安全で楽しい登山を目指して

53 第4章 読図とナヴィゲーション たい(地理院地図(http://maps.gsi.go.jp/)。 (3)地図の約束事 地図から正しく情報を読み取るには,以下のような 地図の約束事を理解する必要がある。 ア 縮尺 地図上の長さが実際に対してどの程度かを表す比の 数字。縮尺によって,行程の距離を把握したり,描か れた地形や山の大きさを知ることができる。地図上の 1㎝が実際にどれくらいの長さか,あるいは1㎞が 地図上で何㎝に相当するかを頭に入れておくことが 実用的である。 縮尺に関して忘れてならないことは,縮尺が小さく なれば,地図上での省略が増える点である。 イ 磁北と真北 コンパスが指す北と,地図の真北は少し違う。これ が磁北であり,両者の角度の差を偏角と呼ぶ。各地の 詳細な偏角は,「地理院地図」ウェブで確認できる。 正確さが要求されるナヴィゲーションでは,地図に 予め磁北の方向を記しておく。これを磁北線と呼ぶ。 引き方については参考図書を参照のこと。 ウ 等高線間隔 隣り合う等高線の標高差を等高線間隔と呼ぶ。1: 25,000 地形図では等高線間隔は 10m である。太い茶 色線である計曲線は主曲線5本ごとに引かれており, その等高線間隔は50mとなる。等高線間隔と等高線 の数によって標高差を読み取ることができる。 (4)ナヴィゲーションに役立つ特徴物とその記号 地図記号を憶える際,「■=独立建物(小)」と言い 換えられるだけでは不十分である。現実のナヴィゲー ションの中では,実物を見て,それがどの記号によっ て表されるかが分かること,加えて,その記号がナヴィ ゲーションにどう役立つかを理解することが重要であ る。国土地理院のサイトに記号の一覧と詳しい解説が 写真とともに掲載されている。 (http://www.gsi.go.jp/KIDS/map-sign-tizukigouh14kigou-itiran.htm) 【演習問題1】 図2に記号とその名称を示したが,それらの記号は, ①現在地の把握,②ルートの維持,③場所の様子をイ メージする,④あまり役に立たない,のどれに該当す るかを分類し,他の人と議論してみよう。また,①に 分類されたものを役立つ順に並べてみよう。 図2 登山で使われる地図記号とその名称 a: 徒歩道(幅員 1.5m 未満の道路),b: 幅員 3m 未満の道路(軽車 道とトンネル),c: 一車線の道路(幅員 3.0m-5.5m 未満の道路),d: 索道(リフト等),e: 送電線,f: 特定地区界,g: 高塔,h: 電波塔,i: 建物(オレンジ色は新図式),j: せき,k: 三角点,l: 河川,m: 湖・ 池等,n: 土がけ,o: 岩がけ,p: 雨裂,q: 砂れき地,r: 岩,s: ハイ マツ地,t: あれ地,u: 茶畑,v: 広葉樹林,w: 針葉樹林 【演習問題1 解答例】 以下に代表的な回答例を示した。正解は地域やルー トの特徴によっても異なる。演習の振り返りに当たっ ては,正解・不正解にとらわれずに,なぜそう判断で きるのかを異なる意見を踏まえてしっかりと考えるこ とが,地図理解を促進するとともに,主体的で対話的 な深い学びにつながるアクティブラーニングとなる。 ア 現在地把握 これらの記号は山の中では数が限られていると同時 に目立つので,ナヴィゲーション,特に現在地の把握 の役に立つ。ただし,せきや耕作地は現状と地図が変 わっていることも多いので,注意が必要。 送電線,建物,高塔・電波塔,索道(リフト等), せき,茶畑(耕作地),湖・池等 イ ルート維持に使える いずれも道の記号でルート維持に使えるが,徒歩道 は描かれているが実際には存在しない場合があること や,逆にあるのに記号が描かれていないこと,変化す

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