安全で楽しい登山を目指して

186 参考資料 5 Ⅲ 論点に基づいた分析等 ・ スポーツ庁は通知で、高校生の冬山登山を原則禁止としているが、冬山については 明確に定義されないまま、栃木県に限らず、安全に十分配慮した上での基礎的な登山 技術の訓練や雪山での体験の場として、本件講習会のような講習会や研修会がこれま でも行われてきている。 ・ 冬山とは季節のうえでは、12月から2月と考えられるが、この時期以外でも、寒冷 で、雪崩の可能性があり、滑落の危険性が高い山の状態は「冬山状態」であり、本件 講習会を「春山」の「講習会」として実施したことが、講師や引率教員の中で、当日 の山の状況が冬山状態であり、事実上登山を含む活動であるということを直視する目 を鈍らせ、事故の遠因の一つとなったとも考えられる。 ・ 登山に関する講習会等では、参加する人たちの技能に応じて妥当な獲得目標を設定 する必要があり、獲得目標を達成するため、講習会等の内容、行動範囲及び時間につ いて主催者と参加者の間で十分に共有することが重要である。 ・ パーティーのリーダーには、気象やメンバーの体調を常に把握し、登山を無事に終 了させることが任務であり、安全な登山に関する知識、判断力及び実行力が求められ る。 ・ パーティーを支える留守本部は、登山における安全管理の要であり気象などの情報 を把握しながらリーダーにその情報を伝達し、必要に応じて行動を制御するなどの対 応が必要である。 ・ かつては顧問同士が講習会や大会を通じて相互に技術を高めてきたが、教員の多忙 化や生徒の減少に伴い、登山部顧問のなり手が減り、顧問の経験が継承されない事態 が生じている。 ・ 顧問の力量を維持していくためには、国立登山研修所等における研修のほか、外部 指導者の活用や顧問が生徒を指導するに当たっての指針等の整備も必要である。 ・ 登山では、天候の判断を誤ると、悪天候下の行動で心身ともに消耗し遭難すること もあるため、リーダーを含めた参加者が気象状況とその変化を的確に判断できること が重要。 1 登山部活動及び講習会等の安全管理体制の整備と指導者の資質向上 2 登山等における気象遭難事故防止のための危機管理(リスクマネジメント)

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