安全で楽しい登山を目指して

60 第3編 登山の技術と知識を身に付けよう 【演習問題 4 の解答図】 d a e c b 2)読み取り事例 低山では尾根・谷が複雑に発達し地形的に難しく, 作業道のような地図にない道が複雑に交錯しているた め,ナヴィゲーションが難しくなる。迷い易い低山で はどのような点に注意してナヴィゲーションすればよ いだろうか。図11に示したのは里山のハイキング道 である。破線に沿って道はあるものの,里山特有の作 業道や地図にないその他の道があったり,道が分かり にくくなっている場所もあるだろう。このことを前提 とする時,行程の把握(距離,累積標高),ルート概要, 道間違いのリスク,ルート維持の方法,チェックポイ ント,を地図のルートから考えてみよう。 図11 演習課題のルート地形図 △がスタート◎がゴール 【演習問題 3(プランによるリスクの把握)の解答例(図 12)】 行程は距離約2.2㎞,累積標高は等高線を概ね12 本横切っているので,約 120m である。 ルートの概要を見ると,比較的高低差のないはっき りした尾根だが,ところどころ尾根線がはっきりして いない場所(例えばa,d,f,h)がある。従って これらの場所では道が明瞭でなかったり分岐であれ ば,道間違いに注意する必要がある。 尾根は概ね北向き(cまで),北西向き(cからe 付近まで),再び北向き(西又峠まで)と方向を変える。 この尾根の方向変化は,自分が歩いているだいたいの 場所を把握するよい特徴になる。地図記号を見る限り 危険な場所は見当たらない。もし逆向きならeからの 下りがかなりの急坂であり,転倒に注意すべきだろう。 a直後のルートの右側は相当急な斜面である。がけの 記号はないが,もし崩壊していれば滑落の危険も予想 される。 【演習問題 5(現在地把握),演習問題 6(ルート維持 のための情報)の解答例】 ルート維持としてはcまでは「北向きの尾根線」で 正しいルートに進んでいることが把握できる。途中a では尾根筋が曖昧になっているので,意識的に方向を 確かめることが必要だろう。道が分かりにくければ, コンパス直進でルートの維持が必要かもしれない。 aとcの中間くらいでルートは尾根線から巻き道に 入る。地形との関係を確認しながら進む。cは東西に 延びる尾根の鞍部である。このような場所は周囲には cだけなのでよいチェックポイントとなる。 dで道が分かりにくければ,地形に頼ることができ ないので,「北西方向」に進むというルート維持が必 要になる。eそのものは山頂が分かりにくいかもしれ ないが,e手前に北西向きの急斜面ははっきり分かる だろう。その斜面を登り切ることを確認することでe がチェックポイントとなる。斜面を登り切るまでは「上 に登る」というルート維持も可能である。 fは作業道など地図にない道がついていると,gや iの方に進路を間違える可能性がある。特に手前の北 向きの尾根に入らないように注意する。eの後,尾根 の方向変化(北向きから西向き)や距離感を意識し, 北に方向を変えるf地点(鞍部)を確実に把握したい。 またその後も標高差20mほど下った後は,hまでほ ぼ平な北向きの尾根であることから,急傾斜が続くi に進んだ訳ではないことが確認できる。また急な登り が出てきたら,それはgの手前の斜面ということにな るので,fを見落としていたと気付くことができる。 またh(とその次の尾根分岐)も尾根の傾斜がほと

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