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JARC LIVE 9 小熊 弘明(こくま ひろあき) 平成 9(1997 年)運輸省(現・国土交通省)入省。 東北運輸局企画振興部企画課長、航空局成田国際空港 課課長補佐、在スペイン日本国大使館一等書記官、自 動車局旅客課バス事業活性化調整官、総合政策局公共 交通政策部参事官等を歴任。令和元年 7 月より現職。 けて何がネックなのか分析し、ネックを解消するためにはど のようにすべきかを、個々のホテルや旅館で考えるのでは なく、施設の発展、業界の発展を願っている宿泊施設を 取り巻くさまざまな専門分野の声や知恵、技術を大いに生 かしてほしいと思います。これまではシステムは IT 企業、 会計は会計事務所、建築・デザインは設計事務所など 専門分野に任せていました。個々がバラバラで全体をまと めていく人材が残念ながら不足しています。だからこそ、 いまは皆がそれぞれの技術や知識を持ちより改善してい くためのエンジニアリング人材が必要だと考えます。その ためにも今後、宿泊施設のサポーターとして活動している JARCは、観光庁が窓口になっていただき、必要なデー タ収集とともにデータ分析などから未来を予見し、生産性 を高めていくために必要なものを会員の皆様の知恵を結 集して新しい仕組みやサービスを創出していくべきだと考 えています。 小熊 皆様からさまざまなご意見やご希望をお聞きし、観 光庁としてもできる限りの取り組みを進めていきたいと思い ます。宿泊業をはじめとする観光産業は、まだまだ伸びし ろがあり、政府としても大いに期待している分野です。目 標とする数字の達成を目指すとともに、皆様とともに観光 産業の振興・活性化に努めてまいります。 援をすると発表されましたが、実際にホテル業界にお いて、それだけのものが必要でしょうか。 林 日本のホテルも世界で十分に対応できるまでに成熟し たと考えています。日本は世界と比較して5 つ星ホテルの 数は少ないですが、車に例えると世界のすべての人が超 高級車を買えるわけではありません。ところが、日本の高 級車なら幅広い層が手に届くのです。日本人が戦後目指 していた手の届く高品質は、現在では日本人に限らず世 界の人々にも貢献しています。日本のホテルも同様で必ず しも超高級でなくとも世界のお客様にハードやサービスは 十分にご満足いただけるものであり、おそらく海外ではマ ネできない日本人固有の精神文化だと言えます。これから 日本の宿泊産業が生産性を高めていくためにはマネジメン ト能力のある人材、そしてテクノロジーの進歩に適応でき る知識や想像力を持ち、さまざまなテクノロジーや業種を つなげて新たなサービスを創出できる「ホテルエンジニアリ ング」という新たな人材の育成が必要だと思います。 小熊 生産性向上という点で、観光庁では平成 28 年度 から取り組みを強化し、(一社)日本旅館協会と連携し、 全国旅館・ホテルの幹部層を対象にしたワークショップな どの取り組みを進めています。これまでに開催したワーク ショップでは、宿泊事業者の方々から、自らの施設で実践 した生産性向上に向けた取り組みを報告いただき、それ ぞれの「カイゼン」の好事例を、他の皆様の参考となるよ う動画及び事例集にまとめております。詳細につきましては、 「ホテル・旅館“カイゼン”で人手不足解消! 宿泊業の 生産性向上事例集」(http://www.shukuhaku-kaizen. com/)をご一読いただければと思います。シフト改善や 中抜け勤務の解消・見直し、人材育成・定着化、IT 化・ 機械化・道具化、レイアウト改善による効率化など、実際 に取り組まれたモデル事例をまとめています。また、業界 団体でも独自の取り組みが進められているところで、2月 20日には、(一社)日本旅館協会が主催の「旅館ホテル の生産性向上に関するセミナー」が開催され、宿泊事業 者の先進的な事例紹介やパネルディスカッションなどが行 われました。セミナーの中では、例えばチェックインの際に 翌朝の朝食券を渡す必要性の有無など、日常的に当たり 前のように行っていることを生産性向上の観点で改善に取 り組んだ事例が発表されました。 林 とても素晴らしい取り組みですね。生産性向上に向 s p e c i a l i n t e r v i e w

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