安全で楽しい登山を目指して

155 第2章 中級演習 (2) ① 低体温症の初期症状,あるいはなりかけている状態。 ② ツェルトをかぶり,炭水化物を食べさせ,温かい飲み物を飲ませ,湯たんぽで温める。濡れている衣類は 出来るだけ着替える。他のメンバーにも同様の注意を図る。 低体温症が疑われるのは1名だが,1名が体調不良を起こすことは,チーム全体のリスクが上がることを 認識する。 ③ 炭水化物を継続的に食べさせながら目的地に向けて行動開始する。この後は,植生のある登山道になるの で,気象条件を緩和し得る。しかし,行動時間が長引いたり,症状の再燃があれば,下山を検討する。 (大城和恵) Ⅲ リスクマネジメント 秋の登山における登山計画および行動管理で最も注意すべきは,日没が早く,昼夜の温度差が大きく,標高の 高い山や高緯度の山地では初雪や初氷も予想される点である。そこで起床など行動開始時間を早めに計画する。 まだ暗い日の出前の行動となることも多く,ヘッドランプの使用も増えるため十分な予備電池を携行する。早朝 の視界は良くないので,道を間違えやすい。前日にテント場に明るいうちに到着して,翌日のルートを確認して おくことも必要である。万一のビバークでも積極的にツェルトやシュラフカバー,防寒着,雨具,手袋などを重 ね着して,低体温症を防止する。靴下は手袋にも応用できる。長い靴下を手から腕にかけて着用すること,長い 靴下をマフラーのように襟元に巻くと放熱が減り,温かい。メンバーが入山前に風邪気味などであれば,無理を させず,参加を諦めるように指導する。 (北村憲彦)

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