安全で楽しい登山を目指して

188 参考資料 7 (1) 学校登山事故と安全配慮に関わる検討の視座 学校の教育活動に伴う安全配慮義務の点については、これを教師の個人義務に矮 わい 小化させずに教育的安全配慮義務と見るべきであるとの視座から、教育理念上、当 該学校の教育活動に関わる学校設置者、教育委員会、校長、全教職員によって構成 される学校組織体としての組織義務として捉える。 (2) 関係当事者の取るべき安全配慮への措置 ここでは、組織管理の主体としての当事者と講習会の実技等を実施した教員個人 という当事者の両者について、どのような安全配慮への措置を取るべきであったか という問題について検討する。 教育活動に伴う安全配慮の措置を検討するに当たっては、教育活動に関わる組織 体の実相に目配りをすることが重要となる。関係する組織の運営等がマンネリズム に陥ってきちんと機能していない場合には、実際の活動の節目節目の場面において 弛緩した手続や淡白な営みを生み、それがひいては個人的なヒューマンエラーにつ ながっていると考えられる。つまり、本件講習会での組織体制の不十分な営みが、 ①計画変更に係る打合せ・決定の場面、②計画変更の内容を講習会参加者に説明す る場面、③各班の行動、とりわけ1班の行動の場面、④講習会本部の取るべき措置 の場面においてそれぞれ顕在化しており、③の1班の行動及び④の講習会本部の取 るべき措置の場面に現れた現象の本質を探るためには、より根源的な要因として組 織体制の不十分な営みを検証する必要がある。 ア 主催者、主管者の安全配慮への措置 高体連と登山専門部は、本件講習会の主催者、主管者として、その計画、実 行、総括等について権限と責任を有し、講習会の実施に当たり事故を起こさぬよ う、講習会の目的設定と計画立案、安全情報の収集・蓄積及び提供、指導体制や 危機対策などについて、安全に配慮する措置を講ずるべきであった。 イ 高体連、登山専門部の役員 高体連登山専門部が、本件講習会の計画、実行、総括等の講習会の実施に当た り事故を起こさないよう安全に配慮する措置を講ずるべきであったが、同組織の 意思決定、業務執行等を行う実際の責任者は専門委員長であったと考えられる。 4 学校登山事故と安全配慮への措置の在り方

RkJQdWJsaXNoZXIy NDU4ODgz