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JARC LIVE 37 4 政府による働き方改革が推進され、余暇の充実度を考えるミレニアル世代が増えている。一方、パスポート保有率 は外務省調査によると国民全体では 24%の約 3000 万冊に過ぎない。“海外はこわい”と感じている若者も多い。 そんな中、海外旅行をひと押しする海外に特化した女性向けの情報メディア「TabiMUSE(タビミューズ)」を展開、 SNS ベースで約 3 万 8000 人を超えるコミュニティーを形成しているのが野々村菜美 CEO 率いるバリーズ㈱だ。 野々村 菜美氏 バリーズ㈱ CEO 東京都港区北青山 3-5-6 青朋ビル 212 URL:www.valise.jp 会員ZOOM UP 情報発信する公式キュレーター「MUSE」 SNS の浸透に伴い、旅行計画をする流れが変わって きた。これまでは旅行代理店のホームページでまずは目 的地となる場所を選ぶことから始めていた。ところが今は、 SNSで多くの人が情報を探すようになり、アップされた 写真を見て“すてき”“こんな旅をしたい ”と思った瞬間か らさらに情報収集を行ないデスティネーションの決定をし ている。情報に共感させることがミレニアル世代を動か す手段であり、その変化をとらえたのが 5 年前に起業し た野々村菜美社長だった。 「旅から帰ってきたら終わりではなく、自分の体験した 旅を発信することも旅の一部としているのが、ミレニアル 世代女性の特徴のひとつです。自身の発信する情報で、 共感を生み出すことが大きなモチベーションとなっていま す。」 「TabiMUSE」には情報発信する公式キュレーター 「MUSE(ミューズ)」が約 150 人存在している。自 分が好きな場所のツアーを消費者目線で作り上げてい る。MUSEは20 ~ 30 代で独身や家族を持つ人もい る。単に観光地をフォーカスしているのではなく、それぞ れの趣味や関心ごとを掘り下げた旅のスタイルを発信し ている。 例えば「かわいいエッフェル塔の写真を撮影したい」 ということにこだわり、撮影するために毎年1回、フランス・ パリに渡航している人もいる。カフェが大好きで世界各 国へ行ってカフェ巡りをしている人など、観光地主体の パッケージツアーとは異なる個々のこだわりと目的を持っ て旅を楽しんでいる。 「MUSE」オーディションに 全国から350 人応募 先般「MUSE」の増員に向けたオーディションを実施 したところ約 350 人の応募があった。写真やコメントか ら第 1 次審査で約 50 人程に絞り込み、第 2 次審査 で16 人、第 3 次審査で13 人まで絞り込んだ。今後も 「MUSE」たちの旅の知見を生かし、これまで知らなかっ た新たな旅の価値の創出を行なっていく。 加えて単に情報を発信するだけではなく、「MUSE」 とともに旅をするツアーも企画している。実際、エッフェ ル塔の写真を撮り続けているMUSEと行くパリの旅を企 画したところ15 人が参加したという。1人旅には踏み出 せないが、共感できるMUSEと同じ価値観を持つ人と 同じ時間を過ごしたいという思いが、1人参加を促してい る。SNS の普及によって人とつながることの抵抗感が 感じなくなっていることも、この行動を後押ししているとも 言える。 注目しているのは『ステイケーション』。ステイとバケー ションを組み合わせた造語で、海外で流行ってきている ライフスタイルだ。例えば週末は都内のホテルにステイ してラグジュアリーな体験を楽しむ、旅が特別なものでは なく日常の同線上にあるという感覚が生まれてきたのだ。 「今後はMUSEを旅のプロデューサーとしてステップ アップさせ、ユニークな海外旅行ツアーを旅行エージェン トと企画したり、MUSEたちの視線で地元では発見でき ない魅力を発見するなど地方創生につながるマーケティ ングやホテル業界とMUSE のディスカッションなど、さま ざまな観光産業、観光事業にもっともっと新たな風を送 り込んでいきたい」 趣味や関心ごとを 掘り下げた新たな海外旅行のスタイルを 発信する「TabiMUSE」

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