安全で楽しい登山を目指して

189 資料3 8 他方、それ以外の専門委員についても、少なくとも登山専門部の意思決定を行 う権限を有していたものと考えられ、本件講習会の計画実行等に関する意思決定 を行う権限とそれに伴う責任を有していたと考えられる。 ウ 講習会役員 本件講習会の役員は、登山専門部の責任者と同様、本件講習会の計画、実行、 総括等の権限と責任を有し、講習会の実施に当たり、事故を起こさないよう安全 に配慮する措置を講ずるべきであった。 エ 講習会の講師 担当した範囲における指導者、監督者の権限とそれに伴う責任を有していたも のと考えられる。講師の指導者としての責任という観点から本件講習会の実施状 況を見ると、講師による生徒に対する事前指示・注意と安全配慮の措置との関係 が特に問題となる。いまだ心身共に成長途上にある高校生を対象とする講習会に おいて、雪上を進む訓練を行う場合には、不慮の事故を避けるため、生徒に対し 事前に適切な指示、注意を与えることが必要である。 オ 講習会の引率教員 引率教員は生徒の安全確保について一定の責任を負うものと考えられる。そし て、登山という行為自体が内包する危険性を前提とすれば、本件講習会における 引率教員は、生徒を実際に引率している以上、常時生徒を指導監督する権限とそ れに伴う責任を有し、自校の生徒の安全を確保する措置を講ずべきであったもの と考えられる。 カ 講習会への参加を許可した学校の運営責任者 高校の運営全般を総括掌理する立場にある校長の職務上、校長には部活動とし ての講習会の実施内容について把握した上、講習会実施上の指導監督について、 参加する教員に対して適切な指導・助言を与え、講習会に参加する生徒の生命身 体の安全を図るべき配慮義務がある。 キ 県教育委員会 県教育委員会が、本件講習会の運営の在り方や実施等について全く関与せず、 本件講習会の主催者である高体連や教育活動の一環(部活動)として関わりを有 する学校に対し、これまで適切な指導・助言等を与える機会もなかったことにつ いて、県教育委員会の運営が果たして適切であったかどうかが厳しく問われなけ ればならない。 県教育委員会としては、本件雪崩事故の重大性に鑑み、二度とこのような事故

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