JARCLIVE6

JARC LIVE 31 ㈱ホテル、ニューグランド 横浜市山下町 10 番地 TEL:045(681)1841(代表) URL:http://www.hotel-newgrand.co.jp 心を込めてゆっくり、じっくり丁寧に素材を調理することで す。刻んだニンジンや玉ネギを焦がさないように弱火でじっく り炒めます。米もお米が透き通るまで炒めます。そしてバター を入れてバターライスを作るのですが、そのときも弱火でじっ くり炒めます。ちょうどいい状態になるとフライパンから“パ リパリ、プチプチ”という音が聞こえてくるのです。ベシャメ ルソースは熱した牛乳を裏ごしして、小麦粉とバターを熱し て混ぜたルーに徐々に加え、最後に裏ごしして仕上げます。 ポイントは裏ごしのときに金属製の裏ごし器を使用せず、今 でも布を使って裏ごしをしていることです。布の両端をそれ ぞれが持ち布を双方からねじり搾り上げていきます。週末に なると100 食ほどのシーフードドリアのご注文をいただきます ので、大量に準備します。裏ごしをする量も多いですからと ても重く、万が一、一人が誤って手を放してしまったら熱い ソースが顔にかかってしまいます。それでも舌ざわりの良さ は布と金属とでは異なります。多くの方はこの変わらぬ味を 懐かしく求めてご来店いただいておりますので、初代から受 け継がれているドリアの作り方は今後も次世代が継承し、い つ来られても変わらぬドリアの味を楽しんでいただけるよう指 導しています。これは何度も何度も経験を積み重ねていくし かできないことなのです。そしてふわっとあっさり、軽くいた だけますよう卵黄とバター、レモン汁で作ったオランデソース をはさみ、上にベシャメルソースをかけて仕上げています。 ―すごい、これだけ手が凝っているとは素晴らしいことで す。ドリア以外にもナポリタンもまさに発祥の地ですね。 戦後、米軍に世襲されたときに 2 代目の入江茂忠総料 理長が考案したものです。日本に来た米軍がスパゲティの 乾麺を積んできたのです。今ではナポリタンと聞くとケチャッ プ味という印象がありますが、当時も今でもケチャップを使 わずトマトの味で作っています。ある意味、野菜料理の1つ として考えて作られたものです。その後、手軽にトマト味を アレンジできるケチャップが浸透し、今のナポリタンが出来上 がったのです。 ―そのほか、プリンアラモードも発祥の地とお聞きしました。 プリン アラモードはアメリカ人将校夫人たちをよろこばせ たいと、当時のパティシエが考案したメニューです。発祥と いうよりも縦型のパフェとはちがい横に前菜を載せるワイドな 器を使って豪華に見せた芸術作品と言えるのかも知れませ ん。プリンやバニラアイス、ウサギ型に仕上げたリンゴやフルー ツ、生クリームなど見た目の華やかさや、ふくよかなアメリカ 人でも満足できる一品として好評いただき、今でも変わらぬ スタイルで提供しています。 ―ドリア、ナポリタン、プリンアラモード、ともにお客さまを 思う優しさから考案されたものですね。 その気持ちはいつまでも大切にしています。いつ来られ ても変わらぬ味を提供し続けていくこと、そのためにはお客 さまの気持ちを裏切らないことが大切だと思います。伝統を 守り、次世代に伝えていくことが総料理長の使命でもありま す。今後も初代総料理長のいかなるメニューでもお客さま のご用命に応じて提供し続けていくことを大切に、伝統であ るニューグランド発祥の一品を守り続けていきます。

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