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26 国連世界観光機構(UNWTO)によると世界的に広がった新型コロナ感染症に伴い、 5 カ月間で観光業界は 34 兆円の損失となったことを明らかにした。 国内でも JTB は約 1 万 3000 人の社員に対して冬の賞与を支給しないことを決断するなど厳しい状況が続いている。 そこで今回は「アフターコロナにおける日本観光マーケティング考察」と題して、 ㈱やまとごころ 村山慶輔社長に現状と今、取り組むべきことなどをお聞きした。 みました。そこで見えたものは二極化でした。これまで日 本を代表する観光地の京都や外国人観光客に脚光を浴 びた岐阜・高山の観光客は少なく、避暑地やリゾート地 として那須高原や沖縄のリゾートエリアは日本人観光客 で賑わっていました。京都の清水寺は昨年対比で5 分 の1、高山は4 分の1~5分の1ぐらいの集客でした。一 方、那須高原のホテルは満室の状態で幹線道路は渋滞 が発生していたほどです。車のナンバーを見ると横浜や 千葉など首都圏近郊の地域からの移動が目立っていまし た。沖縄のハレクラニ沖縄は8~ 9 割ほどの稼働率を占 めていました。GO TOトラベルを活用すれば大幅に割引 となりますので、単価の高いホテルや旅館に宿泊予約が 集中したように思います。那須高原においては避暑地と して自然に恵まれ、温泉があり、そして関東圏からは約3 時間で車移動ができますので、三密になりがちな電車は バスなどの交通機関を利用せずとも少人数単位で目的地 へ行くことができるなど、さまざまな好条件が重なり客足を 伸ばしたのだと思います。 ―東京都を除くGO TOトラベルキャンペーンのほか に、夏休みがはじまる7 月後半から地方自治体単位 で県民を対象とした観光支援も行われていました。 地方自治体などが実施する観光復興支援策は宿泊助 成やふっこう割、プレミアム付き宿泊券として展開してい ます。予想以上に利用者が集中した自治体もあり財政 の問題で期間を長期化できなかったケースもあります。い ずれにしても駅前や市街に建つホテルではなく温泉地や リゾート地で通常ではなかなか泊まることができない高単 価の施設に集中したようです。都内や市街地のホテルに おいてはビジネス客を主軸にデイユースやテレワーク、貸 会議室など低価格で提供することでわずかな売り上げを ―日本の人口の約1割を占める東京都が「GO TO トラベル」キャンペーンから除外され、日本人およ び在日外国人の都内在住者を見込んでいた観光地は ようやく見えてきた希望の光が薄れてしまったように 思いますが、7 月・8 月の観光地の現状はいかがで したか。 7~ 8月にさまざま観光地へ調査のために足を運んで 瞬間風速の「GO TOトラベル」 キャンペーン客を後のロイヤルカスタマーに ~これからの観光資源は新たな発見と教養の醸成 につながる日常の体験にあり~ 村山慶輔氏 ㈱やまとごころ 代表取締役/ (一社)宿泊施設関連協会 理事 『アフターコロナにおける日本観光マーケティング考察』

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