安全で楽しい登山を目指して

173 資料2 1.高校生等の冬山登山の基本的な方向性等 (1)経緯及び現状 ①経緯 スポーツ庁(平成 27 年 9 月末まで文部科学省)においては、毎年、各都道府県の 知事や教育委員会教育長等に対し、冬山登山は多くの遭難事故が発生しており事故 防止について万全の措置が必要である旨注意喚起を行ってきた。特に、高校生(中 等教育学校後期課程、特別支援学校高等部に属する生徒を含む)及び高等専門学校 生(1年生から3年生まで)(以下、「高校生等」という。)以下については、原則とし て冬山登山は行わないよう指導してきたところである。 このような中、平成 29 年 3 月 27 日、栃木県高等学校体育連盟主催の春山安全登 山講習会に参加していた生徒 7 名及び引率教員 1 名が、栃木県那須町で発生した雪 崩に巻き込まれたことにより亡くなるという痛ましい事故が起きた。 栃木県教育委員会においては、この事故を受け、事故の状況、課題等の検証を行 うとともに、事故の再発防止に資するため、第三者の有識者による雪崩事故に関す る検証委員会を設置し、調査・検証等を行い、平成 29 年 10 月 15 日、検証委員会が 取りまとめた最終報告書を公表した。 スポーツ庁においては、平成 29 年 3 月 31 日から 4 月 21 日に高校生等の冬山登山 の実施状況等を把握するため緊急調査を行うとともに、高校生等の冬山・春山登山 の事故防止のための有識者会議を設置し、実態調査結果や栃木県教育委員会が設置 した検証委員会の検証結果等を踏まえ、再発防止策を検討することとした。 ②現状 高校生等の登山は、自然・環境教育、自立心や協調性の涵養、リーダーシップの 発揮等、様々な教育的な意義があるため、学校教育活動の一環として、運動部活動 (登山部やワンダーフォーゲル部等)又は学校行事等の外、各都道府県高等学校体 育連盟(以下、「各都道府県高体連」という。)等による登山や登山に関する講習 会等(以下、「講習会等」という。)が行われている。 高校生等の冬山・春山登山の実施状況については、スポーツ庁の調査によると平 成 28 年度に冬山・春山登山を実施した高等学校等は 402 校で、登山部等がある高等 学校等(1,033 校)の約 40%、全国の高等学校等(5,876 校)の約 7%であった。(*1) また、(公財)全国高等学校体育連盟(以下、「全国高体連」という。)登山専 門部の調査によると、全国高体連登山専門部に加盟する高校生等の人数は、平成18 年度は6,580人であったが、平成29年度は10,574人と近年は増加傾向にある。(*2) *1.「冬山・春山登山の実態調査」(平成 29 年 6 月 21 日スポーツ庁公表) 高等学校等:国公私立高等学校(中等教育学校後期課程及び特別支援学校高等部含む)及び高等専門学校 冬山・春山登山:平成 28 年度における冬から春にかけて主に雪上で実施する活動(登山、講習会等) 登山部等:登山部、山岳部、ワンダーフォーゲル部等の名称を問わず、登山を行う部活動及び同好会 *2.「(公財)全国高等学校体育連盟登山専門部加盟校数等の推移」(高体連登山専門部調べ) 1

RkJQdWJsaXNoZXIy NDU4ODgz