JARCLIVE8

JARC LIVE 45 だに、ドアメーカーやゼネコン企業に鍵の選定が一任されて います。一方で海外の新築工事に於いては、鍵は今や建 築工事の域を脱し、ITソリューションとしてホテルの施主・ 経営会社が自ら選択する時代へと変化を遂げています。近 年、国内の外資系ホテルの新築工事に於いても、ITコン サルタントやシステム会社が鍵メーカーやそのソリューションに ついて施主に直接提言を行う、といった新しい商流が確立さ れ始めており、今後の国内系ホテルチェーンへの展開に我々 も期待しております。 ―ホテル運営における昨今の課題は何だとお考えですか。 「課題の多様化」こそが現代のホテル運営に於ける最大 の課題ではないでしょうか。「フロント業務の効率化」、「人 材不足下のサービスレベル維持」、「顧客ロイヤリティの向 上」、「グリーン行動・プラスティック削減」、「清掃コストの 最適化」など、各ホテルで様々な課題解決に取り組まれて いたさなか、今度はコロナ感染症が発生し「コンタクトレス・ 非対面運営の実現」、「コロナ禍および以降の人件費削減 目標」などの新しい課題が出てきました。山積する課題の 仕分けと、優先順位の設定をタイムリーに行えず、結果的 に二重苦、三重苦の経営状況を更に逼迫している施設が増 えいるように思います。 またコロナ禍のホテル運営に於いては、ホテルはこれまで のブランド力や知名度に加えて、顧客から安心・安全を軸と した信頼を獲得することが必要となりました。全く新しい運営 規範の制定とそれに基づく顧客対応の提供が不可避である 今こそ、非接触技術をはじめとするITソリューションの積極 的活用で、従来からの課題をも同時に解決していける施設こ そが、ポストコロナ時代に於いても多くの顧客を魅了し続け るのだろうと感じます。 ―同時にさまざまなことを改善していかなければなりませ んから、大変ですね。しかしながら、喫緊で求められて いることは「非接触技術の導入と、コンタクトレス化の 実現」ですね。 そのとおりです。弊社の非接触カード錠は、全てのモデル でモバイルキー専用リーダを標準搭載しています。カードキー での運用を当面の間継続しながら、顧客のスマートフォンア プリへの移行状況を眺めつつ、段階的にモバイルキーの運 用を開始することが可能になっています。 尚、モバイルキーの導入に際して必要となるのは、弊社 製の非接触カード錠「VingCard」の設置と、モバイルキー 運用アプリです。大手ホテルチェーンの参画施設に於いて は、対応する会員アプリを利用しますが、小規模ホテルチェー ンおよび単館の施設に於いては、弊社が開発したモバイル キー専用アプリや、株式会社タップなどの PMSメーカーが 開発する専用アプリの導入で、低コストでより簡単に、モバ イルキーの導入が実現できるようになりました。 コンタクトレス化という点では、昨今はセルフチェックインの 導入に重きが置かれています。専用のキオスク端末の導入 や、クラウド型ゲストカードへの記入等により、感染症対策 効果のみならず、人件費削減、人的エラー防止、プロセス 迅速化、データ統計によるアップセル機会の創出など、様々 な派生効果を生み出していると言われています。またこれまで フロント業務に於いて最も多くの時間を要していたチェックイ ンプロセスの自動化により、人的資源を更に付加価値の高 いサービスへとシフトさせることが出来るため、顧客満足度や 施設評価が向上し、結果として新顧客の獲得にも好影響を もたらしていると言われています。 これら非接触技術およびコンタクトレス化を実現するソ リューションの数々をシームレスに連携させ、より安全でスマー トな運営導線を構築していくことこそが、業界全体に与えら れている使命であると考えています。 ―最後に、モバイルキーが世界のホテル業界にもたらし ている変化について教えてください。 国内では未だに、旅館業法の解釈の違いや対面での本 人確認の必要性など、特定の事項に議論が集まりがちです が、海外施設の多くでは、ゲストはチェックイン時にフロント への立ち寄りを行わず、館内ではモバイルキーを使用しエレ ベーターの操作、客室の解錠、共用部のアクセスを行って います。 大手ホテルチェーンのロイヤリティプログラムはこぞってア プリ版をリリースしており、モバイルキーをはじめ顧客利便性 を謳う機能がどんどん搭載されていきます。結果として、アプ リからのダイレクトブッキングが増え、収益性向上や OTA 手 数料の削減に一躍買っていたり、旅行中のみならず平時に も顧客に対して直接且つ継続的なマーケティングが出来るな ど、非接触技術により生み出されたモバイルキーソリューショ ンが、ホテル運営のデジタル化のみならず、ホテル業界全 体の事業構造を変化させ始めています。 ホテル業界に於ける非接触技術の積極活用とモバイル キーの導入は、引き続き世界的な潮流として加速的に成長 を遂げていくでしょう。国内での積極的な事業活用と宿泊業 界の非接触化を下支えすべく、弊社も引き続き導入支援に 尽力してまいる所存です。

RkJQdWJsaXNoZXIy NDU4ODgz