JARCLIVE7

JARC LIVE 47 国内で最大の基地が沖縄となります。特に海兵隊は 別格で将校クラブでは1カ月におよぶパーティを行なうこと もあります。将校クラブは階級により80クラブほどあり、 それぞれに応じたパーティが行なわれます。位の高い将 校のパーティのときは男性はタキシード、女性にはバンケッ トコンパニオンスタイルで整え、国際的に通用するサービ スの最前線に立ちます。基地内にはホテルや米軍基地 に勤める将校の住まいもありますので、宴会サービスのほ か、スチュワードや将校の家で洗濯やアイロンがけをする など身の回りのお世話をする仕事などもあります。 ―しかし、サービス業はなかなか賃金が上がらず、 なかなか人材が集まらない状況です。 言われる通りであまりにも低賃金過ぎました。昭和 63 年当時は沖縄の最低時給 500 円ほどでしたので、業 務内容と報酬が見合わない状況でした。国際的な観光 立県を目指す沖縄でホテルは重要な存在であり、ホテル の運営を支えている人たちの生活を守らなければなりませ ん。そこで高校生に時給 1000 円以上とし、高校生以 外は時給 1100 円、1200 円を打ち出したのです。高 い賃金を得られることで働く意欲も上がります。また生活 も豊かになります。人を預かる仕事である以上、関わる 人の生活はどんな状況においても絶対に守らなければな らない。守れないのであればこの仕事をするべきではない と考えています。弊社も前年対比7割ダウンという状況で すが、いとも簡単に契約されている人材を解雇する選択 をすることは許されないことなのです。 ―素晴らしい決断です。そこまでして働く人を守るこ とにより、守られている側も安心して仕事に専念する ことができます。ところでなぜ、客室清掃まで手掛け られたのですか。 本来は得意としない業種でしたので避けたいところでし たが、戦後 70 年という中で、そのころ起業されたビルメ ンテナンス会社の事業継承の時期となり、5 年前、事 業継承として客室清掃業務への依頼があり、お引き受け したのがきっかけです。客室清掃業務はホテルブランド に欠かせない重要な仕事です。バスタブに水滴が残って いるだけでクレームになることもあります。また沖縄のホテ ルは季節により稼働率が変動します。また台風シーズン のときには、毎年平均して3 回ほど沖縄上陸で被害を受 けます。また台風のときは危険ですのでスタッフを前日か ら宿泊させるなど負担がかかります。自社で清掃スタッフ を抱えるたり、受託契約することは経営的なリスクも生じ ます。そのため客室清掃を行なうにあたり、変動に対応 できる派遣スタイルで行なっています。 ―ところで、派遣人材の育成はホテル側、または派 遣側のどちらが教育するのが理想的かと思われます か。 派遣業は本来、派遣する企業がある一定の教育を行 ない、契約施設に派遣するというルールがありますが、 率直に申し上げてホテル側が教育を行なうべきだと思いま す。客室は個々のホテルより広さもアメニティの数も、客 室の構造も異なります。一律の教育では個々のホテルが 求めている理想的な清掃を派遣後すぐに行なうことは難し いのです。宴会サービスもしかりです。テキストや簡単な シミュレーションで教育しても限界があります。すべては 現場であり、OJTを通して習得することが近道なのです。 このような考えの元、私自身は派遣スタッフの研修は ホテルがすべきであると思うのです。また最近はホテルで 清掃スタッフを囲い込むというケースもありますが、本当 に働くスタッフが満足する環境や報酬、人としての接遇 や感謝の念を持って対応しているかが問題です。稼働率 が良いときはいいのですが、今回のような不測の事態の ときに守ることができるのかというと疑問です。それよりも ある意味、効率的な運営をするためにも変動に柔軟な派 遣スタイルを選択される方が得策です。当社では客室清 掃においてはネパールやベトナムそして基地からアメリカ 人など6カ国、300 人ほどが派遣スタッフとして従事して おります。 ―まだまだホテルの勢いが伸びない中、契約されて いる人材を守るために新たな取り組みをされたとお聞 きしました。 人材派遣 4 社がスクラムを組み「人材サービス連絡 協議会」を設立しました。雇用環境維持に向けた活動 です。それぞれのノウハウを生かし、求職者につなぎの 仕事をあっせんするとともに、新型コロナ終息後には元 の仕事に復帰できるように支援するというものです。協議 会は当社のほか、人材派遣センターオキナワ、ホット沖縄、 りゅうせきフロントラインです。人材派遣センターが窓口と なり、求職者情報を共有します。派遣先は公的支援関 連の業務増えている市町村や、人手不足が続く食品製 造業などの企業を想定しています。とにかく大切な人材と いう財産を切れ目なく次の雇用につなげていくことで雇用 の維持を図り、生活を守り切ることが今、すべきことなの です。調子が良いときだけ門戸を広げ、調子が悪くなっ たら門戸を閉ざす、このようなことでは大切な人財を次世 代に受け継げません。人々の生活を守ること、その精神 は変わることなくウィズ・コロナ時代を生き抜いていきます。

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