安全で楽しい登山を目指して

16 第1編 山岳部の指導者になろう (1)教育委員会(私立学校等の設置者を含む。以下, 同じ) ア 関連通知の周知徹底 教育委員会は,常に,管轄する高体連等及び学校の 施設設備,教育活動,児童生徒や教職員の安全確保に ついて配慮する必要がある。 例えば,登山や部活動の実施等に関連する通知の周 知など必要な情報提供や登山計画審査会(仮称。以下, 「登山計画審査会」という。)の設置・運用などを通し て適切にチェックし,改善措置が行われるよう支援・ 指導する。 特に,平成29年那須雪崩事故を契機として,改め て発出された以下の通知の趣旨及び内容は,毎年度確 実に,各高等学校並びに関係者に周知・確認する必要 がある。 <「冬山登山の事故防止について(通知)」> (平成 29 年 12 月 1 日)スポーツ庁次長 <抄> 1.高校生等の冬山登山の原則禁止 高校生等については,総合的な登山経験が不足し ているだけでなく,厳しい環境での登山における技 術,体力,リスクマネジメント能力等が不十分であ るため,冬山における安全を確保することは極めて 難しいので,原則として冬山登山は行わないこと。 冬山登山とは,主に積雪期における登山とするが, 時期に関わらず,気温の変化や降雪・積雪等の気象 条件による凍結,吹雪,雪崩等に伴う転滑落,埋没, 凍傷,低体温症などにより,遭難事故等が発生する 可能性のある環境下で行う活動のことをいう。 2.高校生等が例外的に冬山登山を実施する場合の 条件及び留意点等 【実施するために必要な条件等】 (1)適切かつ安全な場所での基礎的な内容にとどめ ること (2)指導者の条件を整えること (3)登山計画審査会(仮称)の事前審査を受けること (4)校長及び保護者の了解を得ること (5)生徒への事前指導等を実施すること 登山や講習会等は,各学校の指導者(顧問等)や主催する組織の長がリーダーシップを発揮し,関係者全 てが役割を分担し,協働して,準備,計画,運営(実施),報告や事後措置及び危機管理体制等を整える必要 がある。その際,目標達成を目指すため,高等学校体育連盟や教育委員会,山岳関係団体等が行う情報提供 や研修会,登山計画審査会などに参画するなど密接な連携を図りながら,安全確保に必要な措置を講じなけ ればならない。 イ 登山計画審査会の設置及び運営 各都道府県教育委員会は,各都道府県私立学校主管 部局及び各都道府県高体連(登山専門部),山岳関係 団体等と連携して,地元の登山の専門家など外部有識 者を含めた登山計画審査会を設け,高等学校等または 各都道府県高体連等が実施する登山計画を総合的に審 査し,必要に応じて改善を指示することで,安全確保 を図る。 したがって,登山及び講習会等を実施する高等学校 等又は各都道府県高体連等は,事前に登山計画(活動 目的,活動場所・山域・ルート,活動内容,参加生徒 等の活動経験,引率者・指導者の体制と資質,装備内 容,荒天時の対策,緊急時の対策等)を作成し,登山 計画審査会(仮称))の審査を受けるものとする。 ウ 研修会の開催及び派遣の強化等 また,教育委員会は,研修会等の開催や派遣など指 導者の資質向上を目指した支援の強化を図るととも に,登山や行事等の主催者である各学校,高体連に対 し,事故防止に向けて適切な行政指導を継続して行っ ていく必要がある。 エ 資料作成や関係資料等の活用 (独)日本スポーツ振興センター(国立登山研修所) 等で作製した高校登山部顧問等の関係者対象の指導者 向け指導テキスト,全国高体連登山専門部及び山岳関 係団体等関係機関の資料や情報の活用を推進する。 (2)国,全国高体連・各都道府県高体連(登山専門部) 高校生等の冬山登山を実施する場合においては,ス ポーツ庁,国立登山研修所,全国高体連登山専門部及 び山岳関係団体等の関係機関が連携・協力して,前記 のスポーツ庁の通知等の「実施上の留意点等」の趣旨 の周知徹底並びに定期的な実施状況の把握及び課題に 対する対策,高校山岳部顧問等の関係者を対象とする 研修会の開催(開催支援含む)に努める。 特に,各都道府県高体連は,登山計画審査会(仮称) の運営に関して教育委員会と密接な連携を図るととも に,高等学校山岳部指導者の資質の向上に関する取組 等を行い,安全への対処能力を育成することが必要で ある。 5 高等学校体育連盟や教育委員会,山岳団体等との連携

RkJQdWJsaXNoZXIy NDU4ODgz