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JARC LIVE 43 た。またグローバル化がますます求められる中、真の国 際教育として全員参加の海外研修旅行、希望者にはホー ムスティをしながら提携するオーストラリア・カナダの大学 にて学ぶ1年間の短期留学制度(1991年から28年間、 年平均 67 人)や、6 年目を迎えるYSCJなど、学生 募集のための国際教育ではなく、海外の大学ときちんと スクラムを組み、世界に通用する人材教育を行なってい ます。 ―まさに今、求められている人材をとらえ育成されて いらっしゃいます。ところで YSCJとは何ですか。 YSCJとはヤング・スコールクラブ・ジャパン(Young Skal Club Japan)です。スコールクラブは、現在、 103カ国に 344クラブ、1万 3428 人の会員を有し、 観光業界では世界最大の民間国際組織です。ヤング・ スコールクラブは1999 年、次世代を担う人材育成を目 的に、学生および若い業界人を対象に新しいカテゴリー として組織されたものです。当校では英語で授業を行な う英語専攻科(30 ~ 40 人)の学生を中心に、内外 における現役の業界人との交流機会を促進する真の国 際化教育の一環として、2015 年 7月にヤング・スコー ルクラブ・ジャパンを立ち上げました。以来、スコールク ラブ関係者を招いての特別講義や海外研修時にフィリピ ン、メルボルン、ローマ、バンクーバーの現地スコールク ラブとの交流会や、グアムへの招待訪問、国際会議へ のボランタリー参加と活動を広げてきました。 ―それは素晴らしいことです。最近は海外へ行きた がらない若者が多い中、積極的に国際交流を図るこ とにより視野の広い人材を育成することができます。 実際、貴校への入学動機はいかがですか。 ホテルおよびブライダル業界に特化した専門学校です ので、まずはホテルやブライダルという綺麗な職場で働き たいという業界志向があります。実務としては接客業の 最高峰であるホテルで働きたい、人に喜ばれる仕事がし たいという希望を抱いています。さらに外国や外国語、 海外の異文化に興味を持っている人は授業の 80%を英 語で行なう英語専攻科を希望してきます。ホテル・ブライ ダルに特化していますので、将来像が明確であり、志望 者は今も昔も志望動機の変化は感じられません。学生は 外資系や日系の大手企業、海外のホテルに就職するこ とを希望しています。中には、授業を受ける中でレストラ ン飲食業に対する知識や技術を習得するうちにソムリエ などプロの道を選考する学生もいます。 ―しかし夢と希望を抱いてホテルやブライダル業界に 就職しても、なかなか継続できない若者も増えていま す。 人材を送り出す学校側として提唱したいのは労働条件 の改善を行なってほしいことです。いっとき給与も上がりま したが、また抑える傾向にあります。都心では初任給平 均 20 万円ほどですが地方都市では10 万円台が大半 です。以前は都心部のホテルでも寮を完備していました が今では大半が用意されていませんので、家賃や日常生 活費を考えると生活が厳しいという実情があります。学校 では、入寮研修生として企業にお世話になっていました が、学生の便宜を図るため2 棟で160 室ほどの寮を用 意しました。しかしながらまずは給与の見直しを早急に行 なってほしいと願います。そして入社後のキャリアパスも 出来れば明確に提示していただきたいですね。自分は何 をしたらステップアップできるのか、その際にどれだけの賃 金を得られるのかなど、明確なキャリアプランを描かれて いないホテルが大半です。これでは外国人労働者も含め たグローバル化の中、ますます有能な人材を確保するこ とが難しいのでは思います。また外国人に対しても安い 労働力ではなく、日本人同等に将来的にキャリアアップで きる合理的な条件で雇用してほしいと願います。そのため にもキャリアプランの策定は欠かせないことだと思います。 ―未来の希望の見える化は欠かせないことだと思い ます。見える化という点でコロナによる先が見えない 現状において取り組まれていることをお聞かせくださ い。 学校は7月よりオンライン授業と併行して分散登校で スタートします。5月11日から実技科目を除き、全教科 をオンライン授業で開始しました。新年度 4月からの休 校の間、内部教職員 50 人すべてにノートパソコンを支 給し、IT 環境と特別教育を施し、非常勤の 70 ~ 80 人の講師の協力も得て、自宅や学校の教室を使って授 業を行なっています。外部から専門家を招き、不得手な 講師に対してマンツーマンで指導や授業中のサポートを行 なっています。わずか 1カ月弱の期間でしたが先生方も 真剣に取り組んでいただき、オンライン授業がスタートで きたことはとてもうれしく思います。とはいえ、これが完成 品ではありません。あくまでも急場を乗り切るためのもので す。今後、コロナ終息後の教育体制として政府の支援 もありオンライン教育はますます一般化することでしょう。 今は座学の科目を先行させていますが、実技も含め教育 の体系的なプラットフォームの構築が不可欠です。その ためにオンライン授業プロジェクトを発足し、まずは2021 年 4月以降、出来るだけ早い時期に新たな授業や学校 のスタイルを作り上げていきたいと思います。多額の投資 が余儀なくされますが、1つの新しい学校のカタチとしてオ ンライン教育を取り入れたモデルを構築し、ホテル・ブラ イダル業界、他校の専門学校などでも活用いただくこと で、50 年間業界とともに歩んできた集大成として業界活 性化のために貢献できればと考えています。

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