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JARC LIVE 9 日本語表示が多すぎて 困惑する外国人観光客 国策として訪日外国人観光客増強 を進めている中で、着実にその数を 伸ばし第一のハードルであった4000 万人は早々に突破し、2030 年まで に掲げている6000 万人に向かって 動き出しています。ところが世界各国 から訪日する外国人観光客や留学生 に対応する食に関わる対応や体制が 整っていない状況にあります。関西 国際空港にて行なわれた食に関す る出口調査においても “ 日本語が多 くて分からないからやめた ”“Wi-Fi が 使えない飲食店があった ”など、おも てなしの国と言われていますが国際的 な対応ができていません。 2016 年農林水産省が発刊した 「飲食事業者のためのインバウンド 対応ガイドブック」でも『多様な食文 化、風習や宗教など、訪日外国人 観光客には食に関するさまざまなルー ルが存在しています。飲食店では、 食材や調理法に最新の注意を払わな くてはなりません。またアレルギーに ついては命に関わることもあるので、 さらなる注意が必要です』と記載さ れていますが、多くの飲食店や飲食 を伴うホテルなどで対応が遅れていま す。 そこでこの課題をシンプルでクー ルに解決する方法として考えたのが 「フードピクト」の活用でした。フー ドピクトとはアレルギー特定原材料 7 品目と宗教による食禁忌とベジタリア ンに関する7 品目、計 14 品目を絵 文字で表現したものです。単に品目 を絵文字で表現するのではなく、言 語が異なる世界の人や色覚異常など 目に障害を持つ方にも理解できるも のを追求しました。 そのために国際標準化機構と日本 工業規格の図記号制作ガイドライン を準用するほか、世界 1500 人へ の理解度・視認性・必要品目調査 から開発し、色彩はCUD(カラーユ ニバーサルデザイン)対応としました。 例えばアレルギー品目の牛乳は牛乳 パックに牛を描いたデザインの正解 率は85%でしたが、パックをビンに変 えて表現した結果、正解率は98% に達しました。パック販売されていな い国もあったからです。このように何 度も調査、確認を行ない、採用され たデザインのすべてが 90%以上の 正解率を得ています。 アレルギー品目の小麦が 含まれたビールも販売 最近ではアレルギー品目である小 麦を少々加えたビールやアルコールと 判断しにくいサワー類などが、自動販 売機に並んでいます。ムスリム(イス ラム教徒)がジュースと間違えてビー ルを飲んでしまったり、小麦アレルギー を持つ人が小麦入りビールを飲んでし まう危険性もあります。ムスリムはア イスクリームも食べられません。それ は豚を原料とするゼラチンが含まれて いるからです。このような危険性を未 然に防ぐためにもひと目で分かるフー ドピクトは必要不可欠なものなので す。 採用実績は 2018 年末で世界 1400ヵ所以上におよびます。日本 では関西空港や成田空港、東京ビッ グサイト、JTB 認定旅館ホテル連盟 北海道支部連合会加盟 282 の宿 泊施設、ホテルグループなどで活用 されています。最近では自治体国際 化協会との協業からピクトグラムと多 言語による「避難者登録カード」を 制作するとともに、2017 年 4月から 全国 47 都道府県の避難所へデー タ提供が始まりました。救援物資の 中で食べられないものを提供しないよ うにするためです。 今後はぜひ、特に宿泊主体のホテ ルにて宿泊者が外食する際に携帯す る14 品目が描かれたカードを配布し たり、ホテルや店舗の QRコードをつ けることで販促ツールとしても活用して いただきたいですね。これからも“ 美 味しい笑顔が世界をつなぐ”をテーマ に追求していきたいと思います。 ~世界1500人を対象に 正解率90%以上の絵文字を採用~ 奥 健尚氏 ネクストダイバーシティ㈱ 代表取締役社長 第 12 回 JARCゼミナール『食のユニバーサルデザインであるFOODPICTを知っていますか?』 JARC SEMINAR アレルギー特定原材料と宗教になどにより 食せない 14 品目を絵文字化 2019 年 4 月11日(木)

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