安全で楽しい登山を目指して

25 第1章 PDCAサイクルで安全登山 登山を安全に成功させるために Plan-Do-Check-Ac(t 計画-実行-評価-改善)を繰り返すことが大切である。 P 計画(メンバーがその山行で求める体験の質と量,メンバーの力量に合った適切な計画,話し合い) 準備(アプローチ・入山ルート・幕営地情報,その山行に必要な体力・技術・装備・食糧の準備) D 実行(登山中のリスクマネジメント,事故後のダメージコンロール) C 評価(お互いに変化・異変に気づき,学び合う,支援体制を含む登山チームから助言) A 改善 ( 状況に合わせて行動の修正,別の計画への切り替え,登山チームによる救助を含む支援) 1 登山におけるPDCAサイクルの活用 一つの登山を安全に楽しむだけでなく,山岳部の部 活動を継続するために,PDCAサイクルの活用は有 用である。(第1編第2章4「高等学校山岳部の指導 者(顧問等)に必要な資質や能力」,図1参照) 登山はPlan(計画)に沿ってDo(実行)される。 その実行が計画通りか常に Check(評価)を続ける。 必要に応じて,行動の修正や別の計画への切り替え, 改善(Act)する。 もし不都合が生じた時には,用意した別の計画に切 り替える。例えば,悪天が予想されるので設定場所や 内容変更,エスケープ,及び引き返す場合も,事前に メンバーで十分に話し合い,下調べもしておく。登山 中には,メンバーの体調や天気が刻々と変化していく から,その都度,PDCA の考え方を利用して,計画・ 実行・評価・改善を繰り返す。 ▶指導のポイント ア Planなしでは,安全な登山はできない。 イ 可能性のある予定(引き返すこと,エスケープ 等)も想像力を働かせて,計画を練る。 【演習問題】 1 PDCAサイクルとはどんな方法か調べ,要点を 箇条書きにまとめてみよう。 2 登山で道迷いを防ぐために,PDCAサイクルを 使う例を話し合ってみよう。 2 Plan(登山の計画) (1)目的と行先の決め方 これから実施する山行や講習会について,登山パー ティーのメンバーが「希望する体験の質と量」は何か を具体的に知って,それを共有するために,十分に話 し合う必要がある。この話し合いを通して,実施時期 や標高何メートル級の何泊の登山がしたいのか,その 山行で何がしたいのか,なぜそうしたいのかなどを具 体的に深めていく。 また,その山行の目的と行先,ルートを決める前に は,パーティーの中で最も体力や技量レベルの低いメ ンバーに合った内容であることを必ず確認することも 大切である。 ▶指導のポイント その山行に求める体験の質量と量が,メンバーに とって無理がないか。安全に登山できそうかを第一 に,目的と行先の山やルートを考える。 (2)情報収集 登山口までの交通機関や時刻表についてはインター ネットを活用して調べる。休日や平日ダイヤ,季節の 特別ダイヤなどに注意する。インターネットが現地で 使えないこともあり,電池の消耗を防ぐためにも,で きる限り事前に調べておく。 第1章 PDCAサイクルで安全登山 第2編 登山を計画しよう 第1章 PDCAサイクルで安全登山 第1章 PDCAサイクルで安全登山 登山を安全に成功させるために Plan-Do-Check-Act(計画-実行-評価-改善)を繰り返すことが大切である. P 計画(メンバーがその山行で求める体験の質と量,メンバーの力量に合った適切な計画,話し合い) 準備(アプローチ・入山ルート・サイト地情報,その山行に必要な体力・技術・装備・食糧の準備) D 実行(登山中のリスク マネージメント,事故後のダメージコンロール) C 評価(お互いに変化・異変に気づき,学び合う,支援体制を含む登山チームから助言) A 改善 (状況に合わせて行動の修正,別の計画への切り替え,登山チームによる救助を含む支援.) 1 登山におけるPDCAサイクルの活用 一つの登山を安全に楽しむだけでなく,山岳部の 部活動を継続するために,PDCA サイクルの活用は有 用である.(第一編第2章4「高等学校山岳部の指導 者に必要な資質や能力」,図1参照) 登山はPlan(計画)に沿って実行される.その実 行が計画通りかを常にCheck(評価)を続ける.必 要に応じて,行動の修正や別の計画への切り替え, 改善(Act)する. もし不都合が生じた時には,用意した別の計画に 切り替える.例えば,悪天が予想されるので設定場 所や内容変更,エスケープ,および引き返す場合 も,事前にメンバーで十分に話し合い,下調べもし ておく.登山中には,メンバーの体調や天気が刻々 と変化していくから,その都度,PDCAの考え方を利 用して,計画・実行・評価・改善を繰り返す. 演習 1.PDCAサイクルとはどんな方法か調べ,要点を箇 条書きにまとめてみよう. 2.登山で道迷いを防ぐために,PDCAサイクルを使 う例を話し合ってみよう. 2 Plan(登山の計画) 1)目的と行先の決め方 これから実施する山行や講習会について,登山パ ーティーのメンバーが「希望する体験の質と量」は何 かを具体的に知って,それを共有するために,十分に 話し合う必要がある.この話し合いを通して,実施時 期や標高何メートル級の何泊の登山がしたいのか, その山行で何がしたいのか,なぜそうしたいのかな どを具体的に深めていく. また,その山行の目的と行先,ルートを決める前に は,パーティーの中で最も体力や技量レベルの低い メンバーに合った内容であることを必ず確認するこ とも大切である. 指導のポイント ・Planなしでは,安全な登山はできない. ・可能性のある予定(引き返すこと,エスケ ープ等)も想像力を働かせて,計画を練る. 登山パーティー ①リーダー(引率者,講師) ②フォロワー(メンバー,生徒) 環境 運動 体力×技術×判断 = 登山のパフォーマンス 登山に何を求めますか? 体験の質と量? 困る前の気づき + 助け合い お互いの目的を共有,理解 21 指導のポイント ・山行に求める体験の質量と量が,メンバー にとって無理がないか.安全に登山できそう かを第一に,目的と行先の山やルートを考え る 第2編 登山を計画しよう 第1章 PDCAサイクルで安全登山 第1章 PDCAサイクルで安全登山 登山を安全に成功させるために Plan-Do-Check-Act(計画-実行-評価-改善)を繰り返すことが大切である. P 計画(メンバーがその山行で求める体験の質と量,メンバーの力量に合った適切な計画,話し合い) 準備(アプローチ・入山ルート・サイト地情報,その山行に必要な体力・技術・装備・食糧の準備) D 実行(登山中のリスク マネージメント,事故後のダメージコンロール) C 評価(お互いに変化・異変に気づき,学び合う,支援体制を含む登山チームから助言) A 改善 (状況に合わせて行動の修正,別の計画への切り替え,登山チームによる救助を含む支援.) 1 登山におけるPDCAサイクルの活用 一つの登山を安全に楽しむだけでなく,山岳部の 部活動を継続するために,PDCA サイクルの活用は有 用である.(第一編第2章4「高等学校山岳部の指導 者に必要な資質や能力」,図1参照) 登山はPlan(計画)に沿って実行される.その実 行が計画通りかを常にCheck(評価)を続ける.必 要に応じて,行動の修正や別の計画への切り替え, 改善(Act)する. もし不都合が生じた時には,用意した別の計画に 切り替える.例えば,悪天が予想されるので設定場 所や内容変更,エスケープ,および引き返す場合 も,事前にメンバーで十分に話し合い,下調べもし ておく.登山中には,メンバーの体調や天気が刻々 と変化していくから,その都度,PDCAの考え方を利 用して,計画・実行・評価・改善を繰り返す. 演習 1.PDCAサイクルとはどんな方法か調べ,要点を箇 条書きにまとめてみよう. 2.登山で道迷いを防ぐために,PDCAサイクルを使 う例を話し合ってみよう. 2 Plan(登山の計画) 1)目的と行先の決め方 これから実施する山行や講習会について,登山パ ーティーのメンバーが「希望する体験の質と量」は何 かを具体的に知って,それを共有するために,十分に 話し合う必要がある.この話し合いを通して,実施時 期や標高何メートル級の何泊の登山がしたいのか, その山行で何がしたいのか,なぜそうしたいのかな どを具体的に深めていく. また,その山行の目的と行先,ルートを決める前に は,パーティーの中で最も体力や技量レベルの低い メンバーに合った内容であることを必ず確認するこ とも大切である. 指導のポイント ・Planなしでは,安全な登山はできない. ・可能性のある予定(引き返すこと,エスケ ープ等)も想像力を働かせて,計画を練る. 登山パーティー ①リーダー(引率者,講師) ②フォロワー(メンバー,生徒) 環境 運動 体力×技術×判断 = 登山のパフォーマンス 登山に何を求めますか? 体験の質と量? 困る前の気づき + 助け合い お互いの目的を共有,理解 21 指導のポイント ・山行に求める体験の質量と量が,メンバー にとって無理がないか.安全に登山できそう かを第一に,目的と行先の山やルートを考え る

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