安全で楽しい登山を目指して

76 第3編 登山の技術と知識を身に付けよう 山で傷病者がでた際に,その場で治療する事は非常に難しい。いかに症状を悪化させずに早期に医療機関 へ搬送する,又は,救助隊へ引き継ぐことが重要である。そのために,登山指導者(顧問等)は登山の医学 の基本的な知識を学び,傷病に対する適切な処置と的確な行動判断を行わなければならない。 (1)動画で3SABCDE の流れを理解させる URL https://sangakui.jp/medical-info/movie3sabcde/ (2)SSSABCDE の意味を理解させる SSSABCDE のそれぞれのアルファベットが何を意 味しているのか,テキストを読む。 もう一度動画を見て,SSSABCDE の意味を確認。 (3)流れを覚えさせる 2 人一組で,3SABCDE を実施させる。テキストや 動画を見ないで,SSSABCDE のアルファベットを頭 に浮かべて,流れを身につけさせる。 ▶指導のポイント ア 救助者が安全な場合にしか行わないことを強調 イ 最初は大雑把で良いので流れを覚えさせる。 ウ 動画のように,口に出して実施させる。 エ Cの3つはどれからやっても良い。 オ 人の体に触り慣れていないが,しっかり触って 確認しよう。 (4)命に関わる異常を疑ったら ABCの異常は命の危険が切迫,DEの異常は放置 すると命の危険を来す状態。異常がある,ない,わか らない,を明確に言えるようにする。異常がある,ま たは,わからない場合はすぐに救助を要請することを 理解する。 (5)命に関わる異常はすぐに処置しよう ABCの観察中に異常を見つけたら,ABCDEを中 断して処置を開始する。 (誤)Cで湧き出す出血を見つけたが,ABCDEを終 わらせてから圧迫止血を始める (正)Cで湧き出す出血を見つけたので直ちに圧迫を 開始し出血が収まってから D へ進む ◉ヒヤリハット事例! T君が滑って転んで立てない。A君とBさんは, すぐに3SABCDEを開始,自分の安全を確認し てT君に近づいた。T君の頭側に駆け寄ったA 君が ABC をはじめ,途中で B さんが続きを行い 3SABCDE が終了した。どこも異常が無いので, 緊急性は無いと判断したが,T君の状態が悪く なった。急いで救助要請し,病院で骨盤骨折と 診断された。3SABCDEの途中で交替した際に, 骨盤の観察が抜けてしまっていた。 ワンポイントアドバイス 3SABCDE は一人でできるように構成されて いる。複数人がいると,観察を上半身と下半身な どと分担することがあるが,順序を間違えたり, 見落としが出ることがある。3SABCDE の「観察」 は同じ人が最後まで行うこと。「処置(止血など)」 が必要であれば,他のメンバーに実施させる。 (大城和恵) 第7章 登山の医学 「3SABCDE」は直ちに病院搬送が必要な人を見極めるための手順 命に関わる異常を「探して」+「処置する」 ・助ける人が安全な場合にのみ行う ・命に関わる異常を見つけたら(疑われたら),直ちに救助要請をする ・命に関わる異常への処置を優先する ※準備するもの a. 寝転んで実技ができる床面と広さの部屋。 b.「登山の医学(登山部報に掲載)」をご用意下さい。 c. 動画を見る環境 1 傷病者の初期対応〜緊急性を判断しよう SSS+ABCDE スリーエス エー ビー シーディー イー S S Safety & Scene 安全&状況確認 S Spine (脊椎) 頭・首・背中をまっすぐ A Airway (気道) 気道確認 (話せる?口の中は?) B Breathing(呼吸) 呼吸確認 C Circulation (循環) 脈をとる 手のひらの冷や汗を確認 頭〜足指先: 出血を探す→止める D Disability (障害) 頭〜足指先: 全身触って異常を探す E Exposure (暴露) 寒さ• 雨風雪• 日射の影響があるか SS S A B C D E B E 生命を脅かす状態を確認し、回避する。 S A C D

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