安全で楽しい登山を目指して

71 第5章 危急時対策 ア 状況分析 (ア)現在地の安全確認 (イ)生存者を安全地帯に誘導 (ウ)情報の収集 ・生存者のケガ等の確認 ・パーティ構成,埋没者の確認 ・遭難点(雪崩に巻き込まれた地点),消失点(視 界から消えた地点)の確認 ・雪崩トランシーバー(ビーコン)装着の有無確 認 (エ)捜索時の役割決定 リーダーは捜索方針と人員の役割分担,持参必 要装備を指示 (オ)警察等への事故の通報 (カ)見張りをたてて,2次雪崩の発生等の安全を 確認 (キ)レスキューを開始 イ プライマリーサーチ (ア)雪崩遭遇者が視界から消えた地点(消失点) から下方に向かって探索する。 (イ)パトロール(目視による捜索を重点的に行う者) が雪崩の末端まで先行して下降。雪崩規模,未埋 没者,遺留品等を確認する。 (ウ)雪崩トランシーバー(ビーコン)捜索者が捜 索開始。この際,プローブ・シャベルも準備する。 (エ)目視で遺留品がないか確認しながら,雪崩トラ ンシーバー(ビーコン)の反応に気を配って捜索。 雪崩の規模に応じて捜索者が単独ならジグザグ に,複数なら直線的に移動する。 ウ セカンダリーサーチ (ア)雪崩トランシーバー(ビーコン)に反応がしっ かり現れた地点からの捜索。 (イ)雪崩トランシーバー(ビーコン)反応時には, リーダーに反応があったことを明確に伝える。 (ウ)電波に誘導されながら(電波誘導法),雪崩ト ランシーバー(ビーコン)の表示を頼りに,想定 される埋没エリアを絞り込む。 エ ファイナルサーチ (ア)埋没想定エリアを絞り込み,雪崩トランシー バー(ビーコン)を雪面に近づけてクロスに動か して(クロス法),埋没者の位置を特定する(図 3)。 埋没深が 1m 以内と浅い場合等では,クロスしな い方法が速いとも言われている。 (イ)プローブを使っての捜索へ移行。 埋没が浅いときはピンポイントに特定できるが 深いときは難しい。このため,雪崩トランシーバー (ビーコン)捜索からプローブを使った捜索へ速 やかに移行する。 オ 埋没者の掘り出しと応急手当 (ア)プローブで埋没者を特定する。 (イ)ヒットしたプローブは抜かないで,埋没深を 割り出す。 (ウ)シャベルを使って,V字コンベアメソッド等 の方法で組織的効率的に掘り出す(図 4)。 (エ)掘り出しでは,呼吸空間を確保することを優 図3 フィナルサーチにおけるクロス法での 雪崩トランシーバー(ビーコン)表示 図4 組織的な掘り出し方法(V字コンベアメソッド) (『雪崩教本』より引用) (『雪崩教本』より引用)

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