JARCLIVE6

38 カタログ通販業の視点から、 供給する商品をモノからコトにシフトする ◯はじめに、通販事業大手のベルーナが、なぜ宿泊 業界に参入したのか、そのあたりからお聞きしたいと 思います。 宿泊業界参入時には、異業種として見られることが多 かったのですが、当初からそんなにかけ離れた業界とい う認識はありませんでした。ベルーナの通販事業における ターゲットは、一貫して女性であることが多かった。その 女性顧客層に「どのような商品を提供すれば喜んでもら えるか?」と考えることが企画立案のセオリーであると思う のですが、その“商品”がモノからコトに変化して、行き 着く先のひとつが“ホテル”であった、という事だけだと 思っています。ただ、数多くの新規参入企業と少々違うと ころは、創業オーナー健在企業であるがゆえの決定スピー ドの早さというところもあると思います。「お客様の中でも、 特に女性に喜んでもらえるホテルを運営すればいいので は?」から「では、ホテルを作る!」とトップから降りてくるま での時間は非常に短かったと思います。この熱伝達の速 さは、参入への大きなブーストになったとも言えますね。 そこに「ベルーナで培った女性視点の審美眼を発揮し て、設計デザインからアメニティのチョイスまでこだわろう」 という、弊社ならではの小売商店業的マインドを活かすと いうTO DOが早い段階で明確化できたのも、現在国内 運営ホテル(ブランド“グランベルホテル”として京都・新 宿・赤坂・渋谷を展開。また、リゾート型ブランド“ルグラ ン”として軽井沢を展開)が、ありがたいことに順調な業 績を記せている理由のひとつだと思います。現在進行形 のプロジェクトとして、東京だと銀座・赤羽、そして大阪、 北海道は札幌に、小樽でもオープンを予定しています。 海外リゾート事業でのポイントは、 その国の風土とラグジュアリーの融合バランス ◯好調な国内ホテル事業に加えて、最近では海外リ ゾート事業にも積極的な姿勢を見せていらっしゃいま す。海外戦略におけるビジョンやポイントを教えて下さ い。 海外リゾート事業での戦略的優先事項は“土地”であ ると考えています。それは観光ロケーションや商業的優位 という「立地」ではなく、その国の「風土」という意味です。 リゾートの開発である訳ですから、部屋からの景観がい いとベターだ、海に隣接できているとベストだ、という希望 はありますが、何よりもその国の風土に溶け込みつつ、高 級リゾートとしての、ある意味ハイエンドな非日常感をいか に提供できるかを重視しています。その土地のカルチャー や歴史といった風土と、洗練されたデザイニングが醸し出 総合通販の巨人が仕掛けた、 ホテル&リゾート創生のメソッド ここ数年、ホットワードとして声高に語られることが多かった「ライフスタイルホテルの躍進」や、その潮流の源泉 である「異業種からの宿泊業界参入」。だが言葉の熱さに隠れて、実際にその流れを掴み、実績を残している企業は 数少ない。株式会社ベルーナは、その少ない企業のうちのひとつである。カタログ通販の大手カンパニーが、何故宿 泊業界への参入を決めたのか、そして近年活発に仕掛けている海外リゾート事業へのビジョンなど、ベルーナが考え るホテル&リゾート創生メソッドを、執行役員である安野洋氏に語っていただいた。 〜世界に羽ばたく日本のトップランナー企業〜 安野 洋氏 株式会社ベルーナ 執行役員・開発企画本部長代理 I N T E R V I E W 女性にフォーカスしたプロジェクトを世界にも発信!

RkJQdWJsaXNoZXIy NDU4ODgz