安全で楽しい登山を目指して

138 第4編 リスクマネジメントに関する総合演習 9では,山頂で雨乞岳の方向に進んでいることを方向で確認する。そうしないと,ピークへの道の取り付き方 によっては,南東向きの尾根を誤って下ってしまうことがある。 雨乞岳山頂は地形がなだらかで,10 の広い尾根に降りないよう,方向を確認して,11 方面の尾根に降りていく。 地図は一本道だが,11 や 12 のように枝尾根が出ていると思われる地点では,そちらの方に踏み跡や獣道が付 いている可能性がある(破線)。そちらに降りないように進路を確認する。方向だけではその区別は難しいかも しれないが,西隣に同等の尾根がすぐ延びていたら破線に降りている可能性がある。 杉峠以降は東向きの谷を下るので,ナヴィゲーション的には難しくないはずである。ただし,谷を横切る箇所 やつづら折れが多数あるので,そこでは道を外して谷に誘い込まれないように,なるべく先を見て,道の連続性 を目視によって確認することが肝心である(ルートファインディング)。 bからfの区間では,地図にない道があれば,知らないうちに,谷を下りすぎてしまうかもしれない。この区 間では常に急斜面が右にあり,それが東→北→北西(尾根を回り)北東と方向を変えていることを確認できれば, fに至る。 (村越 真) Ⅳ 医療 (1)最も注意すべきは,熱中症,脱水の発生である。 熱中症を起こしやすい要因として,①気象条件:WBGT25℃以上で危険が増す(注意:インターハイでは WBGTが25℃以上で発症例が増加している)こと,②運動負荷量:荷物の負荷と長時間の運動であること,が 挙げられ,この日の登山ではリスクを伴う条件が揃っていることを生徒に説明する。 体温を上げすぎないために,a. 脱水の予防,b. 過剰な運動の制限,c.環境からの回避が必要である。 予防法は,起床から登山口に到着するまでに朝食の他に500mℓ以上のスポーツドリンク類を飲水して,最低 でも2回の排尿をしてから登山を開始する。登山中は30分毎に塩分を含む水分補給を行い,休息することで体 温の上昇を緩和させる。排尿は日常生活同様の頻度と量があるか,無ければさらに塩分を含む水分補給を行う。 日の出前に行動を開始し気温の高い時間帯のペースを抑える。この日の行程での水場の確認を行っておく。 1 2 5 6 7 8 9 10 11 12 13 3 4 e d c b

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