安全で楽しい登山を目指して

18 第1編 山岳部の指導者になろう (1)校長及び保護者への事前の説明 登山や講習会等の計画を作成する山岳部指導者(顧 問等)又は各都道府県高体連関係者は,事務的な参加 手続きを行なうだけでなく,適切な獲得目標を設定し, 必ず事前に可能性のある行動範囲と行動内容,荒天時の 変更案などを盛り込んだ登山計画等を示し,参加する高 校等の校長の了解,保護者の了解及び書面等による同意 を得,不安や懸念を払拭するよう努める必要がある。 ▶指導のポイント ア 目標と計画の概要 目標及び日程や時間の予定,内容・行動の概要 イ 危機管理体制 事故発生時の対応の仕方や緊急の場合の学校, 保護者への連絡方法,緊急連絡先の携行,緊急時 の対応,通信手段,関係機関との協力体制の構築 状況等 ウ 必要な装備品等(個人及び共同の装備品,食糧, 通信機器等)の準備と使用方法等の習熟 ヱ 参加生徒の所属・氏名と人数,グループ等の確 認,活動の範囲と目標の明確化 オ 気象状況等の情報収集方法,気象条件の変化等 による計画の変更(予定)内容の確認 カ 指導者(顧問等)・引率者や本部の組織体制(意 思決定含む),活動中の指導者(顧問等)・引率者 間や本部とのコミュニケーション方法,外部専門 家等との協力 キ 活動中に生じる恐れのある具体的な危険(リス ク)の内容と対処方針 ク 必要経費,交通その他必要なこと (2)生徒への事前指導 宿泊を伴う登山等を実施する場合は,生徒への事前 指導,日頃の部活動での計画的な指導及びコミュニ ケーションの重視と情報の共有が不可欠である。 ア 登山実施時の事前指導 各学校において,山岳部等の指導者(顧問等)は, 保護者への説明と同様に,生徒に対して,登山計画の 内容,それぞれの役割分担,留意すべき点,持ち物の 準備等について確認するとともに,当該登山実施時に 予想される危険(リスク)や対策等についても事前に 指導しておく必要がある。 登山や講習会等を実施する場合は,その計画を作成する山岳部顧問教員又は各都道府県高体連関係者は, 事務的な参加手続きを行うだけでなく,適切な目標を設定し,必ず事前に可能性のある行動範囲と行動内容, 危険(リスク)の内容と対処の仕方,荒天時の変更案などを盛り込んだ登山計画等を示し,参加する高校等 の校長及び保護者の了解や同意を得るとともに,生徒への事前指導等を行う必要がある。 イ 日頃の部活動での計画的な指導 併せて,日頃の部活動の中で,参加する高校生等に は,3泊4日程度の夏山テント泊縦走ができる体力, 登山に必要な基礎的な知識,技術等に加えて,登山等 で予想される多様な危険(リスク)の内容と対処の方 法,例えば,登山で道に迷わないような山岳ナヴィゲー ションスキル,ロープワーク技術やセルフレスキュ-, 状況判断(危険予測)と危険回避,緊急時の連絡方法 など安全確保の方法等について,計画的に指導してお くことが望まれる。 そのためには,屋内や近隣の身近な範囲での山行や フィールドワークなどを通して基礎的な学びや経験を 積み重ねることが必要である。 なお,例外的に,冬山登山等を実施する場合には, それに応じた木目の細かい指導が必要であることは, 言うまでもない。 ウ コミュニケーションの重視と情報の共有 高校生は,登山経験や技術・体力の個人差も大きく, 疲労の蓄積による体調不良などが発生したり,生徒が 他者の異変や危険の兆候を発見したりすることなども あるため,指導者(顧問等)が適切な判断を行い,リー ダーシップを発揮するためには,指導者(顧問等)と 生徒,生徒間のコミュニケーションを重視し,情報を 共有することにも留意する。 特に,体力や技術の不十分な者や登山経験の少ない 1年生等には,事前,活動中及び活動終了後に,健康 観察を徹底し,休息,活動の停止等を含んだ適切な措 置を行う必要がある。 (3)事故発生時の学校,保護者等への連絡と説明 事前説明等で共通理解した役割・方法で,速やかに 各学校等の関係者及び保護者等に連絡し,逐次記録し ながら説明し,報道機関等へも適宜情報提供を行う。 参考文献 ・学校評価ガイドライン(平成 28 年改訂)平成 28 年 3月22日 文部科学省(平成29年度 スポーツ庁 委託事業) ・学校における体育活動での事故防止対策推進事業成 果報告書 平成30年3月16日 独立行政法人日本 スポーツ振興センター 6 校長及び保護者の了解,生徒への事前指導

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