安全で楽しい登山を目指して

105 第9章 山の天気 【演習問題2】 福島・山形県境にある吾妻連峰に登山を予定しており,朝まで降っていた雨があがったので,出発することに した。登山口から吾妻連峰の稜線が見えており,9時現在晴れ。風も弱い。登山口でインターネットから入手し た最新の天気図が図1である(吾妻連峰は図中,黒の▲印にあたる)。この天気図を見て,今後の天気の予想と, 登山における注意点について述べた次の1~4の文章のうち,正しいものを一つ選べ。 1 低気圧と低気圧の間の疑似好天域に入っている。今後は2つの低気圧が次第に遠ざかっていくため,天気が 悪化することはない。ただし,等圧線が込んでいるため,登山をすること自体に問題はないが,稜線の強風に は注意が必要である。 2 低気圧が発達しながら今後,吾妻連峰から離れていくので,今後,天気が悪化する可能性は低い。現在,晴 れているのだから,今後も晴天が続くと予想される。 3 現在は,低気圧の雨雲が抜けて一時的に等圧線の間隔が広い弱風域に入っているため,晴れている。しかし ながら,これは疑似好天で,低気圧が遠ざかり,等圧線が込んでいる部分に入ると,猛烈な暴風雪になり,天 候が短時間で急激に悪化することが予想される。 4 低気圧の南側の乾燥域に入り,一時的に晴天となっているが,上層に強い寒気が入るため,大気が不安定と なり,午後から落雷や強雨(雪)に注意が必要である。登山中は,積乱雲の発達に注意し,落雷や沢の増水な どの気象リスクが高い所での登山は危険である。 解答 3 解説 現状,等圧線の間隔が広い部分に一時的に入って晴天となっているが,すぐ西側には等圧線が込んでいる 部分がある。これが吾妻連峰にかかってくると,西寄りの風が非常に強まり,日本海からの湿った空気が山の 斜面で上昇して雲を発達させ,天気も崩れる。また,低気圧が発達していることから,日本海方面から強い寒 気が流れ込んでいることが想定され,暴風雪となる恐れが高い。 1は「天気が悪化することはない」が誤り。2は「今後も晴天が続く」が誤り。4は,この天気図からだけ だと上層に強い寒気が入るかどうかは分からない(低気圧の発達からある程度,推測できるが)。また,積乱 雲の発達に伴う落雷や強雨よりも,強い冬型の気圧配置による暴風雪のリスクの方がはるかに高い。 るため、大気が不安定になり、積乱雲が広い範囲で発達する。特に前線の南側300km以 内に入る東北地方から九州北部にかけての広い範囲で発雷や短時間の強雨が予想される。 演習2 福島・山形県境にある吾妻連峰に登山を予定しており、朝まで降っていた雨があがったので、 出発することにした。登山口から吾妻連峰の稜線が見えており、9時現在晴れ。風も弱い。 登山口でインターネットから入手した最新の天気図が天気図1である(吾妻連峰は図中、赤 色の△印にあたる)。この天気図を見て、今後の天気の予想と、登山における注意点につい て述べた次の1~4の文章のうち、正しいものを一つ選べ。 天気図1 (図1は気象庁ホームページより) 図1 (猪熊隆之)

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