JARCLIVE7

JARC LIVE 13 準の策定とともに、基準にそった改善を早急に進めてい くために、宿泊施設関連に関わるさまざまな専門知識や 技術を持った企業が結集しているJARCを舞台に、現 時点で実行可能な感染症対策を行いつつ経済をつなぐ ためのコロナ対策チームの結成にいたりました。 ―確かに地域振興のために宿泊施設は重要な存在であ り、安心・安全の意識を高めていくことは欠かせません。 人々が集う宿泊施設からクラスタ-を引き起こしますと、ス タッフや宿泊者だけではなく高齢化が進む地方都市にお いては地域住民にも多大な影響を与えます。そうならない ためにも、スタッフそして地域住民、そしてお客さまの命 を守るための安全行動基準を確立し、一人でも罹患者を 出さない安心・安全な宿泊施設へと新たなステップを踏 んでいかなければなりません。終息までではなく持続的に 求められるものとし、2020 年 5月14日、全国旅館ホ テル生活衛生同業組合連合会、日本旅館協会・全日 本シティホテル連盟の作成した「宿泊施設における新型 コロナウィルス対応ガイドライン(第1版)」を重視しつつ、 その上で宿泊施設における円滑な感染症予防体制の構 築およびその持続的な実践を目的とし、「サクラクオリティ 安全行動基準(以下「実践マニュアル」と言う。)」を 作成いたしました。この実践マニュアルは永久的なもの ではなく、新型コロナに関する情報が変わるたびに専門 家の見解を確認し、随時最新版として更新していきます。 まずは何としてでも国内旅行需要喚起策「Go Toキャン ペーン」が開始される前に全国のホテル・旅館に浸透さ せ、宿泊施設のグリーンゾーン化を図っていきたいと思い ます。 ―結成チームとして具体的にどのような活動をされて いかれるのですか。 ウィルスや感染症の知見者として様々な専門家たちの 「ドリームチーム」を結成致しました。依頼した当初はコ ロナ終息以降の実践マニュアルという話に耳を傾けてく れませんでした。そんな簡単なことではなく、真剣に向き 合わない限りは協力しないと言われたのです。予測される 世界的な数値を聞いたとき、これは真剣に向き合わなけ ればならないと意を決したのです。その思い、決意をご理 解いただき、今は連日連夜、深夜に至るまで様々な専門 家から最新情報やこうあるべきではという見解をまとめた 文書が届きます。そのたびごとに実践マニュアルを書き 換えていますので、このままではおそらく実践マニュアルも 250 回ほど刷新するのではないかという勢いです。 ―それはすごいことです。しかしその積み重ねは、 おそらく世界にはない試みであり、日本においても今 後における貴重な資料であり、財産となります。そ のほか、どのようなチームがあるのですか。 林会長を軸としたテクノロジーチームがあります。例えば 宿泊施設においてコロナ感染を防ぐために館内にウィル スを持ち込ませないためには玄関口が重要となります。そ れは靴の底にウィルスが付着しているからです。コロナは 空中に 3 時間浮遊していると言われています。浮遊して 下に落ちたものが靴底に付着します。付着して消滅する わけではなく生き続けていますので、まずは靴底からウィル スを除去することが求められます。しかし、玄関口でウィ ルスを除去するために粘着シートを設置するわけにはいき ません。理想的には入館されたら靴を脱いでいただきビ ニールに入れてスリッパに履き替えていただくことですが、 お客さまに靴を脱いで履き替えていただくことには抵抗を 感じるホテルもあるでしょう。そこでウィルスを玄関先で除 去するためにさまざまな企業が結集し、最先端技術を生 み出していきます。 ―どうしてもフロント周りや客室に目が行きがちです が、玄関先とは盲点ですね。 ソーシャルディスタンスの観点で言えば多くのホテルの客 室の通路幅も課題です。1.6m 幅の通路ではお客さまが すれ違うことで2m 以上というソーシャルディスタンスを保 つことができません。すれ違わないためには客室通路を 一方通行にすることも必要となります。またウィルスを除 去するための消毒や機材なども客室内外に必要となりま す。この部分はホテル客室アメニティを扱っている渡部 理事がハブとなり設備や設計、ルールなどを作り上げて いきます。また診断につきましては公衆衛生の専門家で ある小澤理事に協力いただきます。HACCP に準じた食 品衛生管理は(一社)メイドインジャパン・ハラール支 援協議会 高橋会長がまとめていきます。国内外に向 けた広報的な役目として(株)やまとごころの村山社長 が進めていきます。今はとにかく全国のホテルや旅館に 向けて認定した施設に限らず、サクラクオリティ安全行動 基準の浸透に向け、郵送してお知らせしています。ただ、 おそらく何ページにもわたり文字が連なっておりますので、 今後は誰でも簡単に見聞きできる方法で発進していきた いと思います。 ―まさに JARC だからできることですね。最後にひ と言お願いいたします。 安心・安全のための課題は山積しています。本当の 意味で終息するのは何 10 年先か分かりません。しなし ながら、地域を守り、次世代を守るためにも今、真剣に 取り組まなければならないのです。しかもスピード力を持っ て。地域を守ること、地域の命をつなぐことが宿泊施設 の使命であり、社会貢献だと思います。そのためにも安心・ 安全に対する意識を高め、真剣に取り組んでほしいと願 います。

RkJQdWJsaXNoZXIy NDU4ODgz