安全で楽しい登山を目指して

17 第2章 山岳部の指導者に知ってもらいたいこと (3)山岳関係団体等 高校山岳部顧問等の関係者を対象とする研修会の開 催(開催支援含む),登山部の指導者向け指導テキス トや高校生等登山初心者向け参考資料の作成・公開へ の協力支援,教育委員会,学校等の要請に基づく,登 山計画審査会への参画,有識者や指導者等の派遣協力 支援,登山者に対する安全登山に係る普及啓発活動, 登山指導者の育成の推進を図る。 (4)当事者が安全確保に果たすべき役割と連携等 ア 主催者,主管者 各学校の山岳部の指導者,高体連(登山専門部)の 主催者,主管者は,登山や講習会の計画,実行,総括 等について権限と責任を有し,講習会の実施に当たり 事故を起こさぬよう,講習会の目的設定と計画立案, 安全情報の収集・蓄積及び提供,指導体制や危機対策 などについて,安全に配慮する措置を講ずる必要があ る。 イ 高体連(登山専門部)の役員 高体連(登山専門部)が,登山や講習会の計画,実行, 総括等の講習会の実施に当たり事故を起こさないよう 安全に配慮する措置を講ずるべきであるが,同組織の 意思決定,業務執行等を行う実際の責任者は専門委員 長にある。他方,それ以外の専門委員についても,少 なくとも登山専門部の意思決定を行う権限を有し,計 画実行等に関する意思決定に積極的に役割を果たす必 要があるものと考えられる。 ウ 講習会等の役員 講習会等の役員は,登山専門部の責任者と同様,講 習会の計画,実行,総括等の権限と責任を有し,講習 会の実施に当たり,事故を起こさないよう安全に配慮 する措置を講ずるべきである。 エ 講習会等の講師や指導者 担当した指導内容やグループ等の範囲における指 導,監督の権限とそれに伴う責任を有するものと考え られる。具体的には,他の講師や引率者と連携し,生 徒に対する事前指示及び実施中の注意と安全確保のた めの迅速かつ毅然とした措置を講じる必要がある。い まだ心身共に成長途上にあり,体力や技術等の個人差 も大きい高校生を対象とする登山や講習会等において は,状況に応じて適切に判断し,不慮の事故を避ける ため,生徒に対し事前及び活動中に適切な指示,注意 を与えることが必要である。 オ 講習会等の引率教員 引率教員は生徒の安全確保について一定の責任を負 うものと考えられる。登山には常に多様な危険(リス ク)があることから,引率教員は,常に生徒の異常や 環境の危険に注意を払い,講師・指導者及び生徒との コミュニケーションを密に行い,講師・指導者と連携 して生徒を直接指導監督し,生徒の安全を確保する措 置を講ずるべきである。 カ 登山や講習会への参加を許可した学校の管理職 学校の運営全般を総括掌理する立場にある校長は, 部活動としての登山や講習会の実施内容や参加者,緊 急時の連絡方法等について把握した上,実施上の留意 点等について,指導又は引率する教員に対して適切な 指導・助言を与え,講習会に参加する生徒の生命や身 体の安全を図るよう配慮すべきである。 図1 各都道府県登山・講習会実施における主な関係者の連携イメージ(戸田作図2018.6) 設置・運営 事故防止の啓発・通知・指導等 事故防止の啓発・通知・指導等 研修会の開催、助言、資料提供・講師派遣等 積極的な参画 登山計画書提出 事故防止の啓発・情報提供等 協力依頼 推薦・派遣等の協力 協力して実施 <各高等学校等> 任命または、確認・承認 説明 説明 助言・支援 説明 協力して実施 企画立案(実施・評価・改善) 教育委員会 各都道府県高体 連(登山専門部} 山岳関係団体等 全国高体連 学校の管理職 引率教員等 講師や指導者 国立登山研修所 部活動指導員 外部指導者 登山・講習会の実施 日常の山岳部活動 登山計画審査会 山岳部顧問等 山岳部生徒 保護者 国 スポーツ庁等 図1 各都道府県登山・講習会実施における主な関係者の連携イメージ (戸田作図2018.6)

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