安全で楽しい登山を目指して

平成 29 年3月 27 日,栃木県那須町において,春山安全登山講習会に参加していた生徒 7 名と引率教員 1 名が, 雪崩に巻き込まれ亡くなるという大変痛ましい事故が起きました。亡くなられた方々の御冥福を心よりお祈りし ますとともに,御遺族の皆様に謹んでお悔やみ申し上げます。 再びこのような痛ましい事故が起こらないように関係機関・団体等が連携・協力して山岳遭難事故の防止に取 り組まなければなりません。 独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)では,国立登山研修所において,登山指導者や登山リーダー 等を対象にした各種研修会等を実施してまいりましたが,新たに高等学校登山部顧問や一般登山者等を対象にし た研修会等も開催し,より一層,安全な登山の普及を推進したいと考えています。 スポーツ庁においては,高校生等の冬山・春山登山の実施状況等を把握するための緊急調査を行うとともに,「高 校生等の冬山・春山登山の事故防止のための有識者会議」を設置し,再発防止策の検討が行われ,有識者会議(平 成 29 年 11 月 28 日)からは,高校登山部指導者の質の向上が喫緊の課題であり,登山部の指導者向け指導テキ スト等の作成が必要であるとの提言がありました。 この有識者会議の提言を受け,JSCでは,国立登山研修所が中心となりテキストを作成することとしました。 作成にあたっては登山の各分野で活躍されている専門家の方々に「高等学校登山指導用テキスト等編集委員会」 の委員を委嘱し,テキストの構成等の検討や原稿執筆を担当していただきました。 高等学校等の登山指導者には,登山の教育的意義を理解し,目標の設定,計画の作成,実施するマネジメント 能力や生徒等の安全を確保する危機管理能力,登山引率の実践的な能力が求められます。 テキストには,安全な登山のために必要な基礎的な知識や技術だけではなく,高等学校等の登山指導者に求め られる資質や登山活動を支援するための体制づくり,PDCAサイクルの活用方法などについても掲載しました。 また,生徒を指導する際のポイントや登山の知識を実践で活かすためのリスクマネジメント等に関する総合演習 も盛り込んだ内容としました。 このテキストが高等学校等で安全で楽しい登山を目指す指導者の皆様に広く活用されるよう願ってやみません。 終わりに,このテキストの作成にあたり,御指導・御協力を賜りましたスポーツ庁をはじめとする関係各位に 深く感謝申し上げます。 平成31年3月 独立行政法人日本スポーツ振興センター 理事長 大 東 和 美 発刊にあたって

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