安全で楽しい登山を目指して

44 第3編 登山の技術と知識を身に付けよう 山岳部の楽しさの一つは,仲間と共にするテント生活である。安全に楽しくテント生活を送る技術を身に 付けよう。 1 テントの設営 テントを張って泊まることを幕営という。無雪期と 積雪期の幕営方法は異なる。 (1)無雪期の幕営 適 地:キャンプ場などの整備されているところ 上部からの落石等の危険性がなく安定して いるところ 水場が近くにあるところ 不適地:大雨で増水したときに逃げられない川のす ぐそばや中洲,風の当たる稜線 設営の手順 ア 石などを取り除いて整地する。 イ グランドシートを敷く。 ウ テント本体をその上に広げポールを組みたてる。 ポールを直接地面に置くとジョイント部分に砂や小 石が入って破損の原因となるので注意。 エ テントの袋などが風で飛ばされないように注意す る。 オ テントを立ち上げる前に何カ所かペグや石などで 地面に固定する。稜線での強風下でテントを設営す るときは本体の中に一人座って重しにすることもあ る。 カ フライシートをかける。このときテント本体とフ ライシートを結合する。 キ テントマットを中に敷きザックを収納する。 ク フライシートを地面に固定する。 ○ ペグを打ち込む角度 ペグは地面に対して約 45°で打ち込み,頭を1㎝く らい残し張り綱をかけて固定する。 (2)積雪期の幕営 適 地:平らで雪崩のおそれのないところ 樹林の中などで風のあたらないところ 不適地:風のあたる稜線。急峻で雪崩のおそれのあ るところ 設営の手順 ア テントを張れそうな場所を見つけたらザックを1 カ所にまとめ,アイゼンなどを外しこれも1カ所に まとめておく。その後,全員で整地をする。シャベ ルで積もった雪を切り崩し,雪を踏み固めできるだ け平らにする。 冬はテント内で炊事をするのでガスバーナーを置 くテントの中心部分のあたりの雪を少し高く盛って おくとよい。 イ テントの立ち上げは無雪期と同様。 ウ 張り綱でのテントの固定については竹ペグを使 う。剣道部のある学校ならば不要になった竹刀を 25㎝程度に切って使うとよい。 第2章 生活技術

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