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JARC LIVE 25 未病への関心が 低い日本人 日本独自の Japan Wellness の 発信を 新たな観光方法としてこれまで気づかれていなかった観光資 源を活用した「ウェルネスツーリズム」は観光庁の “ ニューツー リズム ”として提唱された。これまで何度かウェルネスツーリズ ムへの仕掛けはされてきたが、日本市場においてはなかなか浸 透しなかった。岩盤浴や森林浴など温泉を軸にしてきたことから、 ある意味、温泉に見慣れた日本人にとっては目新しさを感じさせ なかったことが一因として考えられる。また温泉イコール治療と いう認識が強く、病気にかかれば医者へ行けば治るという考え から、病気にならないようにするための「未病」への関心が低 いこともウェルネス文化が浸透していない理由の一つだ。 しかし世界的な動きをみると病気にならないように心身ともに 健康にするためのウェルネスツーリズムは、新たな旅のカタチと して伸びている。統計によるとウェルネスツーリズムのほぼ半数 (48%)はスパツーリズムであることが分かった。この統計から 考えれば、スパはONSEN(温泉)と呼ばれる日本固有のス パであり、この資源を生かした新たな旅行を生み出せることが裏 付けられる。温泉に限らず世界温泉機関(WHO)が 2015 年に発表した統計によると、世界一の長寿国であり、統計開 始以来 20 年間世界一の座を守り続けていることから、日本の 長寿は世界に誇れるブランドとなり得るものである。 長寿国を支えている四季や世界無形文化遺産の和食や地 域固有の食材、食文化、日本的な伝統芸能や様式美、禅や 道を極める精神性、日本的感性や美意識など、日常生活の中 に他国にはない素晴らしい財産がある。既存の財産と新たな テクノロジーを融合により「Japan Wellness」を構築すること で、世界で注目されるウェルネスツーリズムの最高峰としてのデ スティネーションに成長させることができ、その格好の地域が「箱 根」ではないかという展開で進められた。 川島朗教授は「温泉こそが日本に与えられたベネフィットであ る。ウェルネスをメインにおいたブランディング発信は箱根である ことの意義があるのではないか。箱根から世界へ、日本独自の Japan Wellness の発信を」と投げかけた。 実際、人々を惹きつけるデスティネーションの4条件は「気候」 「自然」「食」「文化」と言われている。箱根の四季や相模 湾から採れる魚介類や小田原の柑橘類、組み細工や小田原 城や屋敷など、隣接する小田原と融合することで4 条件を満た すことができる。 「沖縄ではザ・リッツカールトン沖縄『Ryukyu Wellness Detox&Charge』というウェルネスプランや石垣島のANAイン ターコンチネンタル石垣リゾートでは『Euglena B.C.A.D.Spa Cuisine』、ハレクラニでは『Secrets of Longevity( 長寿の 秘密 )』と題したウェルネスプログラムを展開しています。沖縄 では長寿の秘訣に触れる旅をすでに実践しています」と荒川雅 志教授は沖縄のウェルネスツーリズムの現状を披露した。 米国ロサンゼルスに在住している山本明美会長は「海外で のウェルネスに対する受け止め方として、日本は期待されていま す。自然や食文化、そして禅、瞑想など心身ともに健康な体 を取り戻すことができる環境に恵まれているからです。まさにウェ ルネスの先進国であると認知されているのです」と、日本にお けるウェルネスの可能性とウェルネスの分野で世界から注目され ていることに対する気づきを与えてくれた。 白井浩一社長は「現在、ウェルネスの先端として『ファスティ ング』を展開しています。ファスティング(断食)により体質改 善へと導くことができます。箱根は山もあり、都心に近いことか ら外国人への訴求力が高い。今後、ウェルネスと旅をコネクト するデスティネーションコンテンツの設定が必要でしょう。箱根な らでは、箱根らしさを体験できる箱根限定のウェルネスプログラ ムを構築していきたい」と箱根の新たな生き方をともに作り上げ ていきたいという思いを込めて語った。 モデレーターを務めた五十嵐洋子執行役員は「企業向けリラ グゼーションサービスを仕掛けるのも今後のタスクでは? 疲れ ている日本人、疲れている企業では何も生まれません。国民性 の違いかもしれませんが、アメリカにはあまりこのような人や企業 はいません。また今後、この箱根を世界に発信していくために も世界のエキスポに出展し、箱根の魅力をもっとアピールしてほ しいですね」と今後の課題や提案を持ちかけた。 最後に白井浩一社長は「2020 年 7月には日本を代表する リゾートホテルの草分けである宮ノ下富士屋ホテルが新たな一 歩を踏み出します。ぜひ、これを機会に世界に向けて“ウェル ネスと言えば箱根 ”を5 年後には実現させたい。そしてSPA 禅が富士屋ホテルの新たな一歩に!」」と強く語った。 シンポジウム参加者の声からも“とてもためになった”“ 新たな 気付きを与えてくれた”という声が寄せられた。改めて長寿国日 本の魅力を発見するとともに、当たり前の中にあり気づかなかっ た先人たちから受けつがれている財産を大いに活かした新たな 旅のスタイルとしての “ウェルネスツーリズム ”、そして『Japan Wellness』のブランド構築に大いに期待したいところだ。 箱根らしい、 ならではの 限定プログラムを

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