要都市がロックダウン、ステイホー ムという未曾有の緊急実態へ突入しました。 そして、我々に何が起こったのか? ウィズコロナ安全行動基準プロジェクト_一般社団法人メイドインジャパン・ハラール支援協議会 〜ウィズコロナからSDGsへ〜 高橋 敏也氏 一般社団法人メイドイン ジャパン・ハラール 支援協議会 理事長 東京都港区六本木 5-18-18 プレシャス六本木 7F TEL:050-3559-6767 URL:mijhsc.org ニューノーマルな観光・ホテル旅館の 持続可能な未来へ

JARC LIVE 15 我々の力では防げないところまで来ています。それを新型 コロナ・ウイルスが証明してくれました。 ―現状、現実があまり見えない国などもあり、実態 はいかがでしょうか。 2020 年 6月21日現在、新型コロナ・ウイルス全世 界の感染者数 895 万 9805 人、日本国内での新型 コロナウイルス感染症の感染者は1 万 7864 人、死亡 者は953 人にいたります。 https://graphics.reuters.com/CHINA-HEALTHMAP-LJA/0100B5FZ3S1/index.html まさにこれからは、世界中の人々が、今までとは違う新 しい生活様式を取り入れていかないと、我々の生活が成 り立たないのです。それが「ニューノーマル」なのです。 ―ニューノーマルな生活とは具体的にどのようなこと とお考えですか。 「ニューノーマル」の生活の基本は検温、マスクの着 用、手指消毒、ソーシャル・ディスタンス、大声を出さない、 三密の回避(密集、密接、密閉)、これを常に行なう事 が当たり前の生活に変わりました。つまり新型コロナ・ウィ ルスは、常にそこに居ると言う意識で生活すると言うこと なのです。 <台東区新しい生活様式参照> しかし一番大事なことは、「ニューノーマル」の新しい 生活様式に対応する事で新型コロナ・ウィルスから大事 なお客さまやスタッフ、自分、自分の家族と言うように 全ての人を守る防衛生活のスタイルなのです。つまりは、 「ニューノーマル時代の観光の価値基準も変わったとい う事」も我々は、認識しなければいけません。 ―段階を踏んで行動範囲も広がりましたが、まだまだ 警戒心強く観光業をぐっと持ち上げていけるまでの状 況とはなっていません。 確かに「ウィズ・コロナの環境で安心安全に旅行でき るのか? 宿泊できるのか?食事を楽しめるのか?」が大 きな選択の優先基準になってくると思われます。そうなる と観光客を受け入れるホテル、旅館、観光施設、飛行 機、バス、電車などすべての観光に関わる業種において 「ニューノーマル」な対応が求められるのです。 ここで重要となるのが、基本となる受け入れのガイドラ インです。各業界団体は、国が策定したものを元に各 業界に合わせてアレンジして公開しています。ホテル業 界は一般社団法人日本ホテル協会が提示している「ホ テル業における新型コロナウイルス感染症感染拡大予 防ガイドライン」があります。多くのホテルは、本ガイドラ インを元に独自のガイドラインやマニュアル作りを行なって いますが、ここにもまだまだ課題が山積しています。消毒 一つとっても、何をどうすれば防げるのか、手探りの状況 だからです。 ―ところで海外はいかがですか。 もちろん、海外では、IHGが衛生基準を新定義「クリー ンプロミス」を立ち上げたり、国連世界観光機関、観光 再開に向けた分野別ガイドラインを策定したり、世界旅行 ツーリズム協議会、観光分野毎のガイドライン策定やシ ンガポール SG CLEANやタイ国政府観光庁観光業向 け衛生安全基準「アメージング・タイランド・セーフティー・ アンド・ヘルス・アドミニストレーション (SHA)」などが動 きはじめています。国内でもANAが推進するコロナ対策 「ANA Care Promise」やプリンスホテル、新たな衛生・ 消毒基準「Prince Safety Commitment(プリンスセー フティー コミットメント) など観光再開に向け動きはじめて います。また、現在当協会の理事であるサクラクオリティー の北村氏が監修した「サクラオリティ 安全行動基準 安 全行動基準 感染症予防及び防犯災衛生管理実践マ ニュアル」が高いレベルでの詳細の対応の実践マニュ アルの規範となっています。 ―しかし、現実的にはハードともに対処法が難しい一 面もあります。 根本的に考えると、現在のホテルや旅館などの宿泊・ 観光施設は、「ニューノーマル以前」の生活様式を元に 企画、設計、デザイン、施行されていますので、「ニュー ノーマル」時代には、対応できないハードとしての課題も 山積みです。 これだけでなく、来年の 2021 年 6月からHACCP の完全制度化にも対応しなければいけません。2030 年 SDGs に向けて、2020 年 7月1日からは、プラスチッ ク製買物袋有料化がスタートします。来年には延期になっ た東京オリンピック・パラリンピックや 2025 年大阪万博、 2026 年アジア大会開催と、まさに、「ニューノーマル」 から2030 年 SDGsまで持続可能な未来への取り組み が大変重要となります。 そこには、新しい技術、IT や素材、アイディアを取り 込んだ「ニューノーマル」時代の観光業を支える技術革 新が求められます。我々JARCは、「「ウィズコロナ安全 行動基準プロジェクトチーム」を立ち上げ観光を受け入れ る行政やホテル、旅館などの施設とそれを支える関連企 業と手を組んで「安心安全な新しい観光スタイル = 観光 グーリーンゾーン」を構築し、広げていきたいと思います。

16 サン・パシフィック・エンタープライズ㈱は、これまで BVLGARI・FERRAGAMO をはじめとするブランドアメ ニティをホテル・旅館にサプライしてきた。コロナ禍により旅行業界のインフラカットされ同社顧客含め業界全体が 窮地に追い込まれている。更に長期化が予測されている中宿泊産業現場をサポートする為、医療業界・スポーツジム 等多分野に商品・サービスを提供する同社が防疫対策製品の供給に乗り出すことになった。渡部聡専務取締役に取り 組みをお聞きした。 のため新たな道を切り開いていかなければ厳しいという事と、 外部から宿泊産業を支援して早期に通常営業が出来る様 情報と商品を供給し早期に市場復活させる事が最善と判断 しました。 ―短期間で多くの商材を集め、提案できたのは本気に ホテル業界に対峙し、何とか救済したいという熱い思 いなくてはできないことです。 知人のホテルマンやセラピストが接客の度にアルコール 消毒を行うので手指がボロボロで人前に出すのが恥ずかし ―ブルガリやフェラガモなど約15ブランドの国内総代 理店権利を持ち、アメニティプロダクツを提供されてき ましたが、新たな挑戦として衛生プロダクツの流通に 着手されました。その経緯をお聞かせください。 世界的なパンデミックが起き、各国で緊急事態宣言の サイレンが鳴り響くほどに、旅行業界のインフラは閉ざされ、 同時に商材を納めていたホテルの活動もほぼ止まりました。 期待していたオリンピックも中止となったが、各国からオリン ピック対策在庫は山の様に入って来る。これほどにコロナ 感染症による変化を予測していませんでしたが、企業存続 ウィズコロナ安全行動基準プロジェクト_サン・パシフィック・エンタープライズ ~3つのナイを徹底的に追求した 感染プロダクトの提案に乗り出す~ 渡部 聡氏 サン・パシフィック・ エンタープライズ㈱ 専務取締役 東京都新宿区西新宿 3-2-26 立花新宿ビル 4F TEL:03-6911-3746 URL:www.speamenity.com “三密”に対し“三ナイ「”持ち込まナイ・残さナイ・さわらナイ」を提唱

JARC LIVE 17 いという悩みを多く聞いておりました。また、現在主流の ピストル型検温器は、測定時に被験者にかなり近づかね ばならず感染リスクがあり、発熱者に対する告知をするの が怖くメンタルでも疲弊している事を知りました。 お客さまの安心・安全はもちろんのことですが、実際にお 客様と対峙するスタッフが心身共に健全な状態でないと 100%のホスピタリティは発揮出来ないと強く感じたのです。 フロントや清掃、バックヤードに至るまでホテル関係者は 多くの方々と接します。チェックン後にお部屋にご案内す るときに触れるエレベーターのボタンや客室清掃時に触れ るテレビなどのリモコンなど、ウイルスが付着、潜伏しや すいところに業務上、触れなくてはなりません。まさにい つ感染してもおかしくない環境で一生懸命働いておられま す。物理的にも精神的にも感じているストレスを解消でき る環境は、結果的にお客さまにとっても安心安全なホテ ルと言えるのだと思います。 ―具体的にはどのような提案をされていらっしゃるので すか。 「持ち込まナイ・残さナイ・さわらナイ」という鉄壁の “ 三 ナイ” 感染防止プロダクツをご提案しています。まずはホテ ルのエントランスやフロントにおける「持ち込まナイ」です。 上述のピストル型検温機の代わりに無人オペレーション 可能な顔認証検温スクリーニング機器『Quick Hygiene Terminal』と『Face SC』です。これでかなりスタッフの 方の心身負担が軽減されると考えております。機器のポテ ンシャルとしてはオプションで勤怠管理や入り口ドアとの連 動等も可能です。また万一クラスターが発生した時にログで ある程度感染源を追える事も社会的に意味のある製品だと 考えております。 次に目下全国的に使用禁止となっているエアータオルの 代替機『New Super M』です。一般的なエアータオル の熱源は80℃前後の為、菌を完全死滅させる事は困難で すが、この製品は131℃の熱源となり、吸気した空気がこ の熱源を通過する事でほぼ完全除菌されます。更に手に 付着した菌を安全なUV-C 短波紫外線で除菌する為、ほ ぼ99.9%除菌が可能となります。これまで潜水艦や病院・ 大学等で20 年以上、累計 35,000 台以上の実績のある 製品です。厨房入口の自動ドアと連動させる事で、2021 年 6月に完全義務化となるHACCP 対応にもなる為、本 来のトイレ用のエアタオルとしての用途以外に引き合いが殺 到している製品です。 ―確かについついこれまでの習慣でバックヤードに設置 している喫煙所や化粧室に消毒せずに行き来したりし がちです。消毒を終えないと扉が開かなければ自然な 流れで消毒することが当たり前の日常へと変化させるこ とができます。 そして次は「残さナイ」です。一度侵入したウイルスは 館内で徹底して不活化させることが重要。そこで提案する のが医療機器メーカー日機装㈱が開発した空間除菌装置 『Aeropure』とオゾン水手洗い装置『Handlex』です。 各メディアで発表されている通り、新型コロナウィルスには 紫外線とオゾンの有効性が証明されています。『Aeropure』 は深紫外線 LEDにより浮遊菌の除去(99.9%除去試験 実証済み)、アレル物質の分解(99.9%分解試験実証済 み)やインフルエンザウイルスの不活性化が図れます。紫 外線が外に漏れない安全構造で、有人で稼働可能。つま り今の空気清浄機同様お客様の滞在時間中も除菌が可 能です。 『Handlex』は病院市場では当たり前の様に使われてい る安全なオゾン水を使った除菌手洗い装置です。先にも述 べましたが、過度のアルコール消毒は健康被害に繋がりま す。Handlexは手の表皮に付着した菌だけを殺菌し即酸 素と水に分解され残留しない為、手指自体を傷めません。 水道設備は不要で電源さえあれば水道水からオゾン水が作 れる為、消毒頻度の高いフロント廻りにも設置可能です。 ―そして「さわらナイ」ですね。 はい。「さわらナイ」非接触プロダクツ3をご用意しました。 手を触れることなくセンサーに手を近づけると泡と液体ソープ が出てくるディスペンサー、同様に手をかざすと蓋が開き一 定時間で自動的に閉まるセンサー屑入、顔を近づけると自 動で高性能 LEDランプが点灯するメイクアップミラーです。 何れの製品もモノとの接触を極端に減らし感染リスクを回避 出来る製品です。携帯電話と同じType-Cのケーブルで 充電出来、フルチャージすると1~2カ月(使用環境による) 使える為、設置場所を選ばずメンテナンスも楽な製品です。 このように「三ナイ」を最先端の技術を使って実行する ことで、お客さまにもスタッフにも安心安全な環境すること ができるのです。 ―政府が提唱している日常生活における「三密」、そ してホテル業界にける御社が提案する「三ナイ」、ぜ ひとも業界の標語として浸透させるとともに、当たり前 の日常にしていきたいですね。最後にひと言おねがい いたします。 施設オーナー様には、日々最前線で防疫業務に従事して おられるスタッフの事をご考慮頂きご提案の様な対策製品を ご検討頂きたいと思います。スタッフの笑顔とホスピタリティ がお客様を呼び戻すか活力源になると思っております。 売上・収益が見込めぬ中資金面で厳しいかとは存じます が、各自治体の補助金や助成金の活用、また意外と大き な削減が期待出来る電力の見直しやリースの活用(弊社 や JARCの方でもお手伝いさせて頂きます)等をご活用頂 だければと思います。 お気軽にご相談下さい!

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