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JARC LIVE 7 生に相談にきます。本来はホテルの人事部が駆け込み寺 になるべきだと思いますが・・・次世代を担う若者たちをしっ かりと最後まで見守り続けてほしいですね。 石塚 まさに学校が保健室のようです。悩みを抱えてい る卒業生がよく訪ねてきます。ときには再就職先を紹介す るなど、表現は良くありませんがまさに納品して返品され て、またメンテナンスをして納品する、そんな感じです。 人材育成と給与のバランスも課題です。さまざまな資格が 国家資格や任意団体の資格として実施されていますが、 資格取得が給与に反映されていません。とても難関なソ ムリエ資格を取得しても給与に反映されていません。ある 優秀な卒業生は5 年間勤めましたら、ポジションも給与も 上がらないことからブランド店へ転職したところ月収 2 倍以 上あがったとのことです。接客業が根っから大好きでした ので、学歴ではなく次世代をリードする存在として、きちん と見極め見合った給与を与えるなどまずは低い労働賃金 を上げていかなければ、次世代のホテリエを育成していく ことは難しい。 林 労働賃金を上げることはとても重要なことです。低賃 金・重労働という現実を改善するためにはどうすべきか、 今まさに考えるときです。それでは本題のホテリエの教育・ 育成はどうあるべきかということですが、私が思うには、ま ず始めに“サービスの仕分け”をすることです。ホテル業 界を俯瞰的にみると、そもそもサービスとは何かを考えたと きに、今、サービス業と言われている業務内容が本来の サービスの範疇ではないと思うのです。 例えばレストランで厨房から料理をフロアまで運び、お 客さまのテーブルに提供していますが、厨房からサービス スタッフが料理をピックアップしてお客さまのテーブルまで料 夢や希望を大事にしてあげたいです。学生の 9 割は、ホ テル、ブライダル、レストランの業界へ進んでいきます。自 分の職業に誇りを持ち、業界に魅力を感じる環境を、経 営者の皆さんに作って欲しいところです。 林 教育という点では「専門職大学」や京都大学や一 橋大学で観光業に関するMBAも始まりました。専門学 校の立場から見て専門職大学についてどのようにお考え ですか。 石塚 大学や大学院でいろいろな教育機会が増えていく ことは、業界のレベルアップには大切なことですね。観光 業界は、様々な業種で成り立っているので、育成すべき 人材像とそれに必要なカリキュラム編成を、業界のニーズ に適合させることが必要です。学位を取ればいいという お話ではないでしょう。現在の専門職大学のお話も文科 省から頂戴していますが、これまでの大学基準に近い印 象がありますので、どんな人材像を具体的に目指している のかが不明、その点、疑問に感じています。 観光庁は、観光産業を基幹産業とし観光立国を目指 すために、「観光産業を主導する経営人材」「観光の中 核を担う人材」「即戦力となる地域の実践的な観光人材」 の3層構造で育成・強化していく必要があるとしています が、既存の約 50 校の観光系大学、約 100 校の専門学 校をどう活用していくのか、またこれらを支援する予算措 置があるのか、残念ながら、具体的な動きは見えません。 また、大企業においては、終身雇用制の根強さや教 育体制の不備のため、中途採用者や外国人の採用に対 しては厳しさがあります。外資系や新規の企業では、適 材適所で中途採用、登用が可能になってきているように 思われます。 やるべきこと、それは“サービスの仕分け 林 観光庁と専門学校の経営陣の皆様との対話を積極 的にすべきではないのでしょうか。もっと業界の現実を伝 え、改善していかなければ… 石塚 難しいですね。残念ながら、観光庁は、大学院 レベルのリーダー育成が主眼、多くの人材を輩出してい る専門学校の卒業生を余り気に留めていないように思わ れます。 小畑 しかしながら専門学校卒業生に関しては大卒者と 比較して離職は低く、定着率は高いです。この現実もしっ かりと認識してほしいところですね。何かがあって退職を 考えている卒業生の多くは学校に戻ってきて、担任の先 s p e c i a l i n t e r v i e w

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