なんぶの里人 Vol.2

4 里山をフィールドに 子どもの生きる力を育む 地域おこし協力隊3年目の2020年に結婚 し、翌年、第1子を出産した幅田舞さん。現在 は初めての子育てと向き合いながら『森の保育 サークル うたたね』を運営し、保育士の髙橋 貴恵さんと町内をフィールドに、ゼロ歳~2歳 児の親子を対象とした『おさんぽ会』を定期的 に開催している。 『おさんぽ会』は、幅田さんが地域おこし協力 隊の任務の一つとして2021年に立ち上げた 活動だ。林道や小川の散歩、外遊び、畑の収穫 など、子どもたちは自然とふれあう場で過ごし ながら、自分で楽しいことを見つけ、思いきり 遊ぶ力を発揮する自然の中は危険とも隣り合 わせだが、できるだけその子のペースで過ごせ るよう、安全考えながらも寄り添うことを心 がけている。 「子どもたちが友だちや地域の人と関わること だけでなく、大人にとっても息抜きになったり 育児の相談をしたりと、些細なことを話せる場 を作っていきたいですね」と話す。これまで延 べ 組の親子が参加し、子どもや親同士、おさ んぽ会の開催に協力しく れた地区の人たちな ど、地域交流の輪も広がった。当初は未就学児 が対象だったが、幅田さんと髙橋さんの出産・ 育児により体制が変わり、今は2歳児までに限 定。小さな赤ちゃんとでも楽しめる水遊びやド ングリ拾い、雪あそびなどを企画し、遊んだ後 は自宅を開放して親同士のお茶会を開たりす る。幅田さんと髙橋さんも子連れ参加し、ス タッフとして目を配りながら、ゼロ歳児のわが 子の反応に驚いたり、ときめいたりと発見も多 い。母親になった自分たちも成長させてくる 『おさんぽ会』は、長く続けていきたいと考 え ている。 地域と関わりながら すこやかに成長してほしい 幅田さんは大阪府出身。都会の真ん中で生ま れ育ちながら、子どもの頃から田舎暮らしにあ こがれを抱いていた。大阪市内で幼稚園教諭を していた頃、自然の中で 幼児教育を行う『森 のようちえん』の活動を テレビで知って共感 し、森のようちえん発祥の地、デンマークへ2 年間留学する。現地で鳥取県智頭町の『森のよ うちえん まるたんぼう』の存在を知り、帰国 後の2016年に鳥取へ。園舎を持たず樹齢 300年以上の人工杉を有する森が学び舎とい う、森のよ の研修生として働いた経験 と手応えが、『おさんぽ会』の活動につながっ ている。 南部町生まれの夫、洋 ひろお 生さんの実家から車で 分の集落。大山を望む平屋の古民家で、親子 3人で暮らす幅田さん。 この家は、町内の空 き家をなんぶ里山デザイ ン機構が借上げてリ フォームした後に、入居を希望する人に賃貸で 貸し出す制度を活用した住宅で、快適に暮らし ている。また、子どもから目を離せない時期と あって、おかずを作って届けるなど、 常に気遣っ てくれる洋生さんの両親はじめ、普段から親 しいご近所の人や友人ち、地域の人に見守ら れながら子育てができるありがたみを実感して 「子いどるも。って、親と向き合うだけではなく、自 然のすばらしさや怖さを体感したり、地域と関 わったりして、すこかに育つと思うんで す。 田舎暮し魅力が詰まった南部町で子育てが できて良かったです」娘の彩 さつき 月ちゃんは、この 春から町内の保育園へ。幅田さんの子育と 『森 の保育サークル うたたね』の活動は、新しい 扉を開いたばかりだ。 豊かな自然と人に 見守られながら 子育てができる喜び 幅田 舞さん 家族構成・夫/子1人 大阪府からIターン 子育て×里人

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