安全で楽しい登山を目指して

45 第2章 生活技術 エ 竹ペグにひもを付けて雪に埋め踏み込む。5~10 ㎝も埋め込めば十分である。あまり深く埋めると 掘り出すときに大変である。 2 テント生活 テント生活はとても楽しい。仲間と車座になって食 事を作り語らう。一日の疲れをいやし,翌日の登山行 動のエネルギーを養うには快適なテント生活が欠かせ ない。 ここではテント生活についてふれよう。 (1)まず整理整頓 テントに入ったらまずザックの中身を出し整理整頓 をする。4人だったらテントの四隅に各人の小物を置 く。ザックは空にして下に敷くかテントの隅に寄せる。 狭いテントのなかで快適に過ごす第一歩は「整理整頓」 である。 炊事をするスペースをつくる。夏場で天気がよいと きは外で炊事をするのもよいだろう。寒いときはテン ト内の中央にコンロを据えて炊事をする。鍋は不安定 なので,必ず誰かが鍋を押さえるようにする必要があ る。お菓子の缶のふたなどをコンロの下に敷きふきこ ぼれ用にするとよい。 (2)積雪期のテント生活 積雪期のテント生活は無雪期とは多少異なる。いく つか紹介しよう。 ア まずテントに入るときに登山靴やスパッツについ た雪をよく落としてから靴を履いたままテント内に 入る。たわしがあると便利。テントに入ったら靴を 脱ぎテントの隅に置く。テントシューズがあると足 が暖かくて快適。 イ 雪山では水は雪を溶かして作る。テントを設営し たら,きれいな雪をシャベルですくって大きめのビ ニール袋に入れてフライシートの下にでも置いてお く。大きめの鍋に雪を詰めてガスバーナーで雪を溶 かす。その際,「種水」を入れると雪が溶けやすい。 雪を溶かしているとき鍋の外側が結露してくるの でときどき雑巾で拭くとよい。 水ができてきたらペットボトルなどに入れる。小 さな漏斗があると便利。 (3)炊事 登山は長時間荷物を背負って歩く体力のいるスポー ツである。運動するためにはエネルギーをたくさんと らなければならない。エネルギー切れになると,いわ ゆる 「シャリバテ」 になってしまいふらふらになって しまう。 また食事は山での生活の大きな楽しみでもある。 しっかりとした食事をとるよう心がけたい。 1泊の山行なら生の肉を冷凍して凍らせたペットボ トルなどと一緒に保冷バックに入れておけば夏でもな んとかもつ。まして雪山では天然の冷蔵庫がある。食 材は豊富に持っていけるだろう。 登山行動中には多量の汗をかくので水分と一緒に体 内の塩分が出てしまい熱中症になる可能性が高い。前 夜や朝食の食事によって塩分を体内にためこんでいる と熱中症になりにくい。積極的にみそ汁やスープを飲 んでほしい。汗をかいてからスポーツドリンクを飲ん で体内の塩分を補おうとしてもなかなか難しい。 (谷口浩平)

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