JARCLIVE7

JARC LIVE 25 共同出資したパートナーはレジャー産業を営んでいたことか ら、東日本大震災の影響を受け、自身の 事業が厳しくなり、櫻井社長が全額出資のオーナーとして切 り盛りすることを決意した。 しかし、それは簡単なことではなかった。おそらく卸問屋 との人間関係が希薄だったのか、前社長がいる限り、商 品は扱わないと突き放されたのだった。そこで櫻井社長は 現金を握りしめ借金を返済し、いちから人間関係を構築し ていった。外部に限らず、漬物のことをまったく知らない素 人と職人との関係も構築しなくてはならない。自社工場が なく協力工場 2 社で加工していたことから、なかなか同じ 味を貫徹することが難しかった。それは使用している調味 料がそれぞれの工場のこだわりがあり異なっていたからだっ た。さまざまな課題を乗り越え今年の 9 月よりM&Aにより 事業継承により手にした自社工場により新たな一歩が始まる 計画だ。 収穫量 25トンの白ゴマ使った国産七味唐辛子も 近清のこだわりを聞くと「国産・無添加」という一言が 即答された。添加物入りとは異なり日持ちがしない。まさに 鮮度が勝負の一品でもある。賞味期限期間のある商品のよ うにおみやげ物店で販売ができないことも稀少価値を生み 出している。 今では畑を持ち夏は万願寺唐辛子、冬は九条ネギを栽 培、収穫している。田んぼもあり収穫された減農薬米は幼 稚園などに卸している。食の安全は原料から。その思いか ら、無添加の七味唐辛子も調合している。七味の中に含ま れている白ゴマは喜界島で年間 25トンしか収穫できない貴 重なものを使用するなど、徹底した国産ブランドを作り上げ ている。同じく原料の一つ和歌山県の山椒は、200 軒あま りの農家で栽培しているものの山椒が生息する場所は山の 切りだったところにあるため、高齢化が進み、収穫すること が難しくなってきたという。こうした声が届くのも、経験を踏 まえ人間関係をきちんと構築した結果だとこの 10 年を振り 返る。 ホテルや料理とのコラボによるオーダー漬物 今は若者のシェフが腕を振るっている料理屋とのコラボ レーションや、ホテル用に若い世代にも受け入れられる甘め のパプリカなど、個々の店舗や施設に応じたオーダー漬物 にも積極的に取り組んでいる。そのほか、コロナウィルス感 染症により家庭で食事をする機会が増えたことから、健康 食の1つとして自分で野菜などを漬け込むぬか床の販売や 京野菜で作ったスープと生七味クッキーの提案など、国産・ 無添加をキーワードとした商品開発を行なっている。 「今後もモノにこだわり続け、それに見合った対価をいただ き、250 年をこえる時代を生き抜いてきた近清の漬物、まさ に日本人の食文化1つを守り続けてきたこと、そして経営者 は変わりながらもこれからも守り、生き続けていきます。」 今回のインタビューを通して櫻井社長の無添加・国産へ のこだわり、そして次世代へ継承させたいという熱い思いを ひしと感じるとともに、フルーツトマトの漬物を開発するなど 常に何かを作り出していく創作力があるからこそ、日本最古 の漬物業魂がカタチを少しずつ変えながらも生き続けている のだと感じた。 ㈱近清 京都市中京区堺町三条上ル 大阪材木町 699-101 TEL:075-257-7066 URL:https://www.kyo-tsukemono.jp/

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