安全で楽しい登山を目指して

65 第5章 危急時対策 1.常に 500mℓの余裕をもって携行する。 2.山中での水場を事前に調査し,確実性で判断する。 3.水の危険性を理解し,摂取すべきでない水,処理すべき水を知る。 4.取水時は滑落に注意する。 (5)水の重要性 ア 水の利用目的 ・水の利用目的 ・飲み水 ・調理 ・手指の洗浄 ・体にかけて体温を下げる ・傷の洗浄 水は,常に持ち歩いていないと,いざという時に間 に合わない。 最低,500mℓの余裕が必要。 イ 山での水の確保は,確実性で判断する (ア)水の入手場所 ・キャンプ場 ・山小屋 ・飲み水に使用できる湧水 ・沢水 ・沼のたまり水 ・雪渓の雪解け水 ・雪渓の雪 ・雪 これらは,毎年,天候や季節によって状況が変わ る。特に雪渓は確実性が低いので,確実な場所で水 を確保しておかなければならない。事前の調査が大 切。 (イ)水の安全性 キャンプ場,山小屋,飲み水に使用できる湧水等 で,検査して飲料として問題のないことが確かなも のは,そのまま使用できるが,他のものは加熱処理 してから使用する。または浄水器を使用する。 ウ 水の危険性 (ア)寄生虫や細菌類等 沢水や沼の溜まり水,雪渓の雪解け水には,寄生 虫や細菌類等による感染のおそれがある。北海道, 東北では,エキノコックス症が有名である。 生水を飲まない方が良い。 浄水器の使用,加熱処理をする。 (イ)有害物質など 火山の雪渓や沢水には火山性ガスの成分等が溶け 込んでいる場合があるので注意すること。 エ 取水時の滑落 水を採るために沢を下るのはリスクが高い。沢筋は 滑りやすいので慎重に行動すること。 ワンポイントアドバイス 水の消毒で一番良いのは,煮沸である。細菌, ウィルス,原虫,線虫など,ほとんどの微生物に 有効だ。標高が 3,000m になると,沸騰する温度 は90℃と下がるが,標高ごとに煮沸時間を変え る必要はない,というのが最近の報告である。お 湯を1分間沸騰させると,ほとんどの微生物は煮 沸処理されるが,安全を期すために,1分間沸騰 させた後,火を消して蓋をして数分放置しよう。 山では,燃料も貴重なので,このようにして節約 すると良い。 3. 水の危険性を理解し、摂取すべきでない水、処理すべき水を知る 4. 取水時は滑落に注意する 1. 水の利用目的 - 飲み水 - 調理 - 手指の洗浄 - 体にかけて体温を下げる - 傷の洗浄 水は、常に持ち歩いていないと、いざという時に間 に合わない。 最低、500ccの余裕が必要。 ⒉.山での水の確保は、確実性で判断する (1)水の入手場所 - キャンプ場 - 山小屋 - 飲み水に使用できる湧水 - 沢水 - 沼のたまり水 - 雪渓の雪解け水 - 雪渓の雪 - 雪 これらは、毎年、天候や季節によって状況が変わ る。特に雪渓は確実性が低いので、確実な場所で水 を確保しておかなければならない。事前の調査が大 切。 (2)水の安全性 キャンプ場、山小屋、飲み水に使用できる湧水等 で、検査して飲料として問題のないことが確かなも のは、そのまま使用できるが、他のものは加熱処理 してから使用する。または浄水器を使用する。 3.水の危険性 (1)寄生虫や細菌類等 沢水や沼の溜まり水、雪渓の雪解け水には、 寄生虫や細菌類等による感染のおそれがある。北海 道、東北では、エキノコックス症 が有名である。 生水を飲まない方が良い。 浄水器の使用、加熱処理をする。 (2)有害物質など 火山の雪渓や沢水には火山性ガスの成分等 が溶け込んでいる場合があるので注意する こと。 4.取水時の滑落 水を採るために沢を下るのはリスクが高い。沢筋は 滑りやすいので慎重に行動すること。 [ワンポイントアドバイス] 水の消毒で一番良いのは、煮沸です。細菌、ウィル ス、原虫、線虫など、ほとんどの微生物に有効で す。標高が3000mになると、沸騰する温度は90℃ と下がりますが、標高ごとに煮沸時間を変える必要 はない、というのが最近の報告です。お湯を1分間 沸騰させると、ほとんどの微生物は煮沸処理されま す。が、安全を期すために、1分間沸騰させた後、 火を消して蓋をして数分放置しましょう。山では、 燃料も貴重ですので、このようにして節約すると良 いでしょう。 1分間沸騰 → 火を止め蓋をして数分 1分間沸騰 → 火を止め蓋をして数分 (大城和恵)

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